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ジハードの脅威に立ち向かう米政権
2015年02月23日(Mon) Financial Times
(2015年2月20日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
米国務長官、イランのイスラム国空爆は「有益」
ISISとの戦い方について、米国で議論が割れている〔AFPBB News〕
「我々は彼らを殺すことでこの戦争に勝つことはできない」
米国務省の広報を担当するマリー・ハーフ氏は2月16日にMSNBCテレビでこう語り、この週ワシントンで繰り広げられたテロリズムに関するメディア論争に火をつけた。
「人々をこれらの集団に参加させている根本的な原因に迫る必要がある。それが仕事に就く機会の欠如であれ・・・」
数時間後には右派メディアのフォックス・ニュースが、ウサマ・ビンラディンを撃ったと主張する米海軍特殊部隊ネイビーシールズの元隊員、ロブ・オニール氏を番組に招き、同氏は「彼らを殺すこと」こそが、まさに米国が「イラク・シリアのイスラム国(ISIS)」のジハード主義者らを倒す方法だと説明、「彼らを止めるものは、キャリアパスの変化ではないと思う」と語った。
フォックス・ニュースの番組のほかの部分は、それほど礼儀正しくなかった。
テロリズムの根本原因
よくあることだが、政治的な点数稼ぎはより大きな超党派の問題をぼかしてしまう。オバマ政権はこの週、暴力的な過激主義について議論するために60カ国の閣僚と3日間のサミットを開催した。ハーフ氏が事前に説明していたのが、この国際会議だ。
サミットの顕著な特徴は、「9.11」のテロ攻撃から10年以上経った今、米政府がまだテロの「根本原因」について同じ対話を行っていることだ。
アフガニスタンとイラクの戦争、そして「対テロ戦争」を13年間戦ってきた末に、米国は振り出しに戻り、人が急進的になる理由を説明するのに腐心している。
ジョージ・W・ブッシュ大統領にとっては、問題の原因は中東の抑圧と民主主義の欠如にあった。「米国民は『なぜ彼らは我々を憎むのか』と問うている」。ブッシュ氏は9.11の直後にこう語った。
「彼らは我々の自由を憎んでいる。我々の宗教の自由、我々の言論の自由、投票し、集会を開き、互いに意見を異にする我々の自由を憎んでいる」
政治の停滞が少なくとも話の一部であることを疑う観測筋はほとんどいない。だが、ブッシュ氏はこの洞察を大きく推し進め、イラク侵攻を正当化する理由の1つとして使った。
もしバグダッドで力強い民主主義を確立できたら、この地域の有害な政治思想の源泉を枯渇させることができると言われた。実際は、イラクはジハード主義者の安息の地になった。
オバマ政権は概して、異なる考えを抱いてきた。ハーフ氏は失業と過激主義に関するコメントで、上司であるジョン・ケリー国務長官の意見を繰り返していただけだった。長官は昨年、「多くの場合、貧困がテロリズムの根本原因だ」と語っている。
イスラエル建国60年でビンラディン容疑者音声メッセージ発表か
アルカイダ創始者のウサマ・ビンラディンはサウジアラビアの建設大手の息子だった〔AFPBB News〕
だが、貧困は挫折した民主主義と同様に、事実とうまく合致しないことが多いうわべは魅力的なテロの理論だ。
実際、アルカイダが昔から強力な反例になっている。
サウジアラビアの建設会社の跡取りが創設し、今はエジプト人医師のアイマン・アル・ザワヒリが率いているアルカイダは、弁護士の息子で工学を専攻した大卒者のモハメド・アタを米国に送り込み、世界貿易センタービルに飛行機で突っ込ませた。
オバマ政権が犯した過ち
テロに対する説明を見つけようとする中で、オバマ政権はイスラム教と米国が直面する過激主義者との関係を否定することで自らを苦しい立場に追い込んでしまった。オバマ氏は18日、サミットの席上で「我々はイスラム教と戦っているわけではない。イスラム教を曲解している人々と戦っているのだ」と語った。
ブッシュ氏に同調するように、オバマ氏は、やはり人気があるが見当違いの問題の単純化、つまり、西側がイスラム教世界との「文明の衝突」に直面しているという考えを警戒している。その姿勢は正しい。だが、ISIS内における宗教の役割を甘く見ることで、オバマ政権は新たな敵の現実を歪める結果になった。
グレアム・ウッド氏は広く読まれているアトランティック誌への寄稿で次のように書いている。「これ(ISIS)が実際には千年王国説を信奉する宗教団体でないふりをすることで、米国はすでにISISを過小評価し、ISISに対抗する愚かな構想を支持してしまった」
9.11以降、テロリズムの研究に何年も費やしてきた学者たちは、意見が割れることが多い。テロリストを生み出す可能性が最も高い地域社会を対象としたプログラムを支持する人もいれば、過激主義の思想に対抗するための積極的なソーシャルメディアの利用を望む人もいる。
だが、ほぼすべての人がこのテーマはとにかく難しすぎると打ち明ける。「難しい現実は、急進化に向かう道筋が1つではないことだ」。ブルッキングス研究所の専門家、ダニエル・バイマン氏はこう話している。
By Geoff Dyer in Washington
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/42987
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