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アベノミクスで社会荒廃…貧すれば鈍する大企業の中小潰し
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/172368
2015年12月25日 日刊ゲンダイ P1、P2文字お越し
二人三脚(後ろは榊原経団連会長)/(C)日刊ゲンダイ
今、行われているのはハイエナのような大企業による家計と中小企業からの収奪だ
そんな大企業を優遇する弱者イジメの冷酷政治を続けさせたら庶民は奴隷のようになるしかない
24日の毎日新聞のオピニオンページに掲載されていた[今年を振り返る]という座談会。ベストセラー「資本主義の終焉と歴史の危機」の著者でエコノミストの日大教授・水野和夫氏の発言は、まさに正鵠を射ていた。
〈(成長できない経済構造なのに)経済産業省は株主資本利益率(ROE)を欧米並みの8%に高めろと言います。大企業がもうけたしわ寄せは、中小企業や家計がかぶる。以前は南北問題のように国境を超えて収奪していましたが、グローバル化で途上国の一部も発展した代わりに、先進国の国内でも収奪が起きている。南北問題は、今や大企業と家計の間にある〉
これがいまのこの国の現実だ。いわゆる南北問題が日本国内で起きている。大企業が円安で過去最高益を更新する一方、庶民は賃金も上がらず、物価高に苦しみ、むしろ“搾取”されているのである。
「ROE8%」は、昨年8月に経産省が出したリポート「持続的成長への競争力とインセンティブ―企業と投資家の望ましい関係構築」の提言だ。日本企業は「稼ぐ力(収益力)」を高めることが急務で、欧米企業並みにROE8%以上を投資家にコミットすべきだとしている。
だが、水野氏が〈そもそも従来型の成長は不可能。日本は十何年もゼロ金利が続いている。これは潜在成長率がゼロという証券市場のサインです〉と言うように、ゼロ成長の日本で投資家に尻を叩かれるままに大企業が収益率を追求したらどうなるか。
従業員の給料や取引先への支払いが“ムダ”なコストだとして削られるだけである。
水野氏にあらためて聞いてみた。
「資本主義というのは、そもそも全ての人を豊かにする仕組みではありません。古代ならローマ市民にとっての奴隷、大航海時代は欧州にとっての南米、19世紀は英国にとってのインドが、富める者による貧しい者に対する収奪の関係にありました。そして20世紀、1980年代ごろのグローバリゼーションの前までは先進国と発展途上国という南北問題でしたが、途上国が豊かになったため、先進国は利潤を国内で追求するようになった。いまや日本の南北問題は、例えばROE経営の大企業と非正規労働者になっているのです」
この2年で労働分配率は5%も下がり、正規労働者の割合も2年前の65%から62%に低下した。弱い立場の労働者が飢えたハイエナの食い物にされたのである。
金持ち資本家の“代理人”のような安倍首相
倫理観を見失うまでに…(不正経理が発覚した東芝の室町社長)/(C)日刊ゲンダイ
強欲な投資家や経営者の暴走に歯止めをかけるのが、本来は政治の役割のはずだ。ところが安倍政権は逆で、むしろそれを後押しするように、大企業のための優遇策をこれでもかと打ち続ける。
アベノミクスとは、庶民から大企業への富の移転の歴史だったと後々に語られるようになるだろう。異次元緩和による円安株高は輸出中心の大企業の業績拡大に大きく貢献したものの、輸入品の高騰を招き、物価が上昇。中小企業や家計を苦しめた。
そこへ昨年4月の8%への消費税アップだ。消費者の財布のヒモは、ますます固くなり、中小企業は増税分を転嫁できず、実質賃金も上がらない。経済の好循環ではなく悪循環を招いたのではなかったか。東京商工リサーチ情報本部長の友田信男氏はこう言う。
「トリクルダウンで大企業の儲けを中小企業や個人に広げていくはずでしたが、結局、儲けは内部留保と株主への配当になってしまっています。大企業の内部留保は前年比8%増。設備投資も8%増ではありますが、金額ベースで見ると内部留保の10分の1にすぎません。これでは中小が潤うわけがありません。そのうえ、中小の中での二極化も進んでいます。3月期決算の資本金1億円未満の中小16万社について調査したところ、増益が45%、減益が45%でした。建設関係はいいのですが、卸や小売りは減収減益が多い。消費者が支出を抑えている影響をもろに受けているのです」
そんな中でも安倍政権は、大企業に対しては法人税を下げ、資産のある富裕層向けに親や祖父母から子や孫への生前贈与の非課税枠を拡充。安倍首相は金持ち資本家の“代理人”のようなものである。
■上位10%、1%に富が集中する国へまっしぐら
こうして安倍政権の3年間で、日本社会はすっかり荒んでしまった。経済格差が拡大しただけではない。経団連会長を輩出した日本を代表する名門企業である東芝の不正会計は、倫理観を見失うまでの株主利益の追求の行き過ぎた末路でもある。
しかし安倍は、そんな歪んだ日本を是正することなく、来年以降も金持ち優遇政策を、さらに加速させる。
法人税の実効税率を現行の32.11%から16年度に29.97%、18年度には29.74%に前倒しして下げることを早々に決め、大企業の内部留保を吐き出させるために必要だと議論が進んだ「内部留保課税」は結局見送られた。
そのツケは、赤字企業や利益の少ない中堅企業に「外形標準課税」の拡大で支払わせ、何年にもわたって法人税減税が続く間に、庶民に対しては、17年4月に消費税の10%への増税を押し付ける。これほどの弱者イジメの冷酷な政治が、今まであっただろうか。
「ピケティが著書『21世紀の資本』で、今後、先進国は相続により上位10%、1%といった人々に富が集中していくと書いていましたが、日本も同じ道を歩むことになるでしょう。1970年代に『1億総中流』という他の先進国ができないことをやってのけた国なのに残念です」(水野和夫氏=前出)
その責任の一端は、大メディアにもある。突然、降板を発表したテレ朝「報道ステーション」のキャスター・古舘伊知郎が24日の会見で、「ものすごく不自由な12年間だった」と心情を吐露したが、安倍政権のこの3年で、その気持ちがより強まっただろうことは想像に難くない。安倍官邸の圧力に屈したかのように、新聞もテレビも安倍政権の政策を批判しない。これほどの大企業による収奪が起きていても、警鐘すらほとんど鳴らさない。
1強多弱の国会は機能不全、権力を監視するはずの報道機関が、羊のようにおとなしくなってしまった今、安倍政権の暴走を止めるものは何もない。こんな悪政が続いたら、庶民は奴隷のようになるしかないのである。
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