http://www.asyura2.com/15/warb16/msg/158.html
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まず、「世界共通の敵=IS」についてだが、 “善良”で信仰に篤いIS戦士は殺されてもいいが(殺して欲しいくらい)、“お仲間”のIS幹部は、ロシア軍や今後可能性があるイラン義勇地上軍などの“弾”に当たらないよう、これまでの支配地域からイラク領にとっくに逃げ出しているはず。(“土着”IS幹部の実体はフセイン派を中心としたスンニ派武装勢力:ISトップのバグダィ氏のある時期までの“顔を持っていた”人物が他の名前で7月末に殺害されたことになっている)
ロシアがシリア内戦に介入してすぐに非IS地域を空爆したのは、露軍が使用している空軍基地の安全度を高めるためであり、アサド政権と交渉に応じていない勢力を“防御エリア”から放逐することが目的と推測できる。(ロシア軍が介入する前、“穏健派”反政府勢力の一部は、アサド政権と交渉し支配地の入れ替えや停戦に合意している)
また、露軍機の“意図的な”トルコ領空侵犯も、IS参加者を含むシリア反政府勢力の“往来”を黙認したり、武器や原油などの“越境”を認めたり、反政府勢力がトルコ領に逃げ込み態勢を立て直しシリアに戻るなどを行ってきたトルコ政府に対する“イヤミ”である。
アル・ジャジーラによると、カスピ海の海軍艦隊から発射した巡航ミサイル26発のうち4発はがイラン領内に着弾したとのこと。
ウクライナ騒乱と同じく、今回のロシアによるシリア介入も、米欧露の政治的合作と思われる。
フランスやドイツは、アサド大統領も含めたかたちの停戦協議に傾いている兆しもみられるが、ともかくロシア抜きでのシリア問題解決はあり得ないと認識している。
アメリカも、傀儡であるイラク政権が露に協力している供や巡航ミサイルの領空通過容認)ことから、露の軍事介入を“好機”とし、アサド政権及び露を含めたかたちでシリア問題の解決をめざす協議の開催に同意すると思われる。
アサド大統領は、フセイン元大統領と同じように、露だけでなく米欧とも(さらにはイスラエルとも)“良好”な関係を維持してきた権力者である。
米仏独の政権は、シリア内戦をめぐるこれまでの対応から、何もないままアサド政権の生き残りにつながるような妥協は国内政治的にできないが、ロシアが軍事介入したことで、米欧は、「このまま放置していたらシリアのみならずイランもイラクもロシアの勢力圏になってしまう」という理由を持ち出すことで、アサド政権を含むかたちの停戦協議開始も可能になる。
いちばんどうしようもないのは世界のイスラム指導者だが、シリア内戦で既に25万人も死んでいるのだから、軍事ゴッコはほどほどで終わらせて、できるだけ早く政治的解決に向かって欲しい。
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米、シリア反体制派支援を縮小 ロシア攻撃で大打撃[日経新聞]
2015/10/10 0:10
【ワシントン=吉野直也】オバマ米政権は中東の過激派組織「イスラム国」(IS)掃討のために進めてきたシリアの反体制派への軍事訓練などの支援を大幅に縮小する方針だ。穏健反体制派の育成で効果があがらないなか、シリアのアサド政権を助けるため軍事介入したロシアの攻撃を受けた反体制派が大打撃を受けたためだ。ISやシリア情勢を巡る米政権の戦略的な失敗は明白で、事態は混迷を深めている。
米メディアが一斉に報じた。英国訪問中のカーター米国防長官はファロン英国防相と会談し、内戦が続くシリア情勢やIS掃討について協議した。シリア反体制派の軍事訓練を終えることなども伝えたとみられる。米国防総省も近く発表する見通しだ。
野党・共和党はかねてシリア反体制派の軍事訓練だけではISと戦えないと主張しており、反発するのは必至だ。
反体制派の軍事訓練はオバマ米大統領が昨年9月に発表したIS掃討戦略に盛り込んでいた。シリアでのIS拠点の空爆と地上戦を組み合わせて効果を狙うものだった。年間5400人を訓練し、反体制派への武器供与を含め5億ドル(約600億円)を予算計上した。
ただ今年7月の時点で、反体制派への軍事訓練の規模は約60人にとどまっていた。共和党は「ISとの戦争に敗れつつある」(マケイン上院軍事委員長)として米政権の見通しの甘さを糾弾していた。
反体制派を軍事訓練したうえでIS掃討の枠組みに加える構想そのものが当初から「非現実的」とみられていた。シリアでは穏健な反体制派勢力の戦力は極めて低く、アサド政権と実際に戦闘を繰り広げているのはイスラム原理主義組織などの過激派が中心だ。
そこにアサド政権を軍事支援するロシアが、IS掃討を掲げてシリア領内での反体制派の攻撃を始めた。ロシアは9月末に開始した空爆に加え、7日にはカスピ海から巡航ミサイル26発を発射。アサド政権の地上部隊が反体制派へ大規模攻撃を仕掛けるなどシリアでの支配地域を拡大している。シリア情勢を巡る主導権はロシアとアサド政権に移りつつある。
軍事訓練するはずの反体制派の敗走が明確になったことで、米政府の反体制派の軍事支援計画は見直しを迫られた形だ。
米国のシリア戦略の迷走はシリアや中東情勢の混乱を一段と深めるだけでなく、米国の世界における安全保障政策にとっても大きな打撃になりそうだ。IS掃討での協力を申し出たロシアのプーチン大統領の言葉をうのみにしたオバマ米大統領の求心力低下は避けられない見通しだ。
中東や各地で米国の影響力低下に一段と拍車がかかる可能性がある。ロシアが地域情勢で介入を強め、欧米への揺さぶりを強めるシナリオも予想される。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM09H7E_Z01C15A0EA1000/?dg=1
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