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オスプレイはつい先日もハワイで死亡事故を起こしたばかり
オスプレイと共に特殊部隊を横田に配備!本州広域が危険な訓練場となる
http://diamond.jp/articles/-/71839
2015年5月21日 田岡俊次 [軍事ジャーナリスト] ダイヤモンド・オンライン
米国防省は5月12日、米空軍横田基地(東京都福生市など)に垂直離着陸輸送機CV22(オスプレイ)10機を配備すると発表、東京都などに対して特殊部隊の軍人・軍属約400人を追加する計画も明らかにした。「忍者部隊」が東京にやって来るわけだ。
おりしも5月17日には米海兵隊のMV22がハワイ・オアフ島のベローズ空軍基地で着陸に失敗炎上、乗っていた22人中1人が死亡、21人が火傷を負い病院に搬送される事故が発生した。
陸上自衛隊もMV22を17機、3600億円で輸入し、佐賀空港に配備する計画だが、安全性に疑問が再燃しそうだ。
横田基地に配備されるCV22は、すでに沖縄の普天間基地に24機が配備されている海兵隊ヴァージョンのMV22とほぼ同型機だが、空軍ヴァージョンのCV22は特殊部隊の潜入用だから、夜間に超低空飛行をするための「地形追随・障害物回避用レーダー」を装備している。MV22が2014年9月までで10万飛行時間当たり2.12件の比較的低い事故率であるのに対し、CV22は今年1月まで計4.2万時間の飛行時間だが、CV22はそれから10万時間当たりの事故率を計算すると7.21件に当たり、3.4倍の事故率となる。
機体自体にはほぼ違いはないが、MV22は沖合の強襲揚陸艦(ヘリ空母)から海兵隊員や補給物資などを陸地へ運ぶのが主な任務であるのに対し、CV22は特殊部隊を敵地の内陸に秘かに送り込んだり、収容して帰投させるため、超低空飛行や暗視装置に頼って夜間着陸の訓練をすることが多いためと考えられる。
■尖閣への抑止力向上は横田配備の理由にならない
現在、米空軍は沖縄の嘉手納空軍基地に特殊部隊を輸送し、夜間に落下傘降下をさせるMC130H中型輸送機(4発ターボプロップ)と、その空中給油機型MC130P計約10機を持つ「353特殊作戦群」を配備し、隣接するトリイ通信所には陸軍の「第1特殊部隊群」の第1大隊(約300人)が駐屯、この両者が一体となって潜入作戦を行う態勢だ。
このため米空軍がCV22の調達を始めた時点から、その一部が嘉手納に配備されることが予想されていた。米空軍も当初はその計画だったようだが、それを横田配備に変更した理由としては、
@普天間へのMV22配備への地元の反感が激しかったため、嘉手納でも反対が起こり、基地全体の撤去を求める動きも起きかねない。
A海兵隊普天間飛行場の閉鎖が1996年4月に日米間で合意された際、日本政府は嘉手納基地への統合を求めたが、米空軍は少女暴行事件などで評判の悪い海兵隊との同居を嫌がり、「低速の回転翼機(ヘリコプター)と空軍の高速の戦闘機を同じ基地に置くと航空管制が困難。危険が大きい」と主張して拒否した。CV22を嘉手納に配備すればこの論理が崩れ、「辺野古の新基地建設よりは早期実現が可能で、経費も格段に安い嘉手納統合でよいではないか」との論に強い根拠となる。
BCV22は敵の対空レーダーに発見されにくく、対空ミサイルや、高射火器で狙いにくいよう、山の陰に隠れ、谷間を縫って超低空で目標に接近するが、沖縄はほぼ平坦で周囲は海だから、その種の訓練には適さない。海兵隊のMV22も、特殊部隊専用のCV22ほどではなくても、その訓練をするため岩国基地に来て、日本本土で行っている。横田にCV22が常駐すれば、たぶん長野県から新潟県にかけ、日本アルプス付近を通る飛行訓練経路「ブルー・ルート」を使用できる、などが考えられる。
横田にCV22が配備されると、尖閣諸島などでの抑止力向上になる、と日本政府は説明するが、横田から尖閣へは約1800kmもの距離があり、空中給油をしないと届かない(新聞ではオスプレイの航続距離を3900kmとする記事が多いが、これは貨物室の座席を取り払い、燃料タンクを増設した長距離移動用の場合だ。実用ではエンジンを斜め上に向け、滑走して離陸する場合でも1700kmが限度)。中国に対する抑止力、というなら尖閣から350kmの嘉手納に配備するはずだ。
日本のメディアは政府の言うまま、日米同盟強化による中国への「抑止力」「牽制」を言うことが多いが、米国は4月27日に新たな「日米防衛協力のための指針」を発表する前に中国に内容を説明していたことが判明した。牽制すべき相手に事前に説明にうかがうのでは牽制にならない。
米国は従来「日米同盟で日本の軍事大国化を防止する」「新指針は中国に向けたものではない」と説いて中国との友好関係拡大に努めてきたから、CV22を嘉手納ではなく、横田に配備する一因も「中国を対象にしていない」姿勢の表明かもしれない。
■特殊部隊の夜間超低空飛行で墜落事故の危険も増す
CV22は2017年にまず3機、その後2021年までにさらに7機が横田に配備される。従来岩国の海兵隊の戦闘・攻撃機FA18や、三沢の地上レーダー、対空ミサイル制圧用の戦闘機F16が四国山脈の「オレンジ・ルート」や奥羽山脈の「グリーン・ルート」などで行ってきたと同様の低空飛行訓練をCV22も行うことになるだろう。日本の航空法では一般に地上の物体から150m以下の飛行は禁止されているが、これまで米軍機が四国山中の谷間などでそれよりも相当低い高度で飛行しているのが目撃されており、山の上の人が戦闘機を見下ろして写真を撮った例もあった。
ただオスプレイはターボプロップ機だから戦闘機ほどの轟音は立てないし、回転翼を前に向け、20余人乗りの小型輸送機として飛行する際にはヘリコプター特有の「パタパタ」という音も出ないから、訓練ルートでの騒音被害は比較的少ないと考えられるが、特殊部隊に不可欠な夜間の超低空飛行は危険を伴う。
さらに気になるのは、特殊部隊約400人が横田に来ることだ。その内訳を米国は日本側に伝えていないが、10機のCV22に対し、その操縦士や整備、管理要員が400人とは多すぎるから、現在沖縄にいる陸軍の特殊部隊の少なくとも一部が、彼らを運ぶCV22と共に来る可能性が高いと思われる。
CV22は横田にいて、それに乗る特殊部隊は約1500kmも離れた沖縄にいるのでは訓練に不便だし、緊急の出動に差し支える。特殊部隊員が闇の中で着陸と同時に機外に迅速に展開したり、撤収の際に順序良く乗り込むとか、ロープによる降下、回収や補給品の投下などの訓練を横田で行えば、今回ハワイで起きたような事故も起きがちだ。ヘリなどの回転翼機は着陸時に無風状態だと、自分が起こした下向きの激しい気流に入り込み、急に揚力を失い墜落することがある。
ただ横田は周囲が夜も明るすぎて、夜間訓練に適さないから、それをするなら陸上自衛隊と米海兵隊が共同使用している富士演習場で行うことになるのだろう。オスプレイは離着陸時、回転翼を上に向けるから高温のジェット噴気が下に吹き付け、米国では演習場の草木が燃えたこともあった。富士演習場では現在飛行は夜10時までとし、一定のルートを飛行して進入するなど、地元との協定があるが、夜行性の特殊部隊が来るとなれば制限の緩和を求めてくる可能性がある。
■違法な軍事活動に協力したと日本が非難される懸念も
特殊部隊は潜入を本領とする、比較的少人数で、猛訓練を受け、日本の戦国時代の「忍者」に似た部隊だ。敵地深くに入って偵察、破壊活動、暗殺、拉致、人質救出などを行う一方、各国語の専門家もいて、住民の懐柔工作や反乱軍の支援や訓練なども行う。米軍は特殊作戦を重視し、陸・海・空軍、海兵隊の特殊作戦関連部隊をまとめて指揮する「特殊作戦軍」を1987年に設立、人員は計6万人に達する。その中でも陸軍の「デルタ・フォース」、海軍の「シールズ」が最精鋭とされる。
特殊部隊はもっぱら秘密活動をするから、身元、国籍を隠すため、ロシア製のヘリや中型輸送機まで持っており、国際法を無視した作戦にも使われがちだ。2011年5月、パキスタンのアボタバードに隠れていたオサマ・ビン・ラディンと他の4人を殺し、負傷した妻を拉致したのは米海軍の「シールズ」で、陸軍の特殊作戦用ヘリ部隊が輸送に当たった。これはパキスタン政府への通告なしで行われ、他国の主権を無視した作戦だった。また今月15日夜には米陸軍の「デルタ・フォース」が米空軍のCV22などでシリア東部に潜入、「イスラム国」幹部のアブ・サヤフらを殺し、その妻を拉致したが、これもシリア政府に無断だった。
秘密の塊のような忍者部隊が日本に駐留して、秘かに出動、他国に潜入して違法な活動をされては、日本も思わぬことで非難される状況が起こりかねない。CV22の配備よりは、そのほうが問題かもしれない。
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