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2015年3月26日 アレクサンドル・コロリコフ
ある画像が先週、インターネット上で話題となった。いわゆる「イスラム国(IS)」に制圧されたイラク・ティクリート市の奪還を目指して、イラク軍とイスラム教シーア派武装組織が共同で戦闘を行う中、アメリカ製の主力戦車「M1A1Mエイブラムス」(イラク軍所属)とロシア製の主力戦車「T-72S」(イラン軍所属)が、共に進撃している画像である。「鉄のカーテン」を介してさまざまな側から威嚇しあっていた冷戦時代の老戦車は、今や共通の敵に対して肩を並べて戦っている。
“老兵”の出所は
撮影されたどちらの戦車も恐らく、イランが支援するシーア派武装組織側に入っており、画像は、この地域で広がる混乱があらゆるものをごちゃ混ぜにしている実態を、反映しているにすぎない。
T-72Sは、「T-72」戦車の輸出用改変モデル。30年前に開発され、イランの軍備品となっている。イランはこのモデルを輸入した唯一の国。取り引きが結ばれたのは1991年11月。この時、イランでのT-72S戦車1000両生産ライセンスに関する協定が調印された。ライセンス生産が確立されるまで、最初の戦車はメーカーの工場からイランへ直接輸出されていた。1993年には、100両が輸出された。
一方で、イラク政府は、アメリカに占領された後でも、地元戦車兵になじみ深いロシア製戦車への関心を示し続けた。イラク軍はこの戦車を、東欧諸国から調達し続けている。ただ、イラクのアブドゥル・オベイディ国防相(中将)は2013年2月、いかなる「東の戦車」も、これらが「無限軌道の爆弾」であることから、イラク軍がこれ以上購入することはないと述べた。これは、ソ連の老朽化した戦車が湾岸戦争で示した、装甲の穿孔破壊の際に弾薬が爆裂する傾向のことである。
同時に、2010年から2013年にかけて、イラン軍はアメリカ軍が所有していた改変戦車M1A1Mエイブラムスを146両受け取った。2014年12月には、アメリカ国防総省から、アメリカ軍所有の改変戦車M1A1が175両イラクに納入されることが発表された。
だが、ISとの戦闘が激化したことから、イラクもこの計画を変え、「東の戦車」に再び興味を持ち始めたようだ。さらに、ソ連の戦車は、特に戦車兵招集やスペアパーツ探しの面で、対IS戦に合っていることが判明した。チェコの報道によると、同国の「エクスカリバー・アーミー」社(「エクスカリバー・グループ」に属す)は近い将来、チェコ軍所有の修理済みT-72戦車と歩兵戦闘車「BMP-1」をイラク軍に納入し始めるという。
米国による支援の隙間
イラクの軍備をめぐる状況は複雑である。アメリカとイラク政府が締結した、数十億ドル(数千億円)規模の兵器納入契約は、履行されていない。イラク安全保障・防衛委員会のハキム・アルザミリ委員長によると、イラクは約束された戦闘機「F-16」、ヘリコプター「アパッチ」、戦車のみならず、小火器や中火器も受け取ることができていない。2008年の契約によれば、アメリカは兵器納入だけでなく、兵士の軍事訓練も行うことになっている。
この状況でイラク支援に名乗りを上げたのがロシアとイランである。ロシアとイランはアメリカとは異なり、大西洋を挟んだ対岸の国ではなく、ISが勝利した場合に自国内で大きな問題を抱えるリスクにさらされる。
ロシアは昨年夏、速やかに、戦闘爆撃機「Su-24」、最新の攻撃ヘリコプター「Mi-28」、TOS-1A自走式火炎放射システム「ソンツェピョク」をイラクに納入した。ソンツェピョクは主力戦車「T-90S」をベースに製造されたもので、マスメディアの報道によれば、イラク軍はそのシャーシの品質に満足していたという。満足度は、IS支配地域の奪還に特に役に立つであろう、T-90Sとそれをベースにした(あるいはT-72をベースにした)火力支援戦闘車BMOP-72「テルミナトル2」の購入まで検討させるほどであった。地元の軍には今のところ、M1A1MエイブラムスとT-72Sを戦場で直接比較するという珍しい機会がある。イラク人とイラン人は品定め後、確信を持って気に入った方を入手することができる。
http://jp.rbth.com/science/2015/03/26/52415.html
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