03. 2015年3月24日 01:38:13
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日本の難民認定に批判2015年3月24日(火) The Economist シリアでは約900万人の人が故郷を追われている。そのうち300万人以上が近隣諸国に避難場所を求めた。さらに遠くの外国に逃れた人も数多い。中には、はるか日本にまで渡ったシリア人もいる。
だが、そこで待ち受けていたのは閉ざされた扉だった。世界第3位の経済大国である日本は、まだ1人のシリア人も難民認定していない*。 シリア人へのこの対応は、日本においては特別なことではない。これまで世界のあらゆる紛争から逃れてきた人々に対して、日本は一貫して不寛容な姿勢を取ってきた。2013年までの10年間で日本が認定した難民の数は300人強にすぎない。2014年にはわずか11人だった。 これらの数字は、帰る国を失った人々の数が増え続け、日本に逃げ場を求める人も多い状況を考えると、一層衝撃的だ。2014年に世界全体で難民となった人、難民認定を求める人、自国内で避難を余儀なくされている人の数は、史上初めて5000万人を超えた。日本でも昨年、1981年に国連難民条約に加盟して以降、最も多くの外国人が難民認定申請を行った。 日本にやって来て、難民認定を申請する人々は、過酷な現実に直面することがある。申請が処理される間、何年も収容所に入れられる人がいる。2007年に来日して申請を行ったナイジェリア人のグロリア・オカフォー・イフェオマさんは、入国審査官から、まるで難民には出ていってもらいたいと考えているような印象を受けたと話す。イフェオマさんは約2年半の間、鍵のかかった施設に収容されていた。 2月に日本のメディアが報じたところでは、日本に3カ所ある入国管理センターには現在常勤の医師がいないという(1日数時間だけ非常勤の医師がやって来る)。昨年3月には収容中の外国人2人が死亡した。 批判の中、法務省は手続きの見直しへ 当然、批判の声が高まっている。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)のアントニオ・グテーレス弁務官は昨年東京を訪れ、日本の難民保護制度はあまりに厳格で、制限的すぎると述べた。 2011年以降、61人のシリア人が申請を行い、難民認定された人が1人もいないというのは「恐ろしいことだ」と、弁護士の宮内博史氏は言う。現在4人のシリア人が法務省を相手取り、不認定の撤回を求める訴えを起こす準備を進めている。宮内氏はその代理人を務めている。 *:3月13日、3人のシリア人が難民として認定されたことが判明したとの報道があった。 NPO法人難民支援協会の石川えり事務局長は、申請者について出身国から情報を集める仕組みがお粗末だと指摘する。多くの申請者が、その必要もないのに不認定とされているという。 日本政府はこうした批判に苛立ちを隠さない。政府が指摘するのは、日本がUNHCRに世界で4番目に多くの資金を提供している点だ。法務省の広報担当者は、日本の入国審査官は難民申請を処理するにあたり標準的な基準を適用しているだけであり、認定率が低いとしたら、それは基準の問題だと強調した。 難民として認定はされなくても、半数以上のシリア人には、人道的見地から特別在留許可が与えられている。 しかし、改革への圧力は高まっている。法務省は難民認定手続きの見直しを進めているところだ。UNHCRも、法務省が報告書を作成するのに協力している。 これで、公正さと透明性が増すと楽観視する向きもある。そうかもしれない。しかし、難民支援関連団体のネットワークである「なんみんフォーラム」の石川美絵子理事は、事態がかえって悪化することを懸念する。絶望の中で日本の岸に流れ着く無力な人々が増える中、入国審査官がそうした人々の中から「制度乱用者」を排除する権限を強めてしまうのではないかということだ。 ©2015 The Economist Newspaper Limited. Mar. 14, 2015 All rights reserved. 英エコノミスト誌の記事は、日経ビジネスがライセンス契約に基づき翻訳したものです。英語の原文記事はwww.economist.comで読むことができます。 このコラムについて The Economist Economistは約400万人の読者が購読する週刊誌です。 世界中で起こる出来事に対する洞察力ある分析と論説に定評があります。 記事は、「地域」ごとのニュースのほか、「科学・技術」「本・芸術」などで構成されています。 このコラムではEconomistから厳選した記事を選び日本語でお届けします。 http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20150323/279028/?ST=print
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