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政権交代は手段であって目的ではないー(植草一秀氏)
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11th Dec 2015 市村 悦延 · @hellotomhanks
2016年の参院選に向けて、多くの動きが出ている。
こうした動きを捉えるときに大事なことは、
本末転倒にならないこと
である。
政権交代は目的ではない。
政権交代は手段である。
政権が変わっても、政策が変わらなければ意味がない。
選挙が近づくと、議員候補者の心理は、
選挙で当選すること
に傾斜する。
選挙に勝つために、その場限りの言葉を並べる人も増える。
しかし、いざ選挙が終わってしまうと、
選挙前に掲げていた約束=公約さえさすれてしまう人も少なくない。
沖縄では、辺野古基地建設反対を訴えていた人が、
選挙で当選すると、手のひらを返して、
辺野古基地建設賛成に回るような人物が大手を振って議員の職に留まっている。
民主党が2009年の総選挙で政権を獲得したときに、
「シロアリを退治しないで消費税増税をしない」
ことを明確に約束していたにもかかわらず、その後、民主党が、
「シロアリを退治しないで消費税増税を決定する」
先頭に立った。
このような「詐欺政治」、「ペテン政治」を許してはならない。
参院選では、121の議席が争われる。
そのうち、73議席が選挙区で選ばれ、48議席が比例代表で選ばれる。
選挙区で選出される73の議席のうち、32の議席が1人区で選出される。
この勝敗が参院選の結果を大きく左右する。
選挙区はこれ以外に、
2人区が4
3人区が5
4人区が3
ある。
現在の政権与党は自公である。
2人区から4人区では、自公と非自公が議席を分け合うことが多くなるから、
勝敗を分けるのは、32ある1人区ということになる。
この1人区で勝つために、各政党も、突然、「共闘」などと言い出しているわけだ。
自公が強いのだから、非自公が固まって、選挙協力をやるのは当然のことだろう。
野党共闘で、自公議席をひとつでも多く減らさなければ、
日本政治は、本当に危険なところに引き込まれてしまう。
しかし、その際に気をつけなければならないことがある。
それは、非自公のなかに、「隠れ自公」が数多く潜んでいることだ。
「隠れ自公」とは、
自公の政策と大差のない政策を掲げる人物のことである。
2009年の政権交代を破壊したのは、この勢力である。
民主党に所属しながら、
「シロアリを退治しないで消費税を増税しない」
の約束を踏みにじった者が、たくさん存在するのである。
その筆頭は、野田佳彦氏である。
野田氏は、2009年7月の衆院本会議、2009年8月の大阪街頭で、
「シロアリを退治しないで消費税を上げるのはおかしい」
と声を張り上げた張本人である。
マニフェストを必ず守ると言ったのは野田佳彦氏だけではない。
岡田克也氏も同じだ。
野田氏と岡田氏の、歴史に残る演説はネット上で動画配信されているので、
日本政治のあり方を考える上で、ぜひとも、その発言を再確認しておいていただきたい。
1.2009年7月14日野田佳彦氏衆院本会議討論演説
2.2009年8月15日野田佳彦氏街頭演説
http://www.youtube.com/watch?v=y-oG4PEPeGo
3.2009年8月11日岡田克也氏街頭演説
http://nicoviewer.net/sm13731857
繰り返すが、大事なことは政策を変えることなのだ。
面子を変えることではない。
政権交代が起きても、政策が変わらなければ意味がない。
政権交代は大事だが、政権交代が目的ではない。
政権交代を通じて、政策を変えることが大事なのである。
したがって、来年の選挙に際しては、次のことを、徹底的に、そして愚直に推し進めることが必要だ。
自公政権を退場させるには、選挙で自公に勝たねばならない。
安倍自公政権は国会の多数議席を占有して、暴虐の限りを尽くしているが、
主権者の支持は、驚くほどに薄い。
2014年12月14日の総選挙で、
安倍自民党に投票した主権者は、わずかに17.4%。
公明党を合わせても24.7%に過ぎなかった。
(いずれも比例代表選挙)
主権者の6人に1人しか安倍自民党に投票していない。
主権者の4人に1人しか、安倍政権与党に投票していない。
それなのに、安倍政権与党は衆議院議席の68%の議席を占有した。
この多数議席を背景に、暴虐の限りを尽くしている。
主権者の4人に1人しか安倍政権与党に投票していないのに、
安倍政権与党が多数議席を占有しているのは、
主権者の半分が選挙に行かなかったこと
安倍政権に対峙する勢力が候補者を絞らなかったこと
が原因だ。
選挙に勝つには、選挙のルールをよく知り、そのルールに合わせた戦術を採ることが必要不可欠だ。
サッカーの試合をするのに、野球のルールに基づいていては勝てない。
相撲を取るのに、プロレスのルールに基づいたのでは勝てない。
ルールがいいとか悪いとかを論じる前に、いまあるルールで勝つ方法を考えなければならない。
自公に勝つには、候補者を絞ることが大事になる。
その絞った候補者に主権者の投票を集中させる。
これが大事なのだ。
だから、選挙が近づいて、選挙協力の話が盛んに論議される。
それは必要なことだし、それをやらなければ政治の現状を変えられない。
野党共闘は大事だし、反対する考えはない。
しかし、それだけではダメだ。
それだけなら、単なる選挙目当ての野合になってしまう。
選挙で当選することだけが目的で、選挙が終わったとたんに、
隠れ自公の本性を表わされたのでは、主権者はたまらない。
大事なことは、選挙の前に、政策公約を詰めることだ。
公約として政策を明示すること。
そして、より重要なことは、その公約を
必ず守る
という確約を取ること。
日本の政党は、国会での採決に際して、
党議拘束
をかけることが多い。
各議員の投票行動を縛るのである。
議員が公約に反する行動を取らない理由に
党議拘束
が利用される例が後を絶たない。
党議拘束がかかることも含めて、候補者に政策公約の遵守を求める。
それでも、裏切る人間はいる。
主権者を裏切る、裏切り議員は枚挙に暇がない。
こうした、背徳議員を野放しにすれば、日本のペテン政治の風土は永久に変わらないだろう。
それを防ぐ手立てが、
「落選運動」
である。
主権者との公約を破棄した場合、次の選挙で、その議員を必ず落選させる。
この「落選運動」の脅威を、議員に理解させなければならない。
2016年の選挙に際して、
戦争法廃止
の旗が掲げられている。
しかし、大事な政策は戦争法だけではない。
原発、TPPも同じ重さで大事だ。
さらに、
辺野古
と
格差
さらに、
消費税
がある。
この五大問題、六大問題は、多くの主権者、議員候補者で、意識が重なっている。
したがって、可能な限り、
五大問題で、公約を明示できる候補者を
オールジャパン候補として擁立することが望ましい。
この考え方に沿う運動は、いま展開されている、
戦争法廃止に向けた野党共闘の流れと、並行して進めてゆくべきである。
両者の重なり合う部分は極めて大きいのだ。
政策を基軸に、党派を超えて、主権者が主導して候補者の絞り込みを行う。
そして、オールジャパンの市民連帯を実現する。
その結果として、「戦争と弱肉強食の政治」を「平和と共生の政治」に変える。
これが目的である。
必ず実現できる目標である。
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