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林幹雄経産相はやし・もとお/1947年、千葉県生まれ。千葉県義を経て93年に衆院に初当選。国家公安委員長、沖縄・北方対策、防災担当相などを歴任。2015年10月から経産相。志帥会(二階派)の副会長も務める。当選8回(撮影/倉田貴志)
林幹雄経産相「小泉元首相の原発ゼロは無理」〈週刊朝日〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20151216-00000001-sasahi-pol
週刊朝日 2015年12月25日号より抜粋
政治的に大きな動きがあった2015年。自民党の「ラスボス」二階俊博氏、初の女性首相候補・稲田朋美氏、原発問題の鍵を握る林幹雄経産相。そして、作家の大下英治氏が集まり、原発問題やTPPについて話し合った。
* * *
大下:林さんは経産相になられたわけですが、小泉純一郎元首相が「原発ゼロ」を訴えています。率直にどう思われますか。
林:原発を減らしていくのはそれなりに自然なことですが、ゼロにするのは極めて難しいと思います。
大下:何年経っても?
林:原発に代わるだけのものが生まれれば別ですが、現段階では残念ながら再生可能エネルギーをいくら増やしても、あれだけ廉価でCO2を出さない発電方法はない。今は政府が発表した30年度のエネルギーミックスでやっていくのがベストではないか。もちろん、再エネの普及にも今も力を入れ、30年度までに電源構成の22〜24%くらいまで持っていければいい。
大下:いずれ再エネがうまくいっても、原発はゼロにしないのでしょうか。
林:原発より化石燃料を減らしていったほうが、CO2が減りますからね。CO2の排出削減も、無視できない重要な課題なんです。
大下:林さんは経産相に就任後、福島第一原発を視察されましたね。どのように感じましたか。
林:廃炉にしろ、汚染水対策にしろ、世界初の仕事で大変なことだと実感しました。しかし、日本人の優秀さ、勤勉さで、時間はかかっても必ず乗り越えられると感じました。
稲田:士気が高いですよね。現場で働く7千人の人たちが、今まで世界で誰も取り組んだことのない仕事に、懸命に頑張っています。
大下:経産相の役割はどのように考えていますか。
林:やはり、新3本の矢の一つである強い経済をつくるのが私の使命ですね。GDP600兆円を目指す中で、大企業だけでなく中小企業に元気が出てこないと、1億総活躍と言えない。
稲田:地方の中小企業が元気になることは大事ですよね。私がいつもかけている眼鏡は地元・福井でつくられたものですし、今日着ている服の生地も、福井のものです。この網タイツも、タテアミの技術を発信する意味があるんですよ。
大下:大阪ダブル選では橋下氏が「僕はあの網タイツが全く分かりません」とツイートしていましたが、ちゃんと意味があるんですね(笑)。林さんは経産相として、10月に参加国間で大筋合意が成立したTPPの今後の交渉や、国内での対策を主導していく立場です。でも、前々回の衆院選時はTPPに反対だったのでは?
林:最初はそうでした。「例外なき関税撤廃」が謳(うた)い文句だったので、農業全体がやられてしまうと思っていましたが、この間、安倍首相が重要5品目は例外にするとアメリカでおっしゃった。農業を守ると同時に強くするTPPならけっこうじゃないかと。担当相になりましたので、どんどん農水産物を加工して輸出する動きを後押ししていこうと思っています。
二階:私は経産省、農水省、国交省が協力して、アジアの諸外国に日本の特産品を置く「道の駅」をつくって差し上げればいいと考えています。同時に「道の駅」のつくり方を教えてあげれば、諸外国も「あ、こんなものならやれるぞ」となる。名産品はきっと向こうにもあって、そういうものがどんどん出てきます。
大下:TPPといえば小泉進次郎さんが農林部会長として、各地の生産者と意見交換をする「キャラバン隊」などで頑張っています。どのように見ていますか。
二階:農業問題は特に、活力を加えて生き生きと政策を立案していかなければいけない分野。そういう面で、小泉さんを配置したのは本当に素晴らしい人事だし、彼もそれによく応えている。小泉さんが部会長でなかったら、TPPはまだ論争が続き、党内も多少荒れたかもしれない。西川公也農林水産戦略調査会長とタッグを組んで見事に乗り越えてみせたのは、わが党の農政史上でも特筆されることだろうと思いますよ。
(構成 本誌・小泉耕平、上田耕司、長倉克枝)
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