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安倍政権は倒せる! <第8回>「革命」という言葉を警戒する反知性
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/171509
2015年12月12日 日刊ゲンダイ
小林節氏(C)日刊ゲンダイ
共産党が「国民連合政府」構想を掲げて野党選挙協力を提唱したことに対してさまざまな反響が報じられている。その中に、民主党の幹部が「『革命』政党とは一緒にやれない」と絶叫しているものがあった。そこには、文脈上、「革命」は悪いことだという前提がある。
しかし、私は、それは明白に間違っていると思う。
まず、わが国は第2次世界大戦で敗北した。敗戦の条件としてのポツダム宣言を履行するために制定した日本国憲法は、国民主権、平和主義、基本的人権の尊重を定めた、良い憲法である。この憲法とその前の大日本帝国憲法は内容的に断絶しており繋がっていない。つまり、後者は天皇主権、軍国主義(統帥権の独立)、専制(「人権」を認めず)であった。
このような体制の不連続を「革命」と呼ぶ。これは、社会科学の常識である。
かつて、帝政ロシアのロマノフ王朝の専制を倒して民主国家ソビエトを建設したレーニンは「革命」家と呼ばれている。また、英国ハノーバー王朝の暴政をはねのけたアメリカの独立も原語ではアメリカ「革命」と呼ばれている。そして、それに触発されてブルボン王朝の専制を倒して国民主権を確立したフランス「革命」もある。
これらは皆、国民大衆を人間扱いしていなかった王政から民衆を解放した歴史の進歩のひとコマであり、むしろ「良い事」であった。
もちろん、それぞれの革命の際には、ある種の暴力(軍事力)が用いられた。しかし、それは、国民大衆に暴力を向けた体制を倒すためで、むしろ正しい力の行使であったと言えよう。
今、差別と搾取のない社会の実現を目指している共産党が仮に「革命」を目指すとしても、それは、護憲派として、現行憲法が認める手続き、つまり「投票箱」を用いて行う他ない。
それにより各人の尊厳がもっと大切にされる社会を目指すものであるならば、そこにはレッテルを貼って警戒すべき理由はない。安倍独裁と対峙すべき現実を直視してほしい。
小林節
慶応大名誉教授
1949年生まれ。都立新宿高を経て慶大法学部卒。法学博士、弁護士。米ハーバード大法科大学院のロ客員研究員などを経て慶大教授。現在は名誉教授。「朝まで生テレビ!」などに出演。憲法、英米法の論客として知られる。14年の安保関連法制の国会審議の際、衆院憲法調査査会で「集団的自衛権の行使は違憲」と発言し、その後の国民的な反対運動の象徴的存在となる。「白熱講義! 日本国憲法改正」など著書多数。
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