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日中韓首脳会談で発言する安倍晋三首相。(時事通信フォト=写真)
衆参ダブル選挙「逃げたらジリ貧、負けたら即退陣」
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20151219-00016901-president-bus_all
プレジデント 12月19日(土)9時15分配信
長期政権への道を着々と歩む安倍晋三首相が来年夏の参院選を前に衆院を解散し、「衆参ダブル選挙」を狙う検討に入った。いまだ4割を超える内閣支持率を維持しているとはいえ、「政権選択選挙」とは異なる参院選のみでは議席減が避けられないと踏んでいるためだ。衆院選との同日選にすることで、全国に張り巡らせた自民党の組織力をフル稼働させ、首相が前面に立って衆参の勢力維持をもくろむ。敗れれば即退陣・政権交代となるリスクもはらむが、安倍首相がダブル選挙を視野に入れる背景には3つの理由がある。
10月7日にスタートした第3次安倍改造内閣は「名目国内総生産(GDP)600兆円」「希望出生率1.8」「介護離職ゼロ」という新たな3本の矢を提唱し、首相はアベノミクスの第2ステージで悲願のデフレ脱却を果たすと宣言。組閣は丸川珠代参院議員を環境相、馳浩元文部科学副大臣を文科相に起用するなど閣僚19人のうち初入閣組が9人に上り、清新さのアピールに躍起となった。だが、麻生太郎副総理兼財務相や岸田文雄外相、菅義偉官房長官ら主軸は外さず、内閣改造の主眼は首相の政治力を維持することにあったと見る向きは多い。
自民党内には、当選回数を重ねながら閣僚経験がない「入閣待機組」が約60人もいる。今回の内閣改造で9人は念願がかなったとはいえ、入閣できなかった議員には怨嗟の声が生まれているのも事実だ。政権最高幹部は「全員を入れていくのは並大抵のことではない」と語るが、地元で入閣待望論が高まっていたベテランを中心に、「反安倍」に舵を切ろうとする議員は少なくない。
副総裁や幹事長、政調会長、総務会長ら党執行部はいずれも留任しており、「親安倍」勢力の中にも「いつまで我慢すればポストにたどりつけるのか」との声も渦巻く。歴代首相の多くが内閣改造はリスクを生むと見てきたが、長期政権が視野に入れば党内からのリスクは一層増すことになる。
そこで脳裏をよぎったのが衆院解散・総選挙だ。自民党総裁任期は2018年9月まであるが、今後3年近く衆院選がないとわかれば反安倍勢力が増大し、退陣要求圧力をかけてくることも予想される。逆に言えば、公認権を持つ首相(党総裁)は「解散カード」をちらつかせていなければ権力を維持しにくいというわけだ。首相の最側近は「権力は小刻みの選挙を行うことで維持される」と解説する。反安倍の芽が育つ前に公認権をちらつかせ、親安倍にとどまらせる手法には反発の声も根強いが、安倍首相は専権事項の効果をフルに生かしているといえる。
■小刻み解散で勢力維持できるか
衆参ダブル選挙を視野に入れる2つ目の理由は、野党の分断・壊滅だ。民主党や維新の党などが野党再編を進めるには政策や選挙区の調整が欠かせない。その調整は次回選挙までの時間があれば比較的まとまりやすいが、短期間で選挙を迎えれば単なる「野合」との批判を受ける。
維新の党は分裂したが、一定の支持基盤を持つ共産党が調整に乗り出しており、野党陣営の態勢が整う前に「伝家の宝刀」を抜いたほうが得策との判断が働いている。仮にダブル選挙で勝利できれば、野党第一党の民主党の議席がさらに減ることにより政権交代の芽が摘めるとの計算だ。
3つ目の理由は、アベノミクスとの関係にある。大胆な金融緩和や機動的な財政政策が奏功し、円安・株高を誘引して企業収益改善や賃上げにつなげてきたが、17年4月には消費税10%導入が待ち構えている。来年は再増税前の駆け込み需要が見込めるものの、「10%後」はその反動減などによる景気悪化が想定される。総裁任期満了の18年9月まで景気が悪ければ、衆院解散・総選挙を打つ余力はなくなるわけだ。
首相周辺が描く「カレンダー」には、解散権行使のタイミングは来年夏と18年夏しかない。昨年末の解散総選挙から約1年半となる来年夏、さらに約2年後の18年夏と、小刻みに解散して権力を維持することができるのか。首相の賭けが始まる。
時事通信フォト=写真
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