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求む、民主党につける薬 野党に、自信を、そして政治を
http://mainichibooks.com/sundaymainichi/column/2015/12/27/post-544.html
サンデー毎日 2015年12月27日号
倉重篤郎のサンデー時評 連載80
病膏肓(やまいこうこう)に入る、は言い過ぎか。
安倍晋三自民党の天をも恐れぬ驕(おご)り体質と、岡田克也民主党の行き過ぎた自信喪失である。世界がこれだけ動く時代に、憲法が国権の最高機関と定める国会を開かない、ないしは開けないこと。この一事をもって断罪に値する。
ちと大げさに言えば、この二つの病に向き合うことなくして、日本政治の明日はない。特に、民主の病は深刻である。下手をすると危篤に陥り、民主主義制度の根幹たる2大政党制そのものが崩壊しかねない。そんな危機感にかられて、この病を真に癒やすことのできる医師、薬、処方箋を探し求めた。
まずは、成田憲彦氏に聞いた。
あの細川護熙連立政権時の首相秘書官を務めた人物である。選挙制度、比較政治学の大家で、今は大学で教鞭(きようべん)をとる政治学者だ。
成田氏は以下3点を強調した。
第一に、「自民党の一強支配」論の嘘(うそ)である。2009年からの五つの国政選挙結果を見ると、自民党の得票数(比例部分)は不動の1600万〜1700万票台にあり、これは全有権者に占める絶対得票率としては17〜18%にすぎない。自民党全盛時代の同率が30%あったのに比べると、国民世論的にはとても一強といえる状況ではなく、民主党議席の低迷の原因は、低投票率、野党共倒れにある。逆に言えば、選挙で挽回できる余地は民主党にも十分にある。
第二に、民主党政権時代の自己総括が不十分で、自民による巧みな「嘘つき・失敗政権」のレッテル貼りからいつまでたっても逃れられない状態が続いている。
第三に、民主党はいまだに与野党というものの本質が理解できていない。与党の統治技術は寛容をもって旨とし、党内に異論があってもそれを抱いたまま排除しない。逆に野党に転落した際には猛烈な不寛容で与党を攻め倒す。
その、自民党が長年蓄積してきたガバナンスのノウハウを民主党は全く学んでいなかった。つまり、与党時代には不寛容な政策論議で党内亀裂を深め(結果的に小沢一郎氏らが脱党)、野党になってからは「建設的な対案」を求める自民の狡知(こうち)によって、寛容にも与党と同じ土俵上の政策立案に四苦八苦している。成田氏に言わせると、政府機構なしの野党がまともな対案を作れるわけがない。
◇生体反応ゼロの民主は自信を回復し攻めの野党道を歩め
野党の役割は、むしろ与党の政策の徹底批判にある。誇大に広告された商品(政策)のどこに問題があるのか、失敗の可能性はないのか、をチェックする。それと同時に、いざ与党が倒れた時の交代要員として自らを切磋琢磨(せつさたくま)、その準備を怠らないことだ、という。
もう一人、処方箋を書ける医師を探した。実は永田町には本物の医師の資格を持つ議員が衆参両院で21人いる。ついでながら歯科医7人、看護師5人、薬剤師4人、臨床検査技師2人、理学療法士・保健師各1人となっており、さながら永田町総合病院の様相だ。
その中で、阿部知子氏を選んだ。二つの理由がある。一つは、社民党衆院議員を12年務めた後、14年の選挙から民主党入りした、その政治キャリアである。社民党の衰退ぶりをつぶさに見てきた経験と、民主党の中にいながら外在的視点を持っている。二つ目に医師としての専門が小児神経疾患治療であること。脳性まひなどといった難病が対象だったが、一般的な心理療法にも明るい。
その阿部氏に言わせると、民主党は重いPTSD(心的外傷後ストレス障害)にかかっている。政権を失ったという心の傷がかなり深くて、その後の政治状況にうまく対応できていない。社民の凋落(ちようらく)と重なる部分もある、という。
例えば、安保法制への対応だ。立憲主義違反、立法事実なし、というこんな攻めやすい法制はなかったはずだが、阿部氏に言わせると、民主対応は「ダイナミズムゼロ、生体反応ゼロ」だった。政権時代の党分裂という恐怖の記憶がなお党内を支配しており、左右両派の間での闊達(かつたつ)な対案論議を自主規制する空気があった、という。
ここからは私の見立てであるが、民主党には普天間問題、対中国外交についても同様なPTSDがあるのではないか。普天間は鳩山由紀夫政権時の迷走があり、対中国は野田佳彦政権時代の尖閣諸島国有化ショックがあった。改めて触りたくない気持ちはわかるが、それで終わっていていいのだろうか。
成田氏ではないが、過去を総括して、新たな路線を求めて党内で侃々諤々(かんかんがくがく)の論議に再着手すべき時期である。普天間問題でいえば、鳩山政権で辺野古新基地に舞い戻ったものをいま一度見直して、一連の沖縄の民意を踏まえ、米国との再交渉も含め新基地強行以外の選択肢を模索すべきではないか。尖閣では、中国側からなぜあれだけの反発が生まれたかをトレースし、軍事的抑止力によらざる外交力強化の術(すべ)を磨くべきではないか。
阿部氏によると、PTSD治療の一番の基本は、セルフコンフィデンス(自己確信)をどう持たせるかにある。自分を信じること。今のあなたのそのまんまの姿でいい。そこで輝けるんだよという確信を持たせることだともいう。
なるほど、「アナと雪の女王」ではないが、人も組織も政党も、そこが肝心要の部分であろう。
そして、最後に政治である。優れた政策があっても政治がなければ実現できない。成田氏の言う、来年の参院選で投票率を上げ、野党共倒れを回避する道である。阿部氏は、野党候補が各政党に所属しながら共通の政治団体(仮称・立憲民主ネット)に名を連ね、その集票の一極化により非自公当選議員を増やす手がある、という。
野党道を究め、自信を回復し、政治を行う。民主がなすべきは、とてもシンプルなことである。
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