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クルド武装勢力掃討継続 トルコ首相会見
大統領権限強化「時間かけ同意探る」
【アンカラ=佐野彰洋】トルコのアフメト・ダウトオール首相は12日、アンカラで日本経済新聞と会見した。大統領権限の強化を含む新憲法の制定については時間をかけて国民やほかの政党の同意を得る姿勢を示した。国内の安定を揺るがす少数民族クルド人系の武装勢力の掃討作戦は継続すると言明した。計画中の3番目の原子力発電所をはじめとする大型インフラ整備事業に対しては、日本企業の参入を求めた。
トルコは15日から同国で開く20カ国・地域(G20)首脳会議で議長国を務める。内戦が続く隣国シリアから流入する難民に対応するため、難民の一部が目指す欧州諸国などに財政支援の増額を求める構えを見せた。ダウトオール氏は2016年の早期に日本を訪問する計画も明らかにした。
ダウトオール氏は14日に最大都市イスタンブールで予定する安倍晋三首相との会談に先立ち、取材に応じた。ダウトオール氏は与党・公正発展党の党首でもある。同党は1日投票の総選挙で議会の過半数を回復した。
12日に確定した議会(一院制)での勢力は、公正発展党が改選前を59議席上回る317議席。新憲法の制定や改憲を提案する国民投票に必要な330議席(定数の5分の3)に達するにはほかの政党の協力が必要だ。
公正発展党を実質的に支配するのはエルドアン大統領だ。トルコの現行憲法は大統領を中立な存在と定め、国政の実権は首相が握る。エルドアン氏は憲法改正を通じ、大統領権限の強化を目指している。
憲法改正について、ダウトオール氏は「市民社会と全政党が一緒に新憲法を制定することが重要だ」と述べた。公正発展党が独走せず、時間をかけて国民やほかの政治勢力との理解を深め、憲法改正を実現する構えだ。
トルコは同国で3つ目の原子力発電所の建設を計画している。これには米ウエスチングハウス(WH)と中国・国家核電技術公司が受注に意欲を示している。だが、ダウトオール氏は日本企業にも参入を呼びかける考えを表明した。トルコの原発はロシア勢が1つ目、2つ目は三菱重工業など日仏連合が受注した。
ほかにも大規模な火力発電所の建設、西部ダーダネルス海峡における世界最長級のつり橋架橋など様々なインフラ計画があると指摘し、日本企業の参加に期待を示した。
クルド人系非合法武装組織、クルド労働者党(PKK)と政府との戦闘再開を巡っては「テロを防ぐ戦いを継続する」と述べ、掃討作戦を続けると強調した。一方で「より民主的な権利(の保護)や改革も進める」と述べ、将来の和平交渉再開にも含みを持たせた。難民問題はG20でも「議論し、共同声明にも反映されるだろう」と語った。
欧州連合(EU)が求めるトルコ経由で地中海を渡る難民の渡航防止策については、なお「協議中だ」と説明した。EUが提案した30億ユーロ(約4千億円)の財政支援を巡っては「議論の出発点だ」と述べ、金額が十分でないとの認識を示した。
アフメト・ダウトオール首相 (Ahmet Davutoglu) トルコ・ボスボラス大博士(政治学・国際関係論)。2002年の公正発展党(AKP)政権発足以降、ギュル元首相、エルドアン前首相の上級顧問(外交担当)を務め、09年に外相就任、14年から現職。トルコ中部コンヤ出身。56歳。
[日経新聞11月13日朝刊P.6]
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