http://www.asyura2.com/15/warb15/msg/547.html
Tweet |
冷戦以後、「西」側諸国は弱体化している?変わりゆく世界の軍事バランスを考える
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150519-00071643-diamond-soci
ダイヤモンド・オンライン 5月19日(火)8時0分配信
30年前と比較すると、世界の海をパトロールする米軍の艦艇は半減している。社会保障費の増大や、際限のないテロとの戦いに「撤退」ムードを強める米国と、同じように軍縮を続ける欧州。世界の軍事バランスを『撤退するアメリカと「無秩序」の世紀』の著者でもある、ピューリッツァー賞受賞・WSJコラムニストが分析する。
● 弱体化する「西」側国家 NATO諸国の軍事の現状とは
現在のアメリカ軍のプレゼンスは近年で最も縮小している。1964年、アメリカ海軍は859隻の艦艇で世界の海をパトロールしていた。それが1984年には557隻になり、現在は289隻しかない。
1984年と2014年の違いの大部分は、冷戦の終結によって説明できる。だが、いまはもはや冷戦終結後の穏やかな時代ではない。たとえオバマ政権がそうであるかのように振る舞っていても、現実は違う。アメリカは世界的なテロの脅威と、さまざまな主要国からの新たな挑戦を突きつけられている。さらに悪いことに、世界におけるアメリカ軍のプレゼンスは、第二次世界大戦前の水準まで縮小している。
ペンタゴンはここ数十年、コストや規模や技術的な可能性を忘れて、質的な軍事的優位を確保することばかり考えてきた。このため海軍は、超ハイテクのシーウルフ級原子力潜水艦を29隻調達するはずが3隻しか調達できなかった。空軍はF22戦闘機650機の調達を計画していたが187機で終わった。宇宙時代に対応するDDG1000ズムウォルト級ミサイル駆逐艦は、32隻を調達する計画だったが、3隻建設しただけで終わった。多用途性を備えたF35戦闘機の開発の遅れ、開発コストの大幅な上昇、そして保守整備上の課題は、ほとんど伝説となっている。
全部合わせると、ペンタゴンは21世紀に入ってからの10年間で中止プロジェクトに460億ドルも費やした。最終的な配備数が少なすぎてその莫大な開発費用を正当化できないか、実戦に効果がないプログラムにも数十億ドルを費やした。
重要なのは、架空の戦争のために超高額・超最先端・超ハイテク兵器を少量確保することではない。より安価だが、応用範囲が広く、長期間使える兵器を大量に補充することだ。言い換えるとF35は減らして、改良したF15やF18を増やすのだ。ペンタゴンは軍事革命ではなく軍備を進化させる重要性を学び直す必要がある。
割れ窓理論に基づく警察活動を機能させるには、地元の協力が必要だ。NATO憲章は、加盟国にGDP比2%以上の軍事支出を義務づけている。
ところが2014年にこの最低ラインをクリアしたのは、アメリカ、イギリス、ギリシャ、エストニアの4ヵ国だけだった。フランスは1.9%、トルコは1.8%、ドイツは1.3%、ポーランドは1.8%、スペインは0.9%どまりだ。冷戦終結時、ドイツは36万人の兵力と、装備の整った12師団を有していた。現在、ドイツのGDPは3兆4000億ドルに上るが、兵力は6万2000人、戦車は225両、攻撃ヘリコプターは40機しかない。
● 冷戦下の緊張感を失った欧米と 危険性を増す「境界線」
NATOの初代事務総長を務めたイギリスのヘイスティングス・イスメイ卿が、NATOの目的は「アメリカを取り込み、ロシアを締め出し、ドイツを押さえ込んでおくことだ」と言ったのはよく知られているが、もはやその目的は書き直す必要がある。「アメリカを取り込み、ロシアを締め出し、ドイツを復活させることだ」と。
ヨーロッパは経済が苦しく、これ以上は国防に予算は割けないという主張があるが、これは眉唾ものだ。イギリスはおそらく第二次世界大戦後最大の不況に見舞われた1979年に、GDPの4.9%相当を国防費に当てていた。同年、フランスもGDP比4%を国防に支出した。当時でさえ、この予算は脅威の大きさに見合った規模ではなかったが、少なくともその取り組みは真剣だった。もう一度同じように真剣に取り組む必要がある。
アメリカがやるべきなのは、規範を定めてそれを世界で行使することだ。つまり基本的にどのような振る舞いが期待され、どのような行動には是正が求められるかを示すことだ。これは実効性が疑わしい国際「法」を宣言したり認めたりすることとは大きく異なる。またこれはアメリカがずっとやってきたことでもある。
アメリカは1983年にグレナダに侵攻して共産主義革命を転覆し、1989年にはパナマに侵攻して、アメリカへの麻薬輸出に関与していた体制を転覆した。1991年の湾岸戦争ではクウェートの主権を回復し、1990年代には旧ユーゴスラビア紛争に介入してサラエボ包囲に終止符を打ち、クロアチアの対セルビア戦を支援し、コソボにおける民族浄化を終わらせた。さらに台湾海峡に空母を派遣して中国の攻撃を阻止し、9.11テロ後にはアフガニスタンのタリバン政権を転覆した。2011年にはリビアの独裁者ムアマル・カダフィの打倒を支援した。ソマリア内戦への介入は、破綻国家の再建ではなく飢饉の緩和に目的を絞り込んでいれば成功していただろう(そしていまごろ忘れられていたに違いない)。
ヘンリー・ナウ(ジョージ・ワシントン大学教授)は論文『アメリカの国益』で、アメリカの「地球イデオロギー」的な利益として、「自由が最も重要な意味を持つ場所、つまり既存の自由社会(と自由でない社会)の境界線に注目するべきだ」と論じている。
それはアジアの自由な国々と中国や北朝鮮との境界線であり、ヨーロッパの自由な国々とロシアとの境界線、そしてイスラエルとアラブ諸国の境界線だ。「これらの境界にある国々が脅かされたら、アメリカも脅かされていることになる」と、ナウは主張する。「なぜなら独裁国家の妖怪が民主主義世界の中核に近づいてくると、世界は住みにくい場所になるからだ」
ナウが挙げた場所に加えて、コロンビアとベネズエラの境界線、インドとパキスタンの境界線、そしてイランと近隣諸国すべてとの境界線が、アメリカが注視するべき場所として挙げられるのではないか。
ブレット・スティーブンズ/藤原朝子
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。