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4月24日、イエメン首都のサヌアでは、米国のドローン攻撃に対するデモが開かれた(Photo by Mohammed Hamoud/Anadolu Agency/Getty Images)
米ドローン攻撃がイエメン崩壊危機を招いた 新報告書が示す米国の「不都合な真実」
http://toyokeizai.net/articles/-/70058
2015年05月24日 アムリット・シン :米オープン・ソサエティ・ジャスティス・イニシアティブ上級法務オフィサー 東洋経済
イエメンが今回危機に陥ったことを受けて、同国でのドローン(無人機)攻撃中心のテロ対策は成功したとするオバマ政権の主張は間違いではないかとの議論が起きている。
実際、新たな報告書「ドローンによる死(Death by Drone)」が示したように、イエメン危機がなくても、米国のドローン攻撃がイエメン市民にもたらした危害を考えると、米国は戦略を再考すべきだ。
■肝心な情報は開示されず
米国は少なくとも2002年以来、イエメンでドローン攻撃を実施しており、攻撃回数は推計90〜198回に上る。米イ両政府はドローンの正確さを称賛してきたが、攻撃が何回実施されたか、誰が標的になったか、市民の何人が、そして誰が殺害されたのかなどの肝心な情報の開示を拒否してきた。
国防総合大学での13年5月の演説でオバマ大統領は、アフガニスタンの戦争地域以外では、「市民が殺害されたり、負傷したりしないことがほぼ確実でなければ、ドローン攻撃は実施されない」ことを請け合った。
また米国は「米国民に継続的で差し迫った脅威をもたらしているテロリスト」だけを標的にし、「個々のテロリストを捕える能力」があるときはドローン攻撃を行わない、と断言した。
目撃者と生存者の直接証言を含む「ドローンによる死」は、異なる内容を伝えている。この報告書に含まれる9件の事例(うち4件は2013年のオバマ演説以降の攻撃が対象)は、米ドローン攻撃でイエメン市民が殺害され、負傷したことを示す、信頼に足る証拠を示している。
ドローン攻撃のターゲットはイエメンの脅威にはなっていたが、米国の直接の脅威ではなかったかもしれないし、ターゲットのテロリストたちを捕まえられたかもしれない。だが、イエメン市民は、不要かもしれなかったドローン攻撃に苦しみ、命を失ってきた。
2014年4月19日のドローン攻撃で殺害された4人の罪なき市民の1人、ナシルの父親は「私の息子たちはアルカイダと何の関係もない。仕事に向かっていただけだった。なぜ米国機は彼らを攻撃したのか」と嘆いた。
2013年8月1日にワディ・サーで米ドローン攻撃によって息子を失ったイシャクは「彼らはただ殺す。自分たちのミサイルが引き起こした惨事をわかっていない。私たちの家族にもたらした苦しみに気づいていない」と語った。
■ドローン攻撃は逆効果である
米政府がドローン攻撃について沈黙を守り続けることが、イエメンやほかの国々では米国に不利な形で受け止められている。シラト・アル・ジャラの村民、モクベルは「米国はこの貧しい村で新たな殺人兵器をテストしている。人命に価値がある場所ではできないからだ。ここでは私たちに価値はない」と語った。
2013年2月、オバマ政権のテロ対策担当補佐官だったブレナンは、米国中央情報局(CIA)長官の指名承認のための上院公聴会で、「透明性の確保のため」米国は誤って殺害した事例を公に認知しなければならない、と証言した。彼はその後、米国政府は「アルカイダを標的とした米国の攻撃に起因する市民の死者数の合計を公表するべきだ」と認めた。米国はどちらも実行していない。
ナシルのように母や父や息子や娘を失った市民が、米国に対してだけでなく、攻撃に同意したイエメン政府にも怒りを向けるのは当然だ。ドローン攻撃はかえってアルカイダ支持を強化する可能性がある。
今年に入って米国はドローンの輸出に関する新政策を発表した。が、「ドローンによる死」が示すように、米国自身が国際法や自国のガイドラインさえ守っていない可能性がある。
現時点で米国は、ドローン攻撃が市民にもたらしている影響を認めることを拒否し続けている。だが最低限、イエメンで行使しているような秘密主義で、もしかしたら不法でもあるドローン戦争のモデルを他国に輸出するべきではない。
(週刊東洋経済2015年5月23日号)
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