２３日にウィーンで行われた米国・ロシア・トルコ・サウジアラビア４ヶ国外相会議に関する米国公共放送ＰＢＳの報道（ＮＨＫＢＳ１で２５日朝放送）。

　ＰＢＳのワーナー記者は、このなかで、伝聞としながら２０日に行われたプーチン−アサド首脳会談の裏話を披瀝した。
アサド大統領の身の処し方についての話だが、両者の会談で実際にそんな話はなかったとしても、ロシア側がそのような話を外国に漏らしていることに重要な意味がある。
　米国も、「アサド大統領が一定期間存続する移行期の話に前向き」とのことなので、建前としてアサド政権に影響力を持つロシアとＩＳを含むそれ以外の反政府組織に影響力を持つ米国が、最大の問題であるアサド処遇で基本的に合意したとみることができる。

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ケリー国務長官の記者会見一部：「シリア問題に長く取り組んできた我々外相は、この問題のすべての落とし穴やすべての障害を認識したうえで会談した。しかし、我々は、内戦の行き詰まりの打開の方法を模索する新たなアイデアを見つけようと決意して集まった。」

シリアをめぐるアメリカとロシアの駆け引きについて、この問題を取材中のＰＢＳニューズアワーの主席外交問題担当記者マーガレット・ワーナーに訊きます。

※「」内がマーガレット・ワーナー記者の発言

ＭＣ：アメリカ、ロシアその他の国々が少なくとも２年間政治的解決を協議していますがまったく成果はみられていません。今日の会談はどこか違うのでしょうか？

「難しい質問です。一つ進展があるとすれば、来週末に４人が再び会うことで合意したということでしょう。ケリー国務長官は、人々がたくさんの新しいアイデアを持ち寄ったが、公式には新しいアイデアは皆無だ。耳にするのは、民主的で世俗的で多様な統一シリアが必要というおきまりの考えだけだと言っています。しかし、アサド大統領の将来という大問題は解決がみえません。トルコとサウジアラビアは大統領の退陣を望んでいます。ロシアは、大統領の凋落が招く混乱を恐れて大統領の存続を望んでいます。アメリカだけは期間を切りました。ケリー長官の話では、アメリカはアサド大統領が一定期間存続する移行期の話に前向きなようです。」

ＭＣ：ロシアによるシリア介入にアメリカは不満ですが、これが会談に及ぼす影響はどうでしょうか？

「興味深いことに、ケリー長官は側近に対してこれはチャンスだと語っています。アメリカはアサド大統領を支援するロシアの介入に憤慨してはいるものの、これが転換を生むことを期待しています。しかし、実際は、シリアの将来を決めるさいにロシアに違う座敷を与えることになりました。今ロシアは、この問題が政治的解決をみることに利益を見いだしています。空爆の常態化や内戦の泥沼化は避けたいからです。一方、アメリカも、シリア内戦関与の終結を余儀なくされています。反政府勢力への武器供給や飛行禁止空域の設定議論の再燃は避けたいところです。ということで、アメリカはプーチン大統領を信頼はしていないものの何かの結果が生じることを期待しています。」

ＭＣ：今週アサド大統領がプーチン大統領に会うためにモスクワを訪問しましたが、それはどうですか？何かきいていますか？

「私が間接的にきいたのは、ロシア筋の情報では非常に険悪だった、誰もアサド大統領を好きではないとある人から聞きました。また、プーチン大統領はロシアの空軍とシリアの地上軍との連携を望んでいるとのことでした。プーチン大統領はロシア地上軍の投入はしない。多くの民間人の犠牲を出さないために、正確な標的を保証して欲しいと明言しました。
二人は移行期について多様性の必要を協議したものの、アサド大統領は頑なだったそうです。すると、プーチン大統領は、引き金を引かないまでも、アサド大統領、そうなるとあなたは失脚するといったそうです。二人の話は噛み合わなかったようです。」

ＭＣ：もし、プーチン大統領がアメリカとの関係改善を望み、協力して結果を生みたいとしたら見込みはあるでしょうか？

「オバマ政権はロシは信じないが、二つできることはあるとしています。第一に、ロシアは今ＩＳの代わりに狙っている８０から９０％の穏健派を標的にしないこと。第二に、プーチン大統領のプロセスに従うべきだとした認識したアサド大統領への梃子作用を利用すること。なぜアサド大統領はそうせざるを得ないのか、一つは、国際的孤立と制裁を停止したいから。第２に、シリア難民問題の泥沼化を恐れているからです。シリア内戦が延々と続けば、政治的解決はありませんから。」

ＭＣ：ワーナー記者、ありがとうございました。

コメント
1. 2015年10月26日 05:12:54 : FhweVCH7Tc アメリカのプロパガンダだよ。 それだけ
2. 2015年10月27日 00:45:28 : pIudRdfq9A そりゃロシアにとってはシリアが「親露政権」であればいいのであって「アサド政権」である必要性は無いからな。 「先代アサド大統領の息子」というだけで大統領になったアサドごとき、プーチンにとってはどうとでもなる相手だろう。

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