2. 2015年10月23日 11:00:28
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ロシアへの警戒感を強めるNATO シリア介入を受け、地中海で鳴り響く非常ベル 2015.10.23(金) Financial Times (2015年10月22日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)11月6日までの予定でNATOの大規模軍事演習「トライデント・ジャンクチャー」が始まった(写真:NATO) ?ロシアによるシリアへの軍事介入は、ロシア政府が中東を支配下に置く決意を新たにしたことを示している。 ?だが、シリア内戦の当面の結果もさることながら、北大西洋条約機構(NATO)の制服組(武官)の幹部たちはこの介入を、西側諸国にもっと近くから挑もうというウラジーミル・プーチン大統領の大きな戦略の一環だと見ている。 ?NATO背広組(文官)のある上級幹部によれば、地中海が「再び争いの場になっている」という。 ?「ロシアが(シリアにおける)長期的なファクターの1つになることに我々は備えなければならない」。NATOのアレクサンダー・バーシュボウ事務次長は、西地中海で向こう2週間にわたって行われる2002年以来の大規模演習「トライデント・ジャンクチャー」を控えてこう語った。 ?西側にとっては、反アサド勢力と戦う部隊をロシアが投入したことが当面の挑戦となるが、問題になる部隊をロシアがボスポラス海峡の南に恒常的に配置するとなれば、これは長期的な挑戦になる。 ?「東地中海でのこの兵力増強とそれらの空軍基地の能力がもたらすさまざまな結果について考える(ことが我々には求められる)」とバーシュボウ氏は述べた。 地中海に戻ってきたロシア 露外相「米がシリア協議拒否」、プーチン大統領は痛烈米批判 NATOはロシアのウラジーミル・プーチン大統領の戦略に目を光らせている〔AFPBB News〕 ?冷戦終結以降、ロシアは地中海に大きなプレゼンスを保持していなかった。クリミアを母港とする黒海艦隊への投資も最近まで行っていなかったため、この戦域がロシアがらみの懸念の源泉になることは見過ごされるケースが多かった。 ?そのロシアが新たにプレゼンスを得たことは、かなり問題になるかもしれない。NATOの南限すべてがロシアの挑発にさらされる可能性が生じるうえに、NATOによる軍事アセットの迅速かつ容易な展開を可能にする「航行の自由」が制限される恐れもあるからだ。 ?また米国にしてみれば、ペルシャ湾岸に海軍力を迅速に投射する能力が低下するかもしれない。もし数年前にこのような事態になっていたら、2011年のリビア内戦へのNATO介入ははるかに計画しづらいものになっていただろう。 ?影響はそれだけではない。ロシアは艦艇から発射する巡航ミサイルや弾道ミサイルをハイペースで増強しているが、そのロシアが地中海に戻ってきたことにより、欧州全域がそれらのミサイルの射程圏内に突然収まってしまうのだ。 ?海軍力をこれほど南に展開していることから、ロシアがキプロスとの協定に署名して海軍艦艇を係留する権利を得たことも新たな難題になっている。 ?キプロスのアクロティリには英国の空軍基地があり、NATOの最も重要な通信傍受基地の1つも置かれている。ロシアはこれらの基地の近くに監視や電子戦のための軍事アセットを、法律や規制に触れることなく持ち込める可能性がある。 問題はシリア介入では終わらない ?「アサド政権を支援する部隊の展開で話が終わるわけではない」。英国王立防衛安全保障問題研究所(RUSI)のジョナサン・エヤル国際安全保障部長はそう指摘する。「これはロシアの姿勢の根本的な変化であり、長期間続くことになるだろう」 ?ロシアは、シリアのラタキアやタルトスにある施設の改修を始めただけでなく、冷戦後では初めて地中海艦隊を再編成している。 ロシア、海上からミサイル攻撃も開始 シリア軍の地上作戦を支援 ロシア国防省が公式ウェブサイトで公開した、カスピ海からシリアの「イスラム国(IS)」を標的とした巡航ミサイル攻撃を行うロシア軍艦を写したとされる映像からの一コマ〔AFPBB News〕 ?NATOはこれまで、ウクライナ東部に干渉した後のロシアによる戦争行為に対抗すべく、東欧で対策を講じてきたが、それに匹敵する「南部戦略」は存在しないことを幹部らは認めている。 ?2年に1度開催されるNATO首脳会議は来年7月にポーランドのワルシャワで開かれる予定で、その準備段階ではこうした問題に最も時間が割かれることになるだろう。 ?「クリミア併合以来、我々は同盟国を安心させることに努めてきた。今後は、その安心がどの程度抑止に寄与するかを見ていかねばならない」。NATO欧州連合軍のフィリップ・ブリードラブ最高司令官は演習開始に当たり、シチリア島のトラパニで記者団にそう語った。 ?「将来何が必要になるのか、我々はまだ正確には理解していない・・・それに、NATOの境界で何が起こっているのかをしっかり把握しなければならない」 ?トライデント・ジャンクチャーでは、11月初旬まで、航空機140機、船舶60隻、30カ国が参加する軍事演習に、3万6000人の部隊が動員される。NATOの公の場での慎重な発言にもかかわらず、演習が地中海で行われるのは偶然ではない。 新たな脅威を抱え込んだNATO ?「我々はこうした新たな脅威をたくさん抱え込むことになった」。フランス空軍の元トップで、NATOの変革最高司令官を務めるドニ・メルシエ大将はこう語る。同氏はNATOの部隊の訓練、適応を支援する責任を持つ。 ?ロシアがNATOに突きつけた最も重大な挑戦は、軍事演習に影響を与えた。ロシアの戦略は、防御の「バブル」を築くことにかかっている、とあるNATO高官は言う。 ?「我々はこれを、ロシアの軍事ドクトリン全体(の一部)と見なしている。カリーニングラードと、ロシアが要塞に変えつつある占領下のクリミア、そして今ではシリアで、NATOの行動と航行の自由を阻止することを目指す似たような部隊の集中が見られる」 ?ロシアの地中海艦隊は同国最強の対空ミサイルに満ちており、この「S300」システムが最も小型の船舶を除くすべての船に搭載されている。NATOにとっては、これは戦術家が「接近阻止・領域拒否(A2/AD)」問題と呼ぶものを生み出す。つまり、西側に対する飛行禁止区域のようなものだ。NATOは初めて、空を完全にコントロールできることを想定せずに演習を行わなければならないのだ。 ?「これは全く新しいことだ」とメルシエ大将は言う。「我々は今、NATOが必ずしも軍事力のバランスを決定する力を持たないシナリオの下で演習を行う状況にある」 By Sam Jones in Trapani http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/45070
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