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消費税(付加価値税)制度は、いろいろな意味で“悪魔の税制”と言える。
悪魔性の一つが、統治者やメディアがそのように思わせたいという下心でデタラメな説明しても、国民の相当数がそうなのかと思ってしまうほど、税の本質や内実がわかりにくい仕組みになっていることである。
それは、今大きな話題になっている「軽減税率」についてもそう言える。
騙されているのかわざとなのかはわからないが、小沢一郎代議士や室井佑月さんが、与党税調の議論を受けて、「軽減にも何もならない、ただの茶番」といった批判をしているが、「軽減税率」の導入はそんなレベルの批判で済むほど軽い問題ではない。
(与党税調で軽減税率問題が議論されていた頃は、軽減税率の導入に賛成の人が8割ほどと言われていたが、昨日発表のNHKとFNN(産経)の世論調査によれば、40%から60%ほどが賛成というけっこう“健全”な数値になっていた)
断っておくと、以下の説明は、消費税が事業者の付加価値に課される税という理解が前提になる。(消費税は消費者が納付していると勘違いしている人は理解しづらいかもしれない)
「軽減税率」は、「軽減税率」ではなく、「複数税率」と呼ばなければならない。
なぜなら、標準税率とそれより低い税率という複数の税率が混在する場合、消費税納税義務者のなかに、“消費税負担”を「軽減される」ものだけでなく、“消費税負担”が「加重される」ものも生まれてくるからである。
現在議論されているように標準税率10%といわゆる軽減税率8%が存在する場合、消費税税額の算定では以下のようなパターンが生まれる。
売上及び仕入のすべてがその税率というわけではないが、今回与党税調で軽減税率の適用が決まった品目と例示した業種を参考にイメージしてもらえばわかると思う。
A:売上8%・仕入10%:農家及び漁業者そして新聞社や出版社
B:売上8%・仕入8%:食品スーパー(総合スーパーは一定範囲)
C:売上10%・仕入8%:外食産業及び食材を原材料とする非食品メーカー
D:売上10%・仕入10%:一般内需向け事業者
A、B、C、Dのパターンのなかで、今回の制度を「軽減税率」と呼べるのはAとBだけである。
それにとどまらず、Cにとっては、軽減とは真逆の「加重税率」になる。
Cにとって、「軽減税率」という呼称はマヤカシ以外の何ものでもない。(消費者にとっても同じ話だが別の機会に説明しここでは触れない)
また、AとBの「軽減」度合いは異なるが、Bは、Dよりも消費税の負担が軽くなるので「軽減税率」と呼んでも差し支えないだろう。
軽減か加重か、軽減度の違いはどうなのかを知るための簡単な例を示す。
それは、販売価格に儲けを乗っけず仕入原価で売るというものである。数値がややこしくなるので税抜き価格とする。
1億円で仕入れたものを1億円で売ると、A・B・Cそれぞれの消費税額は次のようになる。
A:1億円×8%−1億円×10%=マイナス2百万円
B:1億円×8%−1億円×8%=0
C:1億円×10%−1億円×8%=2百万円
D:1億円×10%−1億円×10%=0
どのパターンも、俗に言うツーツーすなわち原価で売ったのだから、商取引では付加価値を稼げない(荒利はない)。
BとDの消費税額0がそれを如実に現している。付加価値を稼いでいないから、付加価値税である消費税はゼロになる。
ところが、AとCの消費税税額はゼロではない。
Aは、算定された消費税額がマイナス2百万円である。
これは、消費税を納める必要がないだけでなく、税務署から2百万円の消費税還付を受けることできることを意味する。その結果、200万円の利益を手に入れる。
Cは、算定された消費税額がプラス200万円である。
Cは、なんと、荒利を1円も稼いでいないのに、消費税200万円を納付する義務を負った。
付加価値をまったく稼いでいないのに消費税を納付するということは、経営者が自腹を切るか借金しておカネを用意しなければならないことを意味する。
この例では消費税がともにゼロであるBとDの違いは、付加価値を稼いだときにわかる。
ともに、原価1億円のものを1億3千万円で売った場合、Bの消費税税額は240万円、Dの消費税税額は300万円となる。このように、Bのほうが消費税の負担を軽減されている。
このような例を確認すれば、「軽減税率」と呼ぶのがいかにいい加減でデタラメかわかるだろう。
以降、新聞社や創価学会が該当するAのパターンに絞って説明する。
例示は売上1億円・標準税率10%・適用軽減税率8%という条件だったので、原価で売ったとき200万円の消費税還付だった。
もっとリアルに考え、広告料収入などを除く新聞の売上が1千億円とすると、還付される消費税は20億円になる。
これまで常々、世論の形成にそれなりに影響力がある新聞社や出版社の主要品目に「軽減税率」の適用を許すと、消費税増税誘惑に駆られ、あることないことを理由としながら消費税増税の必要性を頻繁に訴えるようになると言ってきた。
多くの企業が消費税の負担に苦しみ、多くの国民も消費税を名目に価格を引き上げられて苦しんでいるなか、財政危機を問題視した記事や論考を掲載している新聞社が自分たちには税金から利益を得ることができる「軽減税率」の適用を求めるという破格の破廉恥ぶりだから、自分たちの利益をより増大させため「消費税増税キャンペーン」を推進すると判断しても自然だろう。
消費税は、今後その税率が15%や20%までアップすると言われている。
軽減税率制度から得る利益は、標準税率と軽減税率の落差が大きければ大きいほど膨らむ。
軽減税率は8%のままで標準税率が15%や20%になったとき、マージンがない取引からでも「消費税利益」がどれほど手に入れられるか確認してもらいたい。
仕入・売上ともに1千億円(税抜き)、先頭の%値は標準税率、軽減税率は8%。
●10%:1千億円×8%−1千億円×10%=消費税還付20億円
●15%:1千億円×8%−1千億円×15%=消費税還付70億円
●20%:1千億円×8%−1千億円×20%=消費税還付120億円
このように、消費税の標準税率がアップしていくと、Aの消費税還付=「消費税利益」はぐんぐん膨らんでいく。“濡れ手に粟”では恥ずかしいくらいえぐい不正利得を手にするのが複数税率(軽減税率)制度なのである。
国民を騙してでも自分たちの利益増大をはかるような連中が、消費税制度を通じて得る利益があるから新聞購読料を引き下げると予測すれば、鬼に笑われるだろう。
グローバル企業もそうしないからこそ、内部留保が340兆円も積み上がっている。
新聞社などが軽減税率制度を通じて得る「消費税利益」は、国民にも転嫁されているが、多くの事業者が懸命に頑張り必死にやりくりして納付している消費税を原資としている。
創価学会などの宗教団体や共産党・公明党といった政党はほとんど新聞や書籍を発行している。NHKも、宅配新聞は発行していないが、日本有数の出版社である。
利益を回す義理なぞない新聞社や出版社、信仰もしていない宗教団体、支持もしていない政党に、公平であるべき税制を通じ、多くの事業者(国民)がやっとのことで納付した消費税の一部を利益として提供する仕組みが「軽減税率」(複数税率)制度という理解が必須である。
※ 関連参照投稿
「危ないことしゃべっている室井さん:軽減税率を5%や0%にしても、適用事業者の利益が増加するだけで消費者の利益とは別」
http://www.asyura2.com/15/senkyo197/msg/822.html
「軽減税率 「外食」で折り合わず 12日再協議:自民党が「外食」を対象にしたいワケ」
http://www.asyura2.com/15/senkyo197/msg/867.html
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