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「大学教育の終焉:内田樹の研究室」
http://www.asyura2.com/15/senkyo198/msg/892.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 1 月 01 日 00:11:05: igsppGRN/E9PQ
 

「大学教育の終焉:内田樹の研究室」
http://sun.ap.teacup.com/souun/19185.html
2016/1/1 晴耕雨読


大学教育の終焉 から転載します。
http://blog.tatsuru.com/2015/12/28_1002.php

室井尚『文系学部解体』(角川新書)の書評を『本の旅人』に寄稿した。
室井さんの本をぜひ読んで欲しい。

「大学教育の終焉」

筆者の室井さんと私はほぼ同時期(90年代はじめ)に大学教員となり、それから四半世紀を大学教育の現場で過ごして来た(私は2011年に神戸女学院大学を早期退職したが、そのあとも別の大学に理事や客員教授としてかかわっている)。

私が勤めていたのは私立のミッションスクールであり、室井さんは国立大学なので、大学の雰囲気や運営ルールはずいぶん違うはずだけれども、四半世紀の間に経験した環境の変化はおおすじでは同じものだと思う。

それはこの本の中でも繰り返し指摘されている通り、全く無意味な仕事の増大によって教員たちの研究教育の時間とエネルギーが壊滅的に損なわれたということである。

ある時期から大学には「まったく無意味」としか思えない通達や規則が文科省から雨あられのごとく降りてくるようになった。そのような制度変更について「何を根拠に文科省はそのような制度変更が有用であると判断したのか」「その制度変更の適否の検証はいつ、どのようになされるのか」「その制度変更が失敗だった場合、誰がどう責任をとるのか」というたぐいの(少しでも知性がある人間なら誰でも思いつくはずの)問いはすべて封殺された。いいから黙って言われる通りにしろ。言われる通りにしなければ助成金や運営交付金をカットすると上から一方的に告知された。

室井さんはそれを「手続き型合理性」と命名している。

研究倫理やセクハラやエアコンフィルターの掃除確認に至るまで「手続きだけをきちんとするために膨大な作業があらゆるところで発生している」のである。「膨大」というのは誇張ではない。今では大学教員はそのような日々送られてくる何の意味もないが空欄を満たさなければならない書類書きのために疲弊し果てている。

私の個人的経験を話す。教務部長をしているときに「シラバスをもっと詳細に書け」という指示が来た。私は自己評価活動についての長年のアンケート調査によって、シラバスの精粗と学生の授業満足度の間には何の相関もないという統計的結論を得ていた。学生がろくに読みもしないシラバスに、1年分の授業予定や期待される教育効果などを細密に書き込むのはただの徒労である。私は骨の髄まで合理主義者なので、このような無意味な労役に耐えることができない。だから、通達を無視した。翌年、助成金がカットされた。私はこの処分に怒りを抑えることができなかった。

ここには二種類の退廃が見て取れる。一つは「上が決めたことについて適否の判断をする権利は大学人にはない」という考え方である。権力を持つものはそれが下す指示について、その合理性や根拠を国民に開示する義務を免ぜられていると彼らは信じている。私はこれを名づけるのに「反知性主義」以外の呼称を思いつかない。

もう一つの退廃は処罰がほとんどつねに「金」の分配によってなされていることである。不服を申し立てる大学人を呼び出して、政府の政策の正しさを情理を尽くして語って納得させるというような手間ひまを教育官僚は取らない。「ああ、そうですか。じゃあ、お金を上げません」で終わりである。ここには「人間は金で動く」という彼らの個人的信念がはしなくも露呈している。

「上に無批判に従う人間」「金で動く人間」「ことの理非の判断に際して自分の知性を使わない人間」を組織的に生産すること、それがわが国の教育行政の最優先の政策課題なのである。ほんとうに恐ろしいことだと思う。

日本の大学教育はこのまま終わるのか、それとも再生のチャンスはあるのか。それについては室井さんが学生たちの潜在可能性の豊かさと私塾の発生を手がかりに一握の希望を語っている。私自身もこの希望にあるだけの賭け金を置く他ないと思う。

大学の現状を活写し、希望について語るというを限られた紙数のうちに果たした室井さんの努力に一人の大学人として感謝したい。

 

  拍手はせず、拍手一覧を見る

コメント
 
1. 2016年1月01日 00:27:52 : w9iKuDotme : S@BYVdB2dgc[121]
出口治明氏
「なぜドイツ人が払った税金を投入して外国人の学費まで無料にするのか。「天然資源のないドイツにとって、唯一の資源は人の頭脳。その頭脳は多様な意見に触れれば触れるほど革新的なアイデアを生む」外国人に無料で門戸を開くのは実はドイツの競争力を保つ戦略投資(今日の日経、大学欄)刺さりました。」
https://twitter.com/p_hal/status/577475517961482242

日本も資源がありません。外国人を多数受け入れ、頭脳労働してもらい、革新的アイデアを生み出してもらうことが国益につながります。
エアコンフィルターの掃除をしてもらうことではないですね。


2. 2016年1月01日 01:08:55 : qLSksenOxg : MD47sJjhbj0[31]
>>1
欧州の状況と一緒に考えている時点で滑稽
結局シナチョソの土人半島人に偏るだけ

そして
頭脳労働にもならないしなったとしても日本の税金をしゃぶり尽すことしか考えていない奴ら
それを知らないでほざく奴って意図的にトラブル起こそうとしたい奴らなのか? 呆

私立大学は対象外なのに文系解体とは大袈裟な

宮台や上野とかの税金泥棒が消えてなくなるだけって話なのに
あ、だから必死になっているわけか


3. 嫌ネトウヨ、ネトサヨ[824] jJmDbINng0WDiIFBg2yDZ4NUg4g 2016年1月01日 07:19:51 : 08zGtHgSTz : pw5Ei_VyHyo[1]
>研究倫理やセクハラやエアコンフィルターの掃除確認に至るまで「手続きだけをきちんとするために膨大な作業があらゆるところで発生している」のである。「膨大」というのは誇張ではない。今では大学教員はそのような日々送られてくる何の意味もないが空欄を満たさなければならない書類書きのために疲弊し果てている。

手続き=民主主義。
手続き作業は単調で退屈。だからそれを委任した公務員が存在する。それを嫌がるようなら税金をもらって生活する公務員をやめるしかない。
内田樹の考え方には同調できない。


4. taked4700[4761] dGFrZWQ0NzAw 2016年1月01日 10:47:06 : g0m64d25zM : hAUwJvFDuRc[10]
>「上に無批判に従う人間」「金で動く人間」「ことの理非の判断に際して自分の知性を使わない人間」を組織的に生産すること、それがわが国の教育行政の最優先の政策課題なのである。ほんとうに恐ろしいことだと思う。

これは事実だと思います。そして、そういった指示をする文部官僚はまさにロボット化しているわけですね。

背景には何があるのかを、きちんと考えるべきです。そして、その是正のためには何ができるかを考えるしかありません。

1つは組織を小さくすることです。地域経済を自立化して、その中で教育再生をはかること。


5. 2016年1月01日 12:59:11 : zFGQsw7gGk : A7iAiKgumvI[3]
>3

アンタは内田さんの言ってることを全く理解していない。

大学教員の本来の仕事は学生の教育と研究であって、書類埋めの事務仕事ではない。

事務仕事のために雇われている公務員もいる。それが文科省の役人である。その役人が職務を逸脱しておよそ自分のテリトリーとは関係のない教育の現場に口出ししてきて、教員の本来の職務の邪魔をしている。

内田さんは私学に勤務していたから公務員ではないし、彼の多くの出版物を見れば教育と研究に多大な貢献をしていることは見る人には見える。

教育と研究に何の役にも立たない文科省の役人は裏方仕事に徹するべきであって、それが嫌なら公務員をやめろ、というセリフは彼等に言ってやれ!

アンタのように公務員=税金泥棒と考えている人間に限って、最も多くの税金を泥棒している霞が関の役人には何も文句が言えないのは、馬鹿だからなんだろうな。


6. 2016年1月01日 15:30:59 : G9pRncd5P6 : kNLawzAmjgA[184]
> ここには二種類の退廃が見て取れる。一つは「上が決めたことについて適否の判断をする権利は大学人にはない」という考え方である。権力を持つものはそれが下す指示について、その合理性や根拠を国民に開示する義務を免ぜられていると彼らは信じている。私はこれを名づけるのに「反知性主義」以外の呼称を思いつかない。

>もう一つの退廃は処罰がほとんどつねに「金」の分配によってなされていることである。不服を申し立てる大学人を呼び出して、政府の政策の正しさを情理を尽くして語って納得させるというような手間ひまを教育官僚は取らない。「ああ、そうですか。じゃあ、お金を上げません」で終わりである。ここには「人間は金で動く」という彼らの個人的信念がはしなくも露呈している。

内田さんの言いたいキモはここだろうね。
国家権力が決めたことに国民が逆らうのは許さないし、かつ、権力側は国民に説明責任を持たない。
従わない者には金を回さないだけ。
大学だけの問題ではないのだ。

>「上に無批判に従う人間」「金で動く人間」「ことの理非の判断に際して自分の知性を使わない人間」を組織的に生産すること、それがわが国の教育行政の最優先の政策課題なのである。ほんとうに恐ろしいことだと思う。

それでいいじゃないか?という人は、自分もまた「上に無批判に従う人間」、「金で動く人間」になり、「ことの理非の判断に際して自分の知性を使わない人間」として、増税でも戦争も、何処までもこの国の「偉い人」が決めたことに黙ってついていくんだろうか?
そのような境遇を「奴隷」というのだが。
もちろんこの国の「主権者」なんかではない。

まあ、それでいいという人はいいんだろう。


7. 2016年1月02日 18:39:49 : IJjjrLkBu1 : Tp0IihGPIW0[83]
  やはり、利権、既得権益の関係から、秩序立った手続きが必要なのだ。つまり、納税者が納めた国税の使途を、ある程度自由に動かせる公務員が、煩雑な議会制民主主義を端折って一気に経済成長重視の国家へと変貌させたのだろう。
  原爆投下、空襲による悲惨な終戦を迎え、欧米に追い付け追い越せ、と、取るものも取り合えず貿易立国として米国市場を使った経済大国に為る過程で、多くの成熟国が経験した、納税者自身が、納めた税金の使途を議会で代表者によって決める、という過程が殆どカットされたのである。
  行政による立法案、行政による政権党への説得、説得を受けた政権党による、党議拘束をあえて掛けた行政立法案の可決、行政による通達、行政指導の疑似法律化、実態的には補助金という飴と、行政罰、規制という鞭で維持される日本国の国家秩序が出来たと言える。
  司法人事をも行政が掌握したために、憲法や基本法の理念や原則に沿った行政実務か否か、法廷では精査されることは無かったのである。つまり、施政下に居る者の人権や尊厳というものの価値は一切考慮されず、ひたすら経済合理性に適うかどうかが尺度となった、と言える。
  個の人権や尊厳の保障はむしろ国益には反する、という経済合理性の追求は、天下り公務員を介して日本中に蔓延したのではないか。
  結局のところ、国税という血流は、既得権となって、官僚を主とし、それに群がり従う族議員や経営団体によって、昔の庄屋と百姓のような階級維持を必要としたのである。
  その中で、既得権益者による種々の施策、政策が怠りなく行われており、階級秩序が乱れないよう、細心の注意が払われていると言えるだろう。結果的に、あらゆる組織体において、もはや経済合理性どころか生産性さえ落ちると思われるような無意味、理不尽な施策が上意下達で下りて来るのである。
  いわば、上位が黒い石を白いと言えば下部は皆、黒い石に見えるとしても、白い石だと口に出すことを求められる。王様は裸であっても、立派な服を着ていると上位が言えば、是認し口に出すことを求められるのである。  
  俗にこれが「場の空気を読んで大勢に付く」「長いものには巻かれろ」と称する民衆の処世術となっているのである。
  これによりもはや、誰が首謀者か分からぬくらいに、人権侵害、人権無視が日本国にとって欠くべからざる風土となっている。
  大勢、体制に異議を持つようなものはたちまち捉えられ嫌疑をかけられ、中心から追い落とされる構造である。ほぼ自動的にそれが機能するようになっているのである。
  結果的に日本人は、人権を無視され、侵害されることをむしろ歓迎するM型となり、少しでも体制の目に留まり、指摘を受けぬように、自分の尊厳を上位者に差し出すことをケチらぬよう、注意する仕事が日常を占めている。
  そんなことは無い、と思う者は、もはやそれが当たり前の日常となり、不思議に思わなくなっているからである。
  かくして、日本人の労働生産性が落ちているのは当然である。ほぼ自動的に、やらなくて良いことに神経を使って生きているからである。

8. 2017年7月06日 09:33:11 : aDnSvZ9mUA : eeYmw@idcu8[-956]

こいつらの著書
http://i.imgur.com/AMqDSae.jpg
反知性主義を単に「知性的ではない」という字面だけの意味で批判的に取り扱ってる本
反知性主義の反対は権威主義やエリート主義のことだし、僕ちゃん権威や権力大好きって言ってるようにしか見えない

なんだいろんな人からボロっかすに叩かれたあの本か(笑)
http://dailynewsonline.jp/article/1028965/
↑これなんか内田樹がかわいそうになるくらいボコボコにしているな(笑)
これがパヨクの巨頭(爆笑)

http://hayabusa9.2ch.net/test/read.cgi/news/1499223476/抜粋

[32初期非表示理由]:担当:ネトウヨ論法多数のため全部処理 http://www.asyura2.com/17/senkyo225/msg/687.html#c28


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