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日本人が知らない「アジア核戦争」の危機/日高義樹
http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20150811-00010000-php_s-nb&ref=rank
PHP Biz Online 衆知 2015/8/11 12:27 日高義樹
『日本人が知らない「アジア核戦争」の危機』
著者日高義樹氏が前作『中国、敗れたり』(PHP研究所)で解説したように、中国は海軍力を大増強してアメリカを太平洋から追い出そうとしたが…
「海軍力増強」「人民元の国際化」に失敗した中国は、もはや核兵器に頼るしかない!? ワシントン情報から読み解く緊迫のアジア情勢。
本書まえがきより、著者のメッセージをお読みください。
その日、南太平洋のフィリピン沖は普段よりは凪いでいたというが、1メートル以上の波があり、アメリカ第七艦隊ですら警戒する三角波が夏の太陽にきらめいていた。その波間から白銀色の大型ミサイルが飛び出し、大気圏を通って中国奥地のゴビ砂漠に着弾した。
この大陸間弾道ミサイルの発射実験で中国は、アメリカ本土へ核兵器を搭載した長距離ミサイルを撃ち込めることを証明してみせた。それから十数年後、中国国務院は2015年5月26日、「中国の軍事戦略」と題する国防白書を発表し、南シナ海の南沙諸島近辺で中国が行っている人工島の建設をアメリカが妨害すれば、戦争も辞さないと威嚇した。中国がここで戦争と言っているのは、まぎれもなく核による戦争である。本書では中国が始めようとしている核戦争を明確にしたい。
PHP研究所から出版した私の前著『中国、敗れたり』の中で指摘したように、中国は海軍力を大増強し、機動艦隊をつくってアメリカを太平洋から追い出そうとしたが、失敗した。このため、最後の切り札として軍事力のレベルを格上げし、核兵器による挑戦状をアメリカに突きつけている。
中国は大陸間弾道ミサイルとともに、核兵器の開発を進め、アメリカの軍事情報筋によれば、いまやアメリカ、ロシアと並ぶ核大国になっている。第二次世界大戦後、核抑止力体制によって世界を動かしてきたアメリカに倣って中国は、核の力でアメリカの行動を抑えにかかっている。
この状態を座視すれば、中国は核戦力を背景にアジアの近隣の国々を制圧し、アメリカが動こうとすれば、アメリカが示した手本どおりに核の抑止力でアメリカの行動を抑えつけるだろう。さらに危険なのは、中国が核兵器を「使える兵器」として考えていることである。中国が戦術的に核兵器を使うことがあれば、核の偶発戦争が勃発する恐れがある。
わが国は、日米安保条約の実質的な改定にとりかかっている。新しいガイドラインとして、集団的自衛権を拡大することやアメリカ軍との協力体制について見直す動きが始まっている。だがこれから日本を襲ってくる危機は、こうしたガイドラインで対応できるような生易しいものではない。中国が強大な核兵器の力によって、アジア全体を自らの不法な体制の中に閉じ込めようとしているのだ。
アメリカは日米安保条約で日本を守っているが、中国が強力な核ミサイルでニューヨークやワシントンを攻撃すると恐喝した場合、日本を助けるために軍事行動をとることができるのであろうか。
アメリカの人々のあいだには、「世界のことには関わりたくない」という考え方が強くなっている。こうしたアメリカの国内情勢が変わらなければ、アメリカの抑止力、つまり70年にわたって日本を守ってきた「核の傘」が機能しなくなる。
アメリカの軍事専門家のなかには、米中の核による対決は、米ソの核の対決と同じように50年は続くと予測する者もいる。日本の命運を左右する重大な危機がやってくることは間違いない。
中国は、通常兵力による軍事力拡大競争に敗れた。だが強大な核戦力によって再び西側諸国に対する挑戦を始めた。この中国の危険な挑戦が、これから国際社会を大きく変えることは必至である。われわれは、この事態をいかに切り抜けるかを早急に考えはじめなければならない。
◇日高義樹(ひだか・よしき)ハドソン研究所首席研究員
1935年、名古屋市生まれ。東京大学英文学科卒業。1959年、NHKに入局。ワシントン特派員をかわきりに、ニューヨーク支局長、ワシントン支局長を歴任。その後NHKエンタープライズ・アメリカ代表を経て、理事待遇アメリカ総局長。審議委員を最後に、1992年退職。その後、ハーバード大学客員教授、ケネディスクール・タウブマン・センター諮問委員、ハドソン研究所首席研究員として、日米関係の将来に関する調査・研究の責任者を務める。1995年よりテレビ東京で「日高義樹のワシントンリポート」「ワシントンの日高義樹です」を合わせて199本制作。
主な著書に、『アメリカの歴史的危機で円・ドルはどうなる』『アメリカはいつまで日本を守るか』(以上、徳間書店)、『資源世界大戦が始まった』『2020年 石油超大国になるアメリカ』(以上 ダイヤモンド社)、『帝国の終焉』『なぜアメリカは日本に二発の原爆を落としたのか』『アメリカの新・中国戦略を知らない日本人』『アメリカが日本に「昭和憲法」を与えた真相』『アメリカの大変化を知らない日本人』『「オバマの嘘」を知らない日本人』『中国、敗れたり』(以上、PHP研究所)など。
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