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軽減税率決着 “嵐の中の離陸”:そうなると思っているが、17年4月消費税増税を延期する言い訳のための「複数税率」導入
http://www.asyura2.com/15/senkyo198/msg/296.html
投稿者 あっしら 日時 2015 年 12 月 17 日 17:57:13: Mo7ApAlflbQ6s
 


 財政危機や社会保障制度不安を建前の理由として進めてきた消費税増税政策なので、経済政策及び長期的な財政健全化方策として17年4月の10%への引き上げは延期すべきと判断したとしても、「財政危機を放置するな!」、「社会保障制度が崩壊する!」といった非難の声が上がる。

 というわけで、経済的理由だけで10%への税率引き上げを延期するのはかっこよくないと思い、対応への準備が厄介な「複数税率」の導入を浮かび上がらせることで、税率アップの延期もやむなしという雰囲気をつくる気かもしれない。

 その一方で、新聞社に利益を与える新聞への「軽減税率」適用を発表したことで、新聞社やTV局は、自分たちが得る利益が遠ざかる消費税増税延期を批判する可能性もある。

 消費税は、将来的に廃止が望ましいが、経済政策的に必要だと言うのなら、中小企業対策と低所得者対策をしっかりやりながら税率8%でとどめておくのがまっとうな判断だと思う。

 たとえ消費税増税が延期されようとも、消費税(付加価値税)という悪魔の子である「複数税率」(軽減税率)制度の導入には強く反対する。


※ なお、転載するNHKの記事は、複数税率(軽減税率)をめぐる与党税調論議がガチンコで行われたように書いているが、政治的思惑で展開されたお芝居である。

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軽減税率決着 “嵐の中の離陸”[NHK]
12月16日 20時00分

私たちの生活に大きく関わる問題がついに決着しました。消費税の軽減税率を巡って、自民・公明両党は、税率を軽減する対象品目を「外食」を除いた「生鮮食品」と「加工食品」とすることで合意しました。

合意までには、自民党、公明党、それに総理大臣官邸の3者の間で、それぞれの思惑が絡んだ激しい綱引きがありました。また、決着したとはいえ、残された課題はあまりに多く、自民党内からは「嵐の中を飛行機は飛び立った」と例える声が出るほどです。背景には何があったのか。政治部の瀬上祐介記者と瀧川学記者が解説します。

突然の税制調査会長交代劇

3年にわたり平行線が続いていた消費税の軽減税率を巡る自民・公明両党による協議の潮目が大きく変わったのは、ことし10月でした。安倍総理大臣は、軽減税率の導入に慎重な姿勢を示していた、当時の野田毅税制調査会長を交代させ、新たに、宮沢洋一前経済産業大臣を起用しました。

そして、宮沢氏に対し、再来年4月に消費税率を10%に引き上げるのと同時に軽減税率制度を導入することを目指して、公明党と調整を急ぐよう指示しました。この安倍総理大臣の動きは、自民党税制調査会の幹部に波紋を広げました。

揺らぐ『聖域』

自民党の税制調査会=「税調」は党の政策を立案する一機関ですが、これまで、各業界の利害が複雑に絡み合う税について、専門的な知識を背景に、一部の議員が一手に絶大な権限を持って増税や減税などを決めてきました。 総理大臣官邸も口出しできない「聖域」とされてきました。

「聖域なき構造改革」を掲げた小泉元総理大臣でさえ、税制改革を進める際には、「税調のドン」と呼ばれた当時の山中貞則最高顧問のもとをみずから訪れて協力を求めたという逸話は、今も税調関係者の間では語り継がれています。その「聖域」であるはずの自民党税調の人事に安倍総理大臣が介入し、軽減税率導入を指示したことは、その後の与党協議が「官邸主導」で進む流れを決定づけました。

埋まらぬ溝

宮沢税制調査会長のもと、与党協議で焦点となったのは、対象品目と財源でした。3年前の平成24年に、民主・自民・公明の3党で合意した「社会保障と税の一体改革」で、消費税率の引き上げによる増収分は社会保障の財源に充てるとしています。税率を8%に据え置くと、本来、見込んでいた増収が得られなくなるため、それを補う社会保障の財源を見つける必要があります。税率を8%に据え置く対象品目が多くなるほど補う財源の額も大きくなるのです。

自民党は、財源は「社会保障と税の一体改革」の範囲内で手当てすべきだと主張。消費税率引き上げによる増収分のうち、低所得者の負担軽減策として具体的な使い道が決まっていない4000億円に収めるため、対象品目は「生鮮食品」までに絞り込むよう求めました。

これに対し、公明党は「痛税感の緩和が必要な低所得者ほど、弁当や総菜などの『加工食品』を消費する傾向にある」として、「加工食品」を含めた幅広い品目を対象とするよう求めました。「加工食品」を加えると必要な財源は1兆円規模に上ります。公明党は、消費税にこだわらず、税制・財政全体で財源を検討するよう主張しました。

しかし、両党の溝は、なかなか埋まりませんでした。


幹事長協議へ

しびれを切らした公明党は、より高いレベルでの政治判断で協議を行うよう求め、両党の協議は幹事長レベルに格上げされました。

しかし、11月19日から始まった自民党の谷垣幹事長と公明党の井上幹事長による協議も前に進みません。財務大臣も務めた谷垣氏は、財源の確保や事業者の準備に懸念を示してきた財務省の考えと近く、再来年4月の導入時には、対象品目を「生鮮食品」に絞り込まざるをえないという考えを崩しませんでした。公明党からは、「谷垣氏がいちばん頭が固い」といらだちの声も漏れました。

「自民」対「官邸・公明」

公明党では、事態の打開を図るため、官邸の決断に期待を寄せる声が上がり始めました。官邸も、1月の沖縄・宜野湾市の市長選挙や、来年夏に控える参議院選挙もにらみ、連立を重視し、公明党の主張に最大限配慮する考えでした。
こうした「自民」対「官邸・公明」の構図が表面化したのが、11月24日に自民党本部で行われた安倍総理大臣、谷垣氏、宮沢氏による3者会談でした。安倍総理大臣の発言を巡り、官邸と自民党の間で認識の差が生じたのです。宮沢氏は、会談後、記者団に対し、軽減税率の財源について安倍総理大臣から社会保障と税の一体改革の枠内、4000億円以内で検討するよう指示があったと述べました。谷垣氏も記者会見で、「用意できる財源は限られ、ない袖はふれないので、対象品目もおのずから限界がある」と述べ、安倍総理大臣との間で、財源確保の在り方を巡って考えが一致したとの認識を示したのです。

これに対し、菅官房長官は直後の記者会見で、「安倍総理大臣は具体的な形で、そこまで突っ込んだ指示はされていないだろうと思う」と述べ、谷垣氏らの発言を否定しました。

取材に当たっていた記者として、「自民」対「官邸・公明」の溝の深まりを実感した瞬間でした。こうして官邸と自民党の間にすきま風が吹き始めるなか、谷垣氏は次第に追い込まれていきます。

再び官邸の介入

12月9日、谷垣氏は官邸で、安倍総理大臣、菅官房長官と会談。会談後の谷垣氏は、温和な普段の表情からは想像できないほど険しい表情でした。官邸の強い意向を前に、党の主張を取り下げざるをえなくなっていると感じました。このころから谷垣氏は取材にも言葉少なになっていきます。その後、都内ホテルで場所を変えながら連日行われた幹事長どうしの協議で、谷垣氏は公明党の主張を大筋で受け入れ、対象品目に「加工食品」まで幅広く加える方向に舵を切るのです。

谷垣氏放った一矢は・・・

その谷垣氏、大詰めの協議で公明党も驚かせる提案をします。「加工食品」と「外食」の線引きがあいまいだとして、対象に「外食」まで含め、「酒類(さけるい)を除く飲食料品」とすることを提案したのです。


必要となる財源は、1兆3000億円。当初、自民党が想定していた4000億円の3倍以上にも上ります。

しかし、谷垣氏の提案に待ったがかかります。麻生副総理兼財務大臣が、厳しい財政事情を考慮する必要があるとして、容認できないという考えを伝えたのです。

その結果、自民・公明両党は、▽対象品目は、「酒類」と「外食」を除いた「生鮮食品」と「加工食品」とする一方、▽必要と見込まれる1兆円の財源については来年度末まで時間をかけて検討するとし、結論を先送りすることで合意しました。

嵐の中の離陸

今回の協議で、かつては「聖域」と呼ばれた自民党税調は最後まで蚊帳の外に置かれることになりました。合意の2日後、12月14日には、沖縄・宜野湾市長選で、自民党が推す候補に公明党から推薦が出ました。与党内からは、「政策ではなく、政局的な判断だ」という指摘が出ていて、自民党税調の幹部からは、「無理をして、道理が引っ込んでしまった」と嘆き節がこぼれています。ただ、再来年4月の導入までには解決しなければならない課題は山積しています。1兆円にも上る財源をどのように確保するのか。複数の税率を区分して経理や販売したりする事業者の準備は間に合うのか。自民党税調の幹部は、「嵐の中を飛行機は飛び立ったが、着陸できずに引き返すことになる。出発した場所にも戻れず、緊急着陸地点を探すしかなくなるだろう」と例え話を述べました。

結局、事業者の準備が間に合わず、再来年4月の消費税率の10%への引き上げを再延期せざるをえないのではないかというのです。さらに、消費税率の引き上げが再延期されれば、来年夏に参議院選挙と、衆議院選挙の同日選挙もありえるのではないかと憶測まで飛び出しています。

離陸した飛行機は、目的地に無事到着できるのか?視界は不良なままです。

http://www3.nhk.or.jp/news/web_tokushu/2015_1216.html


 

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