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社説:警察国家に向かうトルコの民主主義
2015年02月25日(Wed) Financial Times
(2015年2月24日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
トルコ内閣、汚職疑惑で10閣僚交代 エルドアン首相は続投
大統領に就任してから独裁色を一段と強めるレジェップ・タイイップ・エルドアン氏〔AFPBB News〕
レジェップ・タイイップ・エルドアン大統領はほとんど自制心を見せることなく、トルコを自分を中心に築かれた権力国家に変えつつある。
近年、メディアを抑圧し、抗議者を取り締まり、独立した司法を弱体化させ、国内の民主的な自由と多元主義を破壊してきた。
半年前に国家元首である大統領に選ばれてからは、個人的な権力の増強に取り掛かり、この激しい気質を新たなレベルに引き上げた。エルドアン氏がさらに大きく前進することを許されたら、トルコはもう民主主義国に求められる基本的な基準を持たなくなるだろう。
大統領の権力拡大でトルコの世界的な評判に傷
2011年以降、エルドアン氏の率いる公正発展党(AKP)は個人の自由を制限する措置をあまりにたくさん講じてきたため、個々の弾圧を区別するのは難しい。だが、今後数日内に議会に提出される法案は警察に大きな権限を新たに与えるものであり、不安の種だ。
この法律は、銃を使う警察の権利を拡大するほか、警察が裁判所命令なしで市民や車を検査することを認め、検察当局の事前の承諾なしで48時間まで身柄を拘束できるようにする。暴力的なデモの際にマスクやスカーフで顔を隠した抗議者は、4年間投獄される可能性がある。
野党は、議会で承認された場合、この法律はトルコが警察国家に向かう決定的な一歩になると話している。
心配なのは法律の詳細だけではない。今夏の議会選挙の数カ月前というタイミングも気がかりだ。エルドアン氏は、6月の選挙でAKPがトルコを大統領制に移行させる憲法改正を実施できるだけの圧倒的大多数を獲得するのを望んでいることを隠そうともしていない。そのため、選挙が近づく中、エルドアン氏は公共の秩序を保ち、過去に自身のリーダーシップを揺るがしたようなデモを阻止したいと考えているのだ。
エルドアン氏の独裁主義はいくつかの点でトルコにダメージを与えている。まず、地域の他の国々がそれなりに真似することができる民主主義国としてのトルコの評判を傷つけている。
バラク・オバマ大統領は5年前、米国とトルコは共通の価値観を持つ「模範的なパートナーシップ」だと宣言した。エルドアン氏はこの発言を笑い種にした。エルドアン氏が権力を我が物にし、国内の自由を制限している様子は、次第に同氏をロシアのウラジーミル・プーチン大統領に似せている。
エルドアン氏の独裁主義は、トルコの国際的な立場も台無しにしている。欧州と中東の交差路に位置する人口7700万人の国として、トルコはアラブ世界で甚大な混乱が生じている時に戦略的なプレーヤーであるべきだ。
ところが、トルコの外交政策は大統領の個人的な気まぐれによって動かされているように見える。これがトルコと近隣諸国の絆をほつれさせた。特に、エルドアン氏は「イラク・シリアのイスラム国(ISIS)」と戦う緊急性を納得していないようだ。
暗くなる経済展望
エルドアン氏の独裁主義的な気質は、何にもまして、トルコの長期的な経済展望を損ねている。トルコ経済の成長率は3%で、2010年代初頭に見られた9%を大きく下回っている。
成長率低下の一因は、民間投資が過去3年間、全く伸びていないことだ。このトレンドを反転させるためには、国内外の投資家がトルコの将来展望に対する信頼感を高める必要がある。だが、中央銀行に対するエルドアン氏の度重なる攻撃――インフレ率が目標を大きく上回っているのに、利下げしないと言って中銀に説教している――は、政治的なリスクの認識を強める一方だ。
トルコはあまり意味のない存在と化してしまうには戦略的に大きすぎる。だが、エルドアン氏の指揮下では、トルコの国際的な役割が小さくなり、経済展望が暗くなり、活気に満ちた国民が大統領の支配下に置かれつつあるのだ。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/43008
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