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(Japan's new military aims after hostage crisis: DW English)
http://www.dw.de/japans-new-military-aims-after-hostage-crisis/a-18230701
紛争
人質事件後の日本の軍事の新たな諸目標
日本が2人の人質を「イスラム国」に殺害されて救助に失敗したことにより、安倍晋三氏の事件対応について日本政界で論争に火がついた。彼の反テロ政策が厳しい検証を受けている。
「憎しみは人が背負うべきものでない…アラブの兄弟たちが私にそう教えた。」これは4年前に後藤氏がツイッターに書いたメッセージで、月曜日に日本で1万回以上共有された。週末にかけて「イスラム国」(IS)活動家によって惨殺されたこの日本人フリージャーナリストへの哀悼の念を共有するために、ツイッター利用者たちはこのメッセージの繰り返し投稿した。
この反応は、今回の出来事が日本社会に及ぼした影響の深さを示している。以前は、海外で危険な状況に置かれた他の同胞に対して、日本国民は心配よりも迷惑という反応を示すのが普通だった。
後藤氏に弔意を示すために東京の首相官邸の前に半旗が掲げられた
去年10月、ベテランの紛争地域レポーターである後藤氏は妻が子供を産んだばかりだったが、友人であり日本人同胞でもある湯川遥菜氏をスンニ派武装グループ・イスラム国から救うために、シリアに行った。
彼の死は「非常に悲しい」と、ある日本の市民はテレビのレポートで語った。
殺害されたこのジャーナリストに弔意を示すために、2月2日月曜日、東京の首相官邸前では日本国旗が半旗として掲げられた。
「積極的平和主義」
しかし、安倍晋三首相は自分自身の目標達成のために今回の人質事件を利用したと、多くの人々は考えている。彼は自衛隊が海外で救出活動を実施できるよう、この組織のための新たな法的枠組みを国会の場で求めた。安倍氏の将来像では空爆よりも即応部隊が念頭にあるようだ。
2013年、イスラム過激派がアルジェリアで日本人技術者たちを誘拐し殺害したのを安倍政権はただ見ていた。今のところ、日本の憲法では国土への攻撃から国を守ることしか国に許されていない。この憲法上の制約にもかかわらず、安倍氏は「積極的平和主義」を提唱するとともに、外交政策の理論的な土台として集団的自衛権を利用しつつある。
こうした最近の外交政策措置を用いて、安倍氏は国際舞台における日本の役割を強化し、影響力をますます強める隣国・中国との均衡を図りたいと考えている。安倍氏は早まって日本の伝統的な中東での「全方位」外交政策措置を放棄したと、批評家たちは非難している。
背景は不明確?
首相は2週間前にエジプトとイスラエルを訪問し、紛争で破壊された地域に向けた25億米ドルの非軍事・人道支援を発表した。イスラム国過激派は「私たちの女性と子供を殺す」ための資金贈与だと、安倍氏を厳しく非難した。このグループはその後、日本が自分たちに対する戦いに参加した罰として、2人の日本人人質の首を刎ねると脅迫した。
国会での重要な質問に対し、この保守の首相は2月2日月曜日、誘拐された2人の人質に対する2億米ドルの身代金のことは中東訪問の前に全く知らなかったと答弁した。この金額は、シリアとイラクでイスラム国による残虐行為を受けた人々のための経済援助として、安倍氏が約束したものと全く同じ額だ。
世論
この問題について日本の世論は割れているようだ。一方では、とりわけ世界の紛争多発地帯から遠く離れ、180,000人程度しかイスラム教徒がこの東アジアの国で生活していないのに、日本の市民がテロの犠牲になったことに驚く人々がいる。さらには、多くの日本国民は、自国が米国主導の反「イスラム国」同盟に参加していることにすら気づいていない。
「[イスラム国に対する]軍事作戦に不参加なのに標的にされるのは、日本にとって普通ではない」と、日本の毎日新聞は論説で述べ、「私たちはもはや、私たちは日本人だというだけで安全を感じられる時代に生きているのではない」と付け加えた。
中立国?
それでも、日本の中東政策変更は安倍首相の時に始まったことでないと指摘しておくのは価値あることだ。1990年〜91年の第1次湾岸戦争の期間の「札束外交」に始まったこの政策は、イラクに開発援助を供与する任務のために数百人の日本の軍人が派遣されたことで終わった。
安倍首相はこの人質事件の対応をめぐり鋭い批判を受けている
当時の小泉純一郎首相がこの部隊の撤退を拒否した時、6人ほどの日本の軍人が誘拐され、そのうち1人が斬首され米国の旗に包まれた。アルカイダもイスラム国も日本を中立国とは見なしていない。
先日の殺害事件にも係わらず、安倍首相は反テロ政策を続けると明言している。「そのテロリストたちは犯罪者だ」と安倍氏は語り、「私たちは彼らを追いつめ、責任をとらせる」と付け加えた。
安倍氏は、イスラム国のものと見られる動画で示された残忍な脅迫によってテロの危険が増加したとは考えていないと語った。安倍政権はまた、紛争地域に近い場所にいる全てのジャーナリストと日本国民に、更なる誘拐事件に遭うなどの脅威の危険があるので引き揚げるよう呼びかけた。
この話題の音声と動画
日本はイスラム国による斬首を非難する
発表 2015年2月2日
記者 Martin Fritz/rs
関連テーマ アジア太平洋経済協力(APEC)、アジア、イスラム国
キーワード アジア、日本、人質事件、安倍晋三、イラクとシリアのイスラム国、イスラム国
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(投稿者より)
ドイチェヴェレの英語サイトに掲載された記事です。この記事は同じ記者によるドイツ語記事の英語訳です。誤訳があるかも知れません。ご容赦下さい。
「彼の反テロ政策が厳しい検証を受けている。」"His anti-terror policy is being scrutinized." 本当は、政府も国会もマスコミも「安倍政権は良くやった」「この状況での政権批判は許さない」と、まともな検証などほとんどしていないのですが、海外が氏の反テロ政策に厳しい目を向けていると言うことでしょう。ただ、ネットの世界では迫害を受けながらも一生懸命やっている人たちはいます。
「積極的平和主義」"proactive pacifism"が、国際社会で認知されている「積極的平和」"positive peace"と似て非なる概念であることをここで述べておきます。概念が違うのに国内では同じ言葉を使って国民の誤解を誘導し、国外では概念通りの言葉を使って外国とはコミュニケーションを図ろうとしています。つまりは、国民を馬鹿にしているのです。安倍政権の欺瞞性がこういったところに表れています。
私は集団的自衛権にも自衛隊の海外派兵にも日本の武器輸出解禁にも賛成です。自分の身を自分で守ることや、仲間が存亡の危機にあるときそれを助けるのは当然のことだからです。ただ、安倍政権のこうした欺瞞性にはついていけないので、日本の防衛に関する一連の改革は別の方にやっていただきたいと願っています。
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