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日米同盟強化と対中関係改善は両立できるか 2016年は日本外交の構想力と実力が試される(東洋経済)
http://www.asyura2.com/15/senkyo198/msg/807.html
投稿者 赤かぶ 日時 2015 年 12 月 30 日 00:03:05: igsppGRN/E9PQ
 

習主席は「新型大国関係」に言及するが、オバマ大統領はもはやこの言葉を口にしない(写真は2015年9月25日ホワイトハウスでの共同記者会見:Landov/アフロ)


日米同盟強化と対中関係改善は両立できるか 2016年は日本外交の構想力と実力が試される
http://toyokeizai.net/articles/-/98695
2015年01月02日 加藤 洋一 :日本再建イニシアティブ(RJIF)研究主幹 東洋経済


日本の外交・安全保障政策に、決定的な影響を及ぼす米中関係は、2015年を通じて悪化の一途をたどった。不信感も深まった。

原因は大きく分けると2つある。一つは米オバマ政権の対中政策が、政権発足当初から「関与」重視と「抑止」重視の間で揺れ動いていることだ。今は「抑止」に振れている。もう一つは中国の対米政策の行き詰まりだ。米国との衝突を、いわゆる「新型大国関係」の構築で回避しようという構想を打ち出したが、米国が背を向けてしまった。実現の見通しが事実上消えたのに「看板」を下ろせないでいる。米中双方の抱える問題で、両国関係は低空飛行が続いている。

■「関与」か「抑止」が、定まらぬ米国の対中戦略

オバマ政権は2009年の政権発足当初、「関与」重視でスタートした。スタインバーグ国務副長官(当時)が主張した”Strategic Reassurance” (戦略的再保証)がその象徴だ。スタインバーグ氏は、「不信の原因に取り組む一方で、共通利益の分野を強化する」と説明した。党派を問わず、過去の多くの米政権が、中国に厳しい立場からスタートしたのとは明らかに異なっていた。

しかし、この野心的コンセプトは政権に正式に認知もされないまま、立ち消えになった。2009年12月にコペンハーゲンで開かれた国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)で、中国が予想を超える強硬姿勢を見せたことや、2010年9月には尖閣諸島周辺で、中国の漁船が日本の海上保安庁の巡視船に衝突したことなど、中国の高圧的な態度が目立つようになったからだ。中国に足もとを見られた、との見方が広まった。

スタインバーグ氏が政権から退くと、2011年10月には、クリントン国務長官(当時)が、外交評論誌 "Foreign Policy" に寄せた論文で、"pivot" 後に "rebalance" と呼ばれるようになった「アジア回帰」政策を打ち出した。10年に及んだテロとの戦いに一応の区切りがついたことを受けて、アジア重視の姿勢を改めて打ち出すことに主眼があったが、中国はこれを「封じ込め策」と受け止めた。米国側は、「中国を標的にしたものではない」と今に至るまで繰り返しているが、不信は払拭できていない。この新戦略を推し進めた政権幹部の間に、「封じ込め」ではないにしろ、対中政策を「抑止」重視に方向転換しようという意図があったことは事実だ。

ところが、この「抑止」重視路線から再び、「関与」重視に振れる。2013年6月、オバマ大統領が、中国の習近平国家主席をカリフォルニア州パームスプリングス近郊の保養施設サニーランズに迎えて、計8時間にわたる首脳会談を行った際、中国側が主張する「新型大国関係」の構築に同意したのだ。

「新型大国関係」の狙いの中心は、過去に繰り返されてきた既存の大国と新興国との衝突を回避することだ。この点については米国も異存はない。しかし、問題はその方法だ。中国が主張するのは「核心的利益の尊重」。要するに「中国は米国の核心的利益に干渉しないから、米国も中国の核心的利益には手を出さないでほしい」ということだ。しかし、中国の「核心的利益」の定義は、時によって変化する。結果として、米国だけでなく日本にとっても受け入れ難いものになる。

■「新型大国関係」は「核心的利益」で潰えた

中国外交部の華春瑩副報道官は、サニーランズサミットに先立つ2013年4月26日の定例記者会見で、「釣魚諸島(日本名・尖閣諸島)は、国家主権と領土の一体性の問題だ。当然、中国の核心的利益だ」と明言した。日本政府による尖閣国有化の半年あまり後のことだ。「核心的利益の尊重」という中国の主張に従えば、米国は、中国が尖閣諸島に何をしようと一切手出しはしない、ということになる。これでは、日本は困るし、米国の立場とも異なる。

1年後の2014年4月24日、訪日したオバマ大統領は「(米国の日本防衛義務を定めた)日米安全保障条約第5条は、尖閣諸島を含む日本の施政下にあるすべての領土を対象とする」と語り、中国側に衝撃を与えた。これは単に尖閣諸島に対する防衛義務を改めて表明しただけでなく、中国側の主張している「核心的利益の尊重」を、米国としては受け入れないことを明確にした、というより大きな意味も持つ。

こうした「抑止」重視の姿勢は、2015年に入って一層強化された。主な理由は、中国の南シナ海での埋め立てと、米国に対するサイバー攻撃の激化だ。2015年5月にシンガポールで開かれたシャングリラ・ダイアローグ(アジア安全保障会議)では、カーター米国防長官が、中国に対して埋め立てを「中止」するよう演説で要求したのに対し、中国はそれを無視するという、明らかな対立構図が浮き彫りになった。

その結果、しばし躊躇していたオバマ政権も10月になって、中国の人工島の12海里内に米海軍駆逐艦を航行させる「航行の自由作戦」に踏み切った。中国の領有権を認めない立場を明確にするためだ。それに先立つ9月には習主席が就任以来2度目の訪米を行い、懸案のサイバー・セキュリティー問題をめぐって前進が図られた。サイバー攻撃による知的財産の窃盗をいずれの政府も自ら行わないだけでなく、支援もしないと合意したのだ。これはそれなりに意義深いものではあったが、実効性を見極めるにはまだ時間がかかる。根本的な懐疑論もある。少なくとも悪化した両国関係をすぐに好転させる材料とはなりえていない。

一方、中国側の問題点は、習主席が、就任前から対米関係構築の基軸として強力に推し進めて来た看板政策、「新型大国関係」が一向に実現するメドが立たないことだ。2013年にいったんオバマ大統領が受け入れを表明した時点と比較すれば、米国の姿勢は明らかに後退した。

オバマ政権幹部は、「米国はもうこの用語は使わない」と言い切る。2014年11月、2015年9月と過去2回の共同記者会見での、両首脳の発言を点検すれば明らかだ。習主席はともに3回ずつ「新型大国関係」に言及しているが、オバマ大統領は一度も口にしていない。誰の目からみても行き詰まりが明らかなのに、習主席がこの用語を使い続けるところに、中国の対米外交の苦しさが浮き彫りになっている。

■「政治の季節」に入り、米中関係の好転は見込めず

2016年11月には米国で大統領選挙が予定されている。米国はすでに、あらゆる政策課題が、選挙の戦略、戦術の文脈で語られる「政治の季節」に突入している。2017年1月に次の大統領が就任するまで、冷静な政策論議は期待できない。南シナ海問題とサイバー問題を中心に、米国内には中国に対して厳しい空気が広がるなか、2016年中に米国が譲歩する形で米中関係が好転することは考えられない。

中国については、習主席がすでに権力基盤を固めたとの見方がある一方で、経済の減速傾向は今年も続くとの予想が支配的だ。それが中国社会の安定にどういう影響を与えるのか。世界が不安を抱きつつ、見守る状態が続きそうだ。当面、習政権には対米関係でこれまで以上の「仕掛け」をする余裕はないだろう。

日中関係は、2014年11月の歴史認識や尖閣諸島などをめぐる4項目の合意以来、それまでの「最悪」と言われた状態を脱して、何とか好転の軌道に乗った。木寺昌人駐中国大使は昨年末、毎日新聞とのインタビューで「(日中関係は)大変厳しい時期を脱して上り坂にある」との認識を示した。4項目合意以来、安倍晋三首相と習主席との首脳会談も計3回実現した。

日本側はもちろんだが、中国側にも関係改善に向けた意欲が鮮明に見て取れる。経済の減速と無関係ではないだろう。昨年で抗日戦争勝利70周年という、歴史的な大きな「負の節目」も超えた。今年は、中国で主要20カ国・地域(G20)首脳会議、日本で日中韓サミットがそれぞれ開催されることから、「双方にとって大きなチャンス」(木寺氏)との期待も出ている。

■日本の外交は米中関係次第?

しかし、米側には「つまるところ日本外交は、米中関係だ」(ジェラルド・カーティス米コロンビア大教授)という見方がある。確かに、米中関係がギクシャクしたままでは、日本の対中関係改善は難しい。それにとどまらず北朝鮮問題、韓国や豪州、インド、東南アジア諸国、さらにはロシアとの関係前進も複雑になる。

半世紀近く日本の政治と外交を研究してきたカーティス氏は、最近の筆者とのインタビューで「日本にとっていかに対中関係をうまく舵取りするかのカギは、米国との同盟関係であり、同盟関係のカギは米国がどういう対中政策をとるかだ」と解説した。

米中関係改善の展望がなかなか開けないなか、日中関係だけが独立して好転しうるのか。安保法制と新しい日米防衛協力のための指針(ガイドライン)で打ち出された同盟強化の方針と、対中関係改善を矛盾なく進めることができるのか。2016年は米中両国だけでなく、日本にとっても、外交の構想力と実行力を厳しく問われる年となりそうだ。

 

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コメント
 
1. 罵愚[3009] lGyL8A 2015年12月30日 05:57:54 : xMypi52Lpo : 03AJtzHSxzs[13]
 バカも休み休みの好例で、日米同盟強化と対中関係改善が両立できるはずがない。軍事同盟とは、仮想敵国の存在のうえに成立する。敵のいない軍事同盟なんて意味はない。こんなチーチーパッパがわからないのが… 

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