2. 2015年10月02日 19:46:34
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ロシアのシリア空爆、イスラム国の立場を強化 ロシアは9月30日にシリアでの空爆に踏み切った PHOTO: SYRIA CIVIL DEFENCE /ASSOCIATED PRESS By YAROSLAV TROFIMOV 2015 年 10 月 2 日 15:36 JST 【ベイルート】ロシアは、オバマ米政権が長らく拒否したシリア派兵に踏み切ることで、中東地域での米国の役割低下を際立たせるという長年の目標達成に向けて前進した。 だが、ロシアの数十年ぶりの海外派兵によって、4年間に及ぶシリア内戦が終結に近づく可能性は低い。それどころか、「イスラム国(IS)」以外の反体制派を標的にするアサド大統領の戦略への関与をロシアが強めることで、同国が敵だとしているISの立場を強化する結果になることは必至だ。 【寄稿】米国の対IS戦略を破滅から救う方法 ロシアのシリア空爆、米が批判「火に油注ぐ」 「イスラム国」 特集 ロシアによる新たな支援を受けても、シリアのアサド政権軍はあまりに弱く、兵力も少ないため、北部のスンニ派中心地の多くを奪還することはできないだろう。ベイルートでシンクタンクを運営するレバノン軍の退役軍人ヒシャム・ジャベル氏は「シリア問題は軍事的には解決できない。もう2011年には戻れない」と話す。 ジャベル氏によればロシアが望んでいるのは、ダマスカスや、地中海沿岸のアラウィ派居住地域、さらにシリア各地を結ぶ道路を死守することだ。しかし、それも難しい状況だ。ロシアは結局のところ、イランやレバノンのシーア派武装勢力ヒズボラが数年にわたり軍事介入してもアサド政権の支配地域の縮小を阻止できなかった、宗派対立に首を突っ込もうとしている。 これまでのところ、ロシアのシリア派兵は、米国が昨年実施した限定的なイラク派兵と似ている。米国が派遣したのは、空爆作戦要員と軍事顧問を中心とした部隊だった。ロシアのイワノフ大統領府長官は9月30日、ロシア軍がシリアで地上戦に直接参加する可能性を否定した。 米国はイラクでやはり犠牲を回避する姿勢をとったことから、ISが今年に入って要衝のラマディを制圧するのを食い止められなかった。駐留米軍の規模がはるかに大きいアフガニスタンでも、タリバンは戦略的に重要な北部クンドゥズを陥落させ数日間保持した。 レバノンのスンニ派国会議員のバセム・シャブ氏は「ロシアがシリアに派遣した32機の戦闘機で戦局を変えられるとの考えはばかげている」とし、「ロシアもすぐに勝利できるという幻想は抱いていない」と述べた。 だからといって、ロシアは今後シリアにこれ以上は踏み込まないだろうと言っているわけではない。チェチェン共和国のカディロフ首長は今週ロシアのテレビに対し、ロシアが戦闘歩兵部隊をシリアに派遣しようとしないことに不満を表明している。 ロシアはアサド政権と同様に、ISと、サウジアラビアやトルコ、カタールが支援する穏健な反体制派、さらには米国が支援するもっと穏健な反体制派をきちんと区別していない。これら反体制穏健派の間からは、ロシアの初の空爆は穏健派を標的としたものだとの抗議の声が出ている。 トルコや湾岸諸国の各国政府当局者はつい最近まで、シリアの反体制派支配地域を守るため飛行禁止区域を設定することだけでなく、アサド政権の拠点を標的にした空爆を実施することまで口にしていた。しかし、ロシア軍機のシリア上空での飛行に対してあからさまには対抗できないので、飛行禁止区域の設定や空爆は選択肢から外れた。 米国務省の顧問を務めた経験を持つジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究大学院(SAIS)のバリ・ナスル学長は「トルコやサウジアラビアなどはロシアの対応に反発しているが、それに対抗する選択しはほとんどない。これらの国はロシアと事を構えずに状況を変える手段を持っていない」と話す。 アサド政権の支持者は、ロシアの介入を受けて、トルコやサウジ、さらには米国までもが、ロシア、イラン、シリア、イラク、ヒズボラが形成する新たな大連合に加わるのではないかとの期待を示す。イランの国家安全保障最高評議会の高官だったサイド・フセイン・ムサビアン氏は「トルコやサウジも、ISとの戦いでロシア・イラン・イラク連合に加わるべきだ」とし、「アサドがいなくなれば、シリア軍は完全に崩壊し、シリアは国家として滅びるだろう」と述べた。 だが、サウジなど湾岸諸国やトルコは、そのような提案は受け入れそうにない。ワシントン近東政策研究所のシリア専門家であるアンドリュー・タブラー氏は「サウジやトルコが立場を変えるとは思わない」と話す。 多くの中東問題アナリストや外交官によれば、これらスンニ派諸国はロシアの策略に対して、シリア北・南部で戦う反体制派への武器供与など秘密支援作戦を強化する可能性が大きい。 ドバイにある近東・湾岸軍事分析研究所(INEGMA)のリアド・カフワジ最高経営責任者(CEO)は、シリアの「反体制派向けに、より高度な兵器が流入するだろう」とし、「いずれの勢力も譲歩するつもりはないと思う。政治的な対話が始まるにしても、戦闘がさらに激化した後になりそうだ」と予想する。
ロシアのシリア戦略、知っておきたい5つのこと ロシア軍によるものとみられる空爆の跡(9月30日、シリア・タルビセ) PHOTO: ASSOCIATED PRESS By NATHAN HODGE 2015 年 10 月 2 日 16:43 JST ロシアのプーチン大統領は、国連総会で演説を始める前にすでに米政府を出し抜いていた。シリアに新兵器を供与することで世界の関心を集めるとともに、ロシア、シリア、イラン、イラクの間で新たな軍事同盟の土台を築いた。 プーチン大統領はシリアを切り札に使うことで、ロシアを過激派組織「イスラム国(IS)」に対する有効な統一戦線をまとめることができる唯一の大国としてアピールしている。また米国のシリア政策の失敗につけ込み、シリアの反体制派を訓練して配備しようとするオバマ政権の取り組みが期待外れに終わっていることを強調している。 プーチン大統領のシリア戦略について5つの要点をまとめた。 1. 中東での影響力を取り戻す ロシアの国家的威信の回復は、プーチン大統領の主要テーマの一つとなっている。シリアへの兵器配備と反テロ同盟の構築によって、同氏は国外に力強いイメージを与えることができる。米国は長年、中東とペルシャ湾で軍事力を維持している。それに対してロシアはシリアのアサド政権を後押しし、イランおよびイラクと手を組もうとしており、旧ソ連の拡張的な中東政策が復活したかのようだ。 2. ウクライナ紛争から注意をそらす ウクライナの親ロシア派のヤヌコビッチ前大統領が昨年追放された後、ロシアはクリミアを併合し、ウクライナ東部ドンバス地域の反政府勢力を支援している。だが同地域は陥落しておらず、ロシアは欧米諸国から厳しい制裁を受けている。中東に焦点を合わせることは地政学上のマジックのようなもので、欧米諸国の注意をウクライナからそらしている。 3. 国内でISに反撃する ロシアもISの問題を抱えている。長年にわたり北カフカス地方でイスラム系の反政府勢力と対峙(たいじ)しているが、タゲスタンなどの地域の過激派が最近ISへの忠誠を打ち出した。ロシアは、多数の「聖戦戦士」志願者がISで訓練を受けて経験を積んだ後、ロシアや旧ソ連諸国に戻って大混乱を引き起こすことを懸念している。 4. 友人を守る ロシアは一貫してシリアのアサド政権を支持している。シリア軍に通常兵器を提供しているが、単に契約を履行しているだけではない。国連安全保障理事会で対シリア制裁決議案に拒否権を行使することで、アサド政権を守ってきた。 5.「体制転換」を阻止する ロシアは、米国が各地で気に入らない政府を転覆させようとしているほか、ウクライナなどの旧ソ連諸国の民主化運動を陰で操っているとみており、これに対抗することに固執している。その世界観からすれば、米国の最終的な標的はロシアとなる。プーチン大統領にとって一つはっきりしていることは、米国への反撃はシリアから始まるということだ。 関連記事 欧州にプーチン氏の大きな影−2日に4首脳会談 モスクワのクレムリン宮殿に到着したプーチン大統領(1日) PHOTO: REUTERS By MATTHEW DALTON AND LAURENCE NORMAN 2015 年 10 月 2 日 17:05 JST 欧州の指導者は1年以上、ロシアのプーチン大統領を孤立させようと努めてきたが、ここにきて欧州大陸のあらゆる差し迫った危機の解決に同大統領の協力が必要なことに気付き始めた。 ウクライナ紛争から欧州難民危機、現在のシリア内戦エスカレートの脅威に至るまで、欧州の安全保障を脅かす混乱の沈静化のカギを握るのは、ロシアのリーダー、プーチン大統領だ。 ウクライナ東部の紛争の停戦から1カ月。プーチン大統領とフランスのオランド大統領、ドイツのメルケル首相、ウクライナのポロシェンコ大統領の4首脳は2日、パリで会談し、永続的な和平を実現し、ロシアへの制裁を解除するための話し合いを行う予定だ。しかし、プーチン大統領がシリア空爆に踏み切ったことで、ウクライナ問題の先行きに暗雲が垂れ込めている。ここ2年、欧州をいら立たせてきた予測の難しい面を大統領は再び見せている。 4首脳会談後、プーチン大統領はオランド大統領、メルケル首相と個別に会う予定だ。フランスの当局者は、2日の会談は緊迫したムードになるだろうと述べた。 米当局者によると、ロシア軍は今週行った空爆で、過激派組織「イスラム国(IS)」の本拠地以外も爆撃しており、それには欧米が支援する反政府勢力が掌握する地域も含まれている。これは欧州にとって特に頭の痛い問題だ。このような空爆によってシリア情勢が一段と不安定化し、欧州にさらに多くの難民が押し寄せる可能性がある。欧州では既に大量に流入している難民の受け入れをめぐって政治的な不協和音が出始めている。 こうした難民危機を受け、欧州はプーチン大統領がシリアのアサド大統領に対するロシアの強い影響力を行使し市民への攻撃をやめさせることに期待している。アサド政権は火薬や金属片を詰めた「たる爆弾」を多くの市民が集まる場所に投下しており、それが難民流出の主な原因となっている。 イタリアやギリシャをはじめとする一部欧州諸国は、ロシアがシリア危機の政治的解決に不可欠だと主張している。イタリアのレンツィ首相は9月29日のウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)のインタビューで「ロシアの関与なしで和平を実現するのは不可能だ」と述べた。ギリシャのチプラス首相も同日のWSJの取材で同様の意見を表明したが、「だからと言ってロシアの戦略や全ての政策に同意しているというわけではない」と語った。 しかし、プーチン大統領はアサド大統領に対する肩入れを強めており、今週行われた国連総会での演説で、イスラム国の勢力拡大を食い止められるのはアサド大統領だけだと考えるのが現実的だと表明した。 ロシアのシリア空爆に対する欧州諸国の反応は慎重なものから批判的なものまでさまざまだ。ほとんどは、和平交渉のあと、最終的にアサド大統領は退くべきだとの米国の意見に賛同している。 プーチン大統領はシリア問題では西側諸国に抵抗しているものの、ウクライナについては対立を解消しようとしているようだ。2月にベラルーシの首都ミンスクで行われた首脳会談で成立した和平合意は決して完全なものではないが、9月初めの停戦はおおむね維持されている。 最近はほとんど戦闘がなくなったが、紛争の最悪期には日々数十人が死んでいた。ロシア、ウクライナ、ウクライナ東部の親ロシア派勢力は今週、紛争地帯から小型兵器を撤去することに合意した。 2日の4者首脳会談の焦点は、ウクライナ東部ドネツクとルガンスク両州の親ロ派が、ウクライナ政府の承認を得ずに10月18日と11月初旬に実施を宣言している地方選挙だ。 欧州連合(EU)議長国ルクセンブルクのアセエルボーン外相は、既に明確なメッセージをロシアに送ったと述べた。親ロ派が独自選挙を実施すれば、ミンスク合意に対する大きな違反であり、EUはロシアへの制裁強化を再び検討する可能性があると。 西側政府関係者の間には、ミンスク合意が完全に履行されるまで、たとえプーチン大統領にシリアの和平交渉を進め、難民の流出を押しとどめられる力があるとしても、ウクライナ問題でロシアに科している制裁を緩和すべきではないという意見が強い。
ロシア、シリアで空爆開始 「イスラム国」 特集 【特集】欧州揺るがす難民問題 http://jp.wsj.com/articles/SB10363634014521574701704581268402041200780?mod=wsj_nview_latest
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