11. 2015年12月19日 08:11:24
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○日本新聞協会:消費税率引上げを正当化し、新聞には減税適用を求める利権者の団体。○記者クラブ:官公庁が年間100億円を投じて運営する情報カルテル。 ○知力放棄の文化:思考という人間の基本的営為を報道者に委ねる国民的気質。 〜民放127のテレビ各局が支払う電波利用料は、総売上げの僅か0.2%の7億円程度であり、その額は米国のテレビ企業が支払う利用料総額の100分の1以下だ。メディアが総務省の所轄事業として便宜供与を受け、報道と行政が癒着し共謀関係にあることは明らかだろう。小沢一郎は国庫財源として電波の適正使用料を設定し、電波入札制度を導入するよう提言し、さらには資本による情報寡占を抑制するためクロスオーナーシップ(新聞社によるテレビ局経営)の解体を目指していたことから、これによりメディアがバッシングに狂奔したとする見方が強い。 〜我々の社会とは無知と軽薄によって成立している。言い換えれば情報統制とプロパガンダによって現実は遮蔽され、あるいは娯楽番組やスポーツ中継など低劣なコンテンツによって人間性は後退し、我々は考えているのではなく報道者のストックフレーズ(常套句)を自分の言説として口にしているのであり、つまりは思考体系を他者に委ねるという「知力放棄の文化」によって支配構造が維持されているわけだ。 〜原発事故の倭小化、増税の正当化言説、財政構造、天下りによる官吏の不労所得や不正選挙への不言及、これら全てが電波廉価使用、優遇税制、NIE、記者クラブ制度という既得権益の温存と引き換えに実践された行為であることは語るまでもない。あらためて元(新聞媒体)製作者として警句を発するが、新聞購読とは「金を出して洗脳される行為」なのであり、報道者は虚説を正義にすり替えながら人間の顔に唾を吐き続けている。 〜「衆愚政治」とは有権者の大半が知性を欠き判断力や理解力が乏しいため、専制者の扇動や詭弁により誤った意思決定を行ない、社会機能が不全に陥る政治体制を意味する。小泉純一郎による構造改革ではこの方法論が活用され、広告代理店が各種の媒体を駆使し、無知な国民層の支持をとりつけるという「劇場型政治」を実践したことは周知のところだ。「衆愚政治」は帝政ローマ時代から提唱された概念であり、プラトンが「蒙昧な民衆に政治を委ねると、それはやがて専制者を生み出す」と予見したとおり、その後カエサルは終身独裁制を確立し、アドルフ・ヒトラーは全権委任法を達成した。 〜2012年、日本新聞協会は、消費税率引き上げは正当であると主張しながら、新聞に軽減税率を導入するよう国会に求めた。これを受け超党派の国会議員が構成する「活字文化議員連盟」は新聞協会の声明を採択する。読売新聞は「新聞・書籍を現行税率で」などと題し、国民の活字離れが一段と進むような方向での知識課税は望ましくない、新聞は日本の文化にとってコメである、などと主張を一方的に報じた。国民には過度な税負担を押し付け、自らの税率軽減を主張するという論理破綻ぶりなのだが、新聞社も購読者もその欺轍に気付くことがないほど知的に劣化し続けている。 ○「大衆は無理解ですぐ忘れてしまう。だから理性で説得するのではなく、最低レベルの知的水準の者がわかるぐらい演説を単純化しなければならない。」アドルフ・ヒトラー(ナチス・ドイツ総統) 〜テレビ各局は消費税率引き上げの正当化言説を繰り返した。しかし20年以上にわたり消費税額100%相当の金が多国籍企業と富裕者減税の原資として投入され、資本金1億円以上を有する大企業の65%以上が法人税すら払っていないことなどは決して報道しない。 〜イラクのクウェート侵攻を機に、1991年、国際連合は派兵を決定し湾岸戦争へ突入した。当初、米国の世論は反戦が多数を占めていたが、公聴会でナイラというクウェートの少女が「イラクの兵士が産院の乳児を保育器から取り出し、次々と床に叩きつけて殺しているのを見た」などと証言したことから開戦論は高まる。その後、ニューヨーク・タイムズの調査により、少女は駐米クウェート大使の娘であり、病院のボランティア経験もなく、一連の「ナイラ証言」は広告代理店・ヒルトン&ノートン社のシナリオによる虚偽であることが判明。しかし、すでに戦闘は終結し、3万6000人のイラク軍兵士と2600人の市民が爆撃によって死亡、さらに膨大な劣化ウラン弾がイラクにばら撒かれていた。 〜メディアはカダフィ体制の崩壊を「独裁の終焉」と報道し、戦争行為を肯定した。しかしリビアでは新婚世帯に約5万ドルの住宅購入補助金を支給、失業者には公共住宅を提供、車購入の際には補助金50%を支給し、全てのローンは無利子、さらには所得税などもゼロだった。水道や電気、医療費は無償なうえに、国内で必要な治療が受けられない場合は外国での治療費と渡航費までもが援助されるシステムだ。カダフィは特に教育政策に力を注ぎ、初等教育から高等教育、さらには大学まで全てを無償化した。対し米国では4700万人が医療保険に未加入であり、350万人が路上生活を強いられ、大学生の70%以上が2万5000ドル平均の学資ローンを抱え苦しんでいる。 〜「ダブルスピーク」(二重語法)とは、矛盾した二つの意味を同時に言い表す表現によって、事象の本質を隠蔽する、あるいは曖昧化する修辞技法であり、扇動政治などにおいて頻繁に用いられる。行政機関によるダブルスピークは、増税や戦争、社会保障や医療費の削減など、国民が不利益を被る場合において特に際立つ。この語法は各国で採用され、ナチス・ドイツはアウシユビッツを「ユダヤ問題の最終的解決」と表現し、米国は湾岸戦争とイラク戦争において「抑圧からの解放」、「テロとの戦い」などのスローガンを掲げ、日本国は原発事故に際し「絆」、「食べて応援」などのコピーを流布した。 ・・・響堂雪乃「略奪者のロジック」 第5章 メディア より ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
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