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蓮池透さんが記者会見を開いた
「具体的な対北政策が見えない」拉致被害者家族の蓮池透さんが「安倍首相」を批判
https://www.bengo4.com/kokusai/n_4085/
2015年12月21日 17時12分 弁護士ドットコムニュース
北朝鮮の拉致被害者家族の蓮池透さんが12月21日、東京・有楽町の外国特派員協会で記者会見を開き、「安倍さんの言うことは『あらゆる手段を尽くす』とか非常に情緒的で、具体的な戦略はまったく見えてこない」などと、安倍首相の対北政策を厳しく批判した。
蓮池さんは『拉致被害者たちを見殺しにした安倍晋三と冷血な面々』(講談社)という本を出版したばかり。自著について「非常に挑戦的なタイトルの本を書いたが、単に批判をして憂さを晴らすという意味ではない」と語っていた。
●日朝間の「過去の清算」がカギ
蓮池さんは会見で、安倍政権の対北朝鮮政策について「どういう状態になったら拉致問題が解決したと言えるのかを定義してほしい。それをするのは安倍さんしかいない。全員が帰ってくれば解決か、安否確認ができれば解決なのか、現在は非常にあいまいな状況」と述べた。
また、「拉致問題と日本の植民地支配にみられる過去の問題は、一見関係ないように見えるが、私は、切っても切り離せないものだと考えている。日本に帰ってきた拉致被害者も、問題の背景には、日本と朝鮮半島の不幸な過去があるということを述べている。『過去の清算』をてこにして、拉致問題を通じてギブアンドテイクで動かしていくしかないのではないか」と持論を展開した。
新しく本を執筆した動機にも触れ、「北朝鮮側に大きな問題があることは明らかだが、日本の対応で間違ったところはないのか、という観点で書いた」と語った。本では、蓮池さんの弟・薫さんの失踪と「家族会」結成のいきさつや、拉致問題に対する安倍首相の対応への批判、そして、蓮池さんが考える拉致問題解決の糸口などについて、赤裸々に語っている。
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拉致被害者家族の蓮池透さんが会見【全文1】
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2015.12.21 15:20 THE PAGE
拉致被害者家族の蓮池透さんが21日午後零時半から東京の外国特派員協会で会見する。
拉致問題をめぐっては、北朝鮮が再調査を約束してから1年半が経過するが、調査結果は公表されないままになっている。拉致問題の解決へ向けて、膠着状態の現状などについて見解を述べるものとみられる。
■安倍首相には拉致問題の解決というのは何かを定義してほしい
拉致被害者家族の蓮池透さんが会見
蓮池透の「北朝鮮による日本人拉致問題」に関する会見
蓮池:私が今、一番心配してるのは、冒頭言いましたけども、もう事件が起きてから40年近くたっている、何も、5人は帰ってきましたけども、状況がまったく変わってないということが第一にあります。それだけの長い時間がたってしまいますと、まず被害者の生命というものが非常に心配になります。それから、日本国内におきましても世代交代が進みますので、この問題が忘れられてしまう、風化してしまう、そういう危険性もあります。そういう観点からこの問題は一刻の猶予もない、そこで私は今回、本を書いたのは安倍さんの今のやり方ではうまくいかないということ、一言で言うとまずそうです、それが挙げられます。安倍さんは拉致問題で日本におきましては絶対的な信頼を得て、私に言わせれば政治利用をして総理大臣にまでなった、拉致問題を踏み台にして総理大臣になったということですけれども、であるならば、この問題についてしっかりと対応すべきではないのかっていうのが私の考えでありました。
安倍さんは、言うことはあらゆる手段を尽くすとか、家族と抱き合う日まで。非常に情緒的であって、具体的な戦略というものはまったく見えてこないというふうに考えています。安倍さんが総理大臣になるに当たっていろんな美談があります。弟たちが2002年に帰ってきたときはなぜか一時帰国だったんですね。で、そのときに安倍さんが戻っちゃ駄目だよと、北朝鮮に戻ってはいけないよということを止めたと言われていますが、それは事実誤認です。はい。弟を止めたのは私です。
そして、安倍さんは今まであらゆる手段を使うと言っておきながら、やったことは経済制裁、それから拉致問題対策本部、および担当大臣の設置、この2つだというふうに私は思っています。日朝間にかかわらず、外交問題というのは非常に便利なツールがあります。それは、今一生懸命やってるということはいつでも言えるんですが、じゃあどういうことをやってるのかと聞くと、それは外交機密ですということで済まされてきました。もうそれですでに13年以上がたっています。つまり、やってることは13年前と同じであって、なんの進歩もないということなんですね。
で、私は1つ提案したいんですけども、拉致問題の解決というのは何かということをきちんと定義をしてもらいたい。そして、それは安倍さんしかいないと思うんですね。どういう状況になったら解決と言うのか。それを家族や国民に周知して、そしてかつ北朝鮮と合意を得なければゴールが一致しないという状況では、この問題は進展しないと考えています。現在はそれが非常に曖昧な状況にあります。全員が帰ってくれば解決なのか、あるいは安否確認がされれば解決なのか。そういう意味では昨年のストックホルム合意というのは非常いい加減な合意であったというふうに私は思います。
突然、強硬路線を取っていた安倍総理が対話路線に転じて、そしてストックホルム合意というものが結ばれたわけですけど、これは集団的自衛権を標榜する安倍さんの政治信条とはちょっと相矛盾するんではないかというふうに思いますが。で、かつ安倍さんは北朝鮮が再度調査をしますというのは茶番だっていうことをおっしゃってましたので、それをなぜやるのかっていうのがまず1つの疑問でしたね。
それからもう1つは、合意の中で対象にしている日本人が非常に広い範囲にわたっているということですね。拉致被害者、それから特定失踪者と言われる人、それから残留日本人、日本人妻、それから太平洋戦争の終戦前後に亡くなった日本人の遺骨の問題、そういうような非常に広範囲な、全ての人に受けがいいような問題が取り上げられています。ただ、安倍さんは拉致が最優先課題だって言ってますけれども、拉致を優先するばかりにほかの問題については取り合わないっていうのが現状じゃないかというふうに思っています。で、それはやはり、合意文章を見てみてもどこにも最優先とは書いてないんですね。で、北朝鮮側の文章、北朝鮮側のTo Doを見ますと、拉致問題ってのは非常にプライオリティが低いんです。ですから、このような合意っていうのは本当の合意じゃなくて、安倍さんがおっしゃるとおり茶番だったんではないかなというふうに思います。
安倍さんは全員生存という回答を待っているんでしょうけれども、北朝鮮は依然としてはそれを覆すような回答は出してきておりません。このようなお互いのゴールは、つまり、解決とは何かというものが一致していないことが原因だというふうに思います。北朝鮮の日本人拉致というのは非常に大きな人権侵害だと思いますけれども、私は日本政府にもその拉致被害者に対する人権の軽視があったというふうに考えています。
それは2002年の日朝平壌宣言のときの話ですけども、北朝鮮側の8人死亡ということをなんの裏も取らずに宣言にサインしてしまったということは、8人の人権をまったく無視しているといってもいいというふうに考えます。日本政府の言っている日朝平壌宣言にのっとって国交正常化を目指すと。かつ拉致被害者を全員を取り返すというのは論理矛盾です。なぜかと言えば平壌宣言にのっとれば、8人は死亡ということになってしまうわけですね。で、そこに日朝間の見解の相違があって、それが原因となってこのような膠着状態が続いているんだというふうに私は分析しています。
今回、私は非常に挑戦的なタイトルで本を書きましたけれども、これは単に批判をした、批判をして憂さを晴らすとか鬱憤を晴らすとかという意味ではありません。北朝鮮側に大きな問題があることは明らかですけれども、日本側の対応で間違っているところはないのかというような観点からも考えて描いたものです。
よく日本の政治では、批判をするなら対案を出せと言われますが、私は自分なりに考えた対案もこの本の中に含めました。それは簡単に言いますと、この拉致問題と日本の植民地支配による過去の問題っていうのは一見関係ないように思えますが、実は私は切っても切り離せない問題ではないかっていうふうに考えています。帰って来た拉致被害者も、拉致問題の背景にはこの日朝間の不幸な関係があるということを述べています。
北朝鮮はやはり何も得られなければ、行動はしないと思います。過去を振り返ってみますと、5人の被害者と家族を帰したら日本から帰って来たのは経済制裁だ。これは非常に大きな、彼らにとってはトラウマになっていると思います。北朝鮮は唯一合法的に経済援助なり、お金なりを得られるのは日本からだけだというふうに思っています、必ず。それは日朝平壌宣言にも書かれていますので、事実だと思います。世界中で日本だけ。
そういう意味では、やはり過去の清算というものをてこに拉致問題について、ギブ・アンド・テイクという形で、同時行動でこの問題を動かしていくしかないのではないかというのが私の、端的に言うとそういうような考え方です。
ただ1つ問題があるのは、過去の清算といってもカテゴリーとしては北朝鮮の支援ということになりますので、そのときの諸外国、特にアメリカの干渉が入るということは非常に私は気にしています。日朝関係、拉致問題について良い方向に持っていくために、日米関係までを俎上に載せる覚悟はあるのかというふうに、安倍総理には伺ってみたい。そう思っております。
以上、時間が来ましたので私のスピーチ、終わらせていただきます。Thank you very much.
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