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民主党は有田芳生議員の訪朝成果を活用しなければウソだ
http://new-party-9.net/archives/3140
2015年12月21日 天木直人のブログ 新党憲法9条
きょう12月21日の産経新聞で、大野敏明編集委員が書いている(「視線」)
拉致被害者を含むすべての日本人について北朝鮮が全面的な調査を行う、と日朝両政府が合意したのは昨年5月であったと(ストックホルム合意)
日本はその成果に期待して制裁を解除したのに北朝鮮側は「調査は継続中」というばかりで、日朝協議も昨年10月以降途絶えたままだと。
日本は騙されたのではないか。安倍首相は「安倍政権で解決しなければ私の使命は終わらない」とまで言った。
そこまで言うなら解決に向けた本気度を示せ、と大野編集委員は迫っている。
安倍擁護の産経新聞にしては、きわめて厳しい安倍批判だ。
それほどまでに安倍首相の対北朝鮮外交は行き詰まっているということだ。
産経新聞のことだから、大野編集委員は安倍首相に制裁強化を求めている。
それは間違った方向だが、安倍首相の対北朝鮮外交をここまで批判する姿勢を私は評価する。
ひるがえって、きょう12月21日の朝日新聞は、産経新聞が書かなかった大スクープを書いた。
すなわち、日朝両政府の当局者が11月中旬から12月中旬にかけて北京で計3回も非公式協議を行っていたことがわかったと。
しかし、主張は平行線のままで具体的な進展はなかったと。
私がその朝日の記事で注目したのは、朝日の記事がわざわざ有田芳生民主党議員の訪朝に言及しているところだ。
すなわち、今年10月に訪朝した有田議員は12月10日の参院拉致特別委員会で、北朝鮮で会った担当者の話を次のように語ったと。
「拉致被害者の報告書は、ほぼ完成していると話していた」
「日本政府の対応によっては、調査報告書を一方的に公表せざるを得ないような事態もありうると聞いた」
これはものすごい国会証言である。
有田議員のいう事が正しければ、産経新聞の大野編集委員の安倍批判はまったくのピンと外れ批判になる。
もっと厳しい批判でなければいけない。
つまり北朝鮮側はストックホルム合意を順守しているのに、安倍首相が受け取り拒否をしているということだ。
制裁強化どころの話ではない。
安倍首相が国民にウソをついているという事だ。
つまりストックホルム合意では、拉致被害者全員が無事だという報告が出てくるなどということはまったく北朝鮮側から言質を取っていないのに、勝手に全員を帰還させると公言し、調査結果報告がその期待に反するものだったからと言って、受取拒否をしているということなのだ。
これは安倍首相が国民をだましたということだ。
これではいつまでたっても交渉が進まないはずだ。
その交渉が進まない原因を、北朝鮮側の報告書がまだ出てこないというウソを重ねて、北朝鮮側にすべて押しつける。
そんなことをされてはたまらないから北朝鮮は一方的に発表すると言っているのだ。
当然ながら有田議員の訪朝は安倍政権にとって迷惑この上ない話だ。
ましてや有田議員がそのような報告を国会でしたから大変だ。
朝日のその記事は、安倍政権幹部の言葉として次のように書いている。
有田議員が国会で語った北朝鮮側の言葉は、「北朝鮮が日本の世論を分断しようとしている」ものだと。
有田議員は、北朝鮮の日本世論分断作戦の片棒を担いだとんでもない国会議員であると糾弾しているのだ。
民主党は党を挙げてこの有田議員の訪朝の成果を今度の国会で生かさなければいけない。
さもなければ有田議員は、民主党にとっても、民主党の立場を離れて勝手に訪朝した迷惑な民主党議員ということになる。
安倍政権幹部と同じように有田議員は北朝鮮に利用されに行った国賊議員ということになる。
松原仁あたりが言いそうなことだ。
民主党の拉致問題政策が試される有田議員の訪朝である(了)
◇
【視線】拉致問題で日本はまた北朝鮮にだまされた 編集委員・大野敏明
http://www.sankei.com/column/news/151221/clm1512210009-n1.html
2015.12.21 09:47 産経新聞
北朝鮮が日本に対し、「拉致被害者を含む全ての日本人について全面的な調査を行う」と約束したストックホルム合意がなされたのは昨年の5月である。当初、調査は数カ月で終了し、拉致被害者の一部は年内にも帰国する可能性があるとされた。それを受けて日本政府は北朝鮮に対する制裁の一部を解除するという“ご褒美”まで用意した。
「拉致問題は解決済み」としてきた北朝鮮が全面調査を約束したのだから、一定の成果が期待され、期待が実現する後押しとして、制裁の一部解除が行われたということだろう。
しかし、その後、日本の問い合わせに対し北朝鮮は、「調査は継続中」と答えるだけで、日朝の協議も昨年10月以降途絶えたままになっている。
要するに今回もまた日本は北朝鮮にだまされたのである。北朝鮮はなぜだましたのか。その前になぜ北朝鮮は調査を約束したのだろうか。恐らくは競売に付されていた日本の朝鮮総連本部の問題があったからであろう。
北朝鮮系の金融機関の破綻にともなう、東京都千代田区の朝鮮総連本部の競売問題は二転三転しながら、結局は落札した所有者が転売し、転売先があらためて朝鮮総連に貸与する形で、元の通り朝鮮総連が使用している。転売先から貸与されたのは今年の1月である。北朝鮮としては朝鮮総連ビルの売却問題が不透明なうちは「全面調査」をいい、これまで通りの使用が確実になった段階で、「知らんふり」を決め込んだのではないか。そう考えるとつじつまが合ってくる。
日本政府はこうした一連の北朝鮮のやり方にまんまとはめられた、といっていいだろう。しかし、それでも制裁の解除はしたままである。なぜか。再び制裁をすれば、北朝鮮にだまされたことを認めたことになってしまうというメンツの問題があるからだろう。
拉致問題は長い。被害者の家族はどんどん高齢化する。毎年、家族のだれかが被害者である家族の顔をみないまま亡くなっていく。本当に時間がない。日本の各地では署名活動が行われ、集会が開かれ、一刻も早い問題の解決を決議している。しかし、何も解決しない。解決しないどころではない。「調査する」という言葉に踊らされて、時間を空費している。何というむなしさだろう。
いまの日本には北朝鮮に突き付けるカードがない、だから拉致問題は進展しないのだ、という意見がある。正しいだろう。しかし、カードがなければカードを作るのが政治である。まともな交渉で何とかなる相手ではない。
「拉致問題は安倍内閣の最重要課題」と首相は言った。「安倍政権で解決しなければ私の使命は終わらない」とも言った。ではなぜカードを作らないのか。朝鮮総連本部という格好のカードをどぶに捨て、制裁を解除したままで、問題が解決するとでも思っているのだろうか。そしてこのまま今年も終わっていくのである。政治家も官僚も人ごとだと思ってはいないか。
「北朝鮮拉致と『特定失踪者』」(展転社)の著者、荒木和博氏によると、外務省には時間が経過して、拉致問題がうやむやになってしまうことを願っている者がいるという。その点に関しては北朝鮮と利害が一致しているという。
集団的自衛権も大事だ。1億総活躍社会もいいだろう。だが、北朝鮮に拉致され、救いを求めている被害者を見捨てるような国に、集団的自衛権だの、1億総活躍社会だの言う資格があるのだろうか。(おおの としあき)
◇
日朝当局者、11月以降3回協議 拉致再調査は進展なし
http://www.asahi.com/articles/ASHDN5GR4HDNUTFK001.html
2015年12月21日03時11分 朝日新聞
日朝交渉をめぐる最近の主な動き
北朝鮮による拉致被害者の再調査をめぐり、日朝両政府の当局者が11月中旬から今月中旬にかけて、中国で計3回の非公式協議を行っていたことが分かった。日本外務省の交渉担当者は10月に交代したが、再調査をめぐる協議の枠組みは保たれた。ただ、双方の主張は平行線のままで、具体的な進展はうかがえない。
複数の日本政府関係者が明らかにした。非公式協議は11月中旬と下旬に上海、12月中旬に大連で行われた。日本側は、10月の人事で就任した金井正彰・北東アジア課長が出席した。金井氏は北朝鮮側の当局者に対し、日本政府が認定する12人の拉致被害者の安否情報を含めた再調査結果について、速やかに通知するよう求めたという。
だが、北朝鮮側からは12人について「8人死亡、4人は入国していない」との従来の主張を覆す内容は伝えられなかったとみられる。北朝鮮側は、太平洋戦争の終戦前後に朝鮮半島で亡くなった日本人の遺骨返還問題で協議を進めるよう改めて主張した模様だ。
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