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【7月31日 AFP】トルコがクルド人武装組織「クルド労働者党(Kurdistan Workers' Party、PKK)」とイスラム過激派組織「イスラム国(Islamic State、IS)」を相手に「二正面作戦」に乗り出した。この戦略をめぐりトルコが裏表のある策をろうしていることに北大西洋条約機構(NATO)諸国は気付いているが、加盟国唯一のイスラム教国を味方に付けておきたいがために目をつぶっていると、専門家は指摘する。
28日に緊急理事会を開いたNATOは、「テロ」と戦うトルコに連帯を示す声明を発表した。しかし、その裏では一部の加盟国が、トルコのレジェプ・タイップ・エルドアン(Recep Tayyip Erdogan)大統領の戦略に不快感をおぼえていた。
シリアとイラクで勢力を拡大するISの掃討作戦にトルコが突然参加してきたのは、西側諸国が対ISの防壁とみなしているクルド人勢力を攻撃するにあたってのカモフラージュが目的ではないか――こうした疑念が渦巻いている。
独裁的でイスラム主義に根差したエルドアン大統領はこれまで、ISの問題に見て見ぬふりをしていると非難されてきた。そのエルドアン大統領率いるトルコの方針転換の動機に、欧米諸国の政府は「非常に大きな不信感」を抱いていると、リスクマネジメント会社IHSのトルコ人アナリスト、エゲ・セチキン(Ege Seckin)氏はAFPに語った。
「トルコの優先事項がクルド人勢力、より具体的に言えば(トルコと)国境を接するシリア北部のクルド人勢力の台頭を抑えることだと、NATO諸国は十分に承知している」「対IS攻撃は、米国への譲歩の意味合いが強い」(セキチン氏)
専門家らによるとNATO側は、PKKとそれ以外のクルド人勢力を明確に区別している。英シンクタンク「王立統合防衛安全保障研究所(Royal United Services Institute、RUSI)」の中東カタール支部長、マイケル・スティーブンス(Michael Stephens)氏は、シリアのクルド人勢力が先週末にトルコ軍から砲撃されたと非難した際、トルコはすぐに攻撃をやめたと指摘。「米国が、この勢力には触れてはならないとのメッセージを(トルコに)送ったことは明白だ」と述べた。
■トルコとは断絶できない
米国にとっての優先課題はIS掃討であり、そのためにはトルコとの同盟関係を保つことが重要だと、米シンクタンク「ドイツ・マーシャル基金(German Marshall Fund)」のイアン・レッサー(Ian Lesser)氏は言う。
イラク・バグダッド大学(University of Baghdad)のイーサン・シャマリ(Ihsan al-Shammari)教授は、トルコが自国の目的を遂行するため同盟国と取引をしたと分析している。「ISへの空爆は恐らく、トルコがクルド人たちを狩り立てる行動の自由を得るため米国に払わなければならない代償だろう」
結局のところ、南方や中東に問題を抱え、さらに東方ではロシアが強硬姿勢を強めているなど複数の脅威に直面しているNATOは、トルコとの同盟関係を維持する必要があり、それは他の懸念に勝ることが確実視されている。
「たとえその政策に賛同できなくとも、トルコは(NATOにとって)中東に残された最後の同盟国の1つだ」と、IHSのセチキン氏は指摘した。
一方、RUSIのスティーブンス氏はこう話した。「今回の件でトルコとの関係を断つことはできない。結局のところ、これは我慢の問題だ。弱腰の政策に思えるかもしれないが、友人2人がけんかをしているときに、他に何ができるだろうか」 (c)AFP/Danny KEMP
http://www.afpbb.com/articles/-/3056129?pid=0
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