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イランが長距離弾道ミサイル実験 米の出方を瀬踏みか 米「核合意とは別」
【ドーハ=久門武史】イランが核開発問題で米欧など6カ国と最終合意に達してから初めて、新型の長距離弾道ミサイルの発射実験を実施した。核合意が軍事力低下につながるのを懸念する国内の保守強硬派に配慮すると同時に、米国の出方を瀬踏みする狙いがあるとみられる。米国がシリアなど中東での影響力を落としているのを織り込み、挑発的な実験に踏み切った可能性がある。
イランのメディアによると、11日の発射実験に成功したのは高精度で対地攻撃ができるという弾道ミサイル「エマード」。射程など詳細は不明だが、デフガン国防軍需相は「(自国に対する攻撃への)抑止力を飛躍的に高められる」と強調。「国防力とミサイルの性能を高めるのに誰の許可も要らない」と語った。イランはミサイルに核弾頭を搭載する意図はないと重ねて主張している。
イランの国会は13日に保守強硬派が抵抗する中で核合意を承認。14日には護憲評議会でも承認し、合意の履行に向けた国内手続きを終えた。
核合意の履行にはイランが悲願としてきた経済制裁解除がかかる。その直前に米欧を刺激しかねないミサイル実験を行ったのは、保守強硬派が核合意に抱く不満を和らげ、硬軟のバランスを取ろうとした可能性がある。欧米からの制裁で戦闘機など航空戦力の更新が滞ったイランは、弾道ミサイルを抑止力の要として重視している。革命防衛隊など保守強硬派がミサイル開発の継続を「譲れない一線」と見なすのはこのためだ。
イランの実験を受け、米国のアーネスト大統領報道官は13日、ミサイル開発を制限する国連安全保障理事会の決議に反する可能性が高いとの見方を表明。一方で「これは核合意とは別だ」とも述べ、核合意自体の履行には影響しないとの立場を示した。イランにとっては穏当な反応だ。
イランは核合意の前から核問題とミサイル開発は別だと主張してきた。オバマ米大統領が「歴史的」と自賛した核合意を容易にご破算にするはずがないとの読みもある。
イランが強気を崩さないのは、中東での米ロ両大国のパワーバランスに変化の兆しが見えることも背景にある。その典型が混迷を深めるシリア。ロシアは9月末、米主導の有志連合がイラクとシリアで台頭した過激派組織「イスラム国」(IS)の掃討に手間取るのを横目に、独自にシリア領への空爆を開始した。
ロシアに呼応し、イランは地上部隊を送ったと伝えられた。ISの攻勢に押されるシリアのアサド政権を支える点で、ロシアとイランは利益が一致する。両国とイラク、シリア4カ国はIS掃討のための情報を共有することでも合意した。
対照的に米国は、シリア反体制派への軍事訓練を取りやめ、支援を事実上縮小すると表明。戦略の迷走ぶりを露呈した。ロシアの介入を強く批判しているが、有効な対策は打ち出せずにいる。
[日経新聞10月15日朝刊P.7]
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