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算入改定GDP「水増し」を憂う 日本経済一歩先の真相 高橋乗宣
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/171395
2015年12月11日 日刊ゲンダイ
■単なるカサ上げは本末転倒
何がナンでも、リセッション(景気後退)入りの汚名を拭い去った印象だ。7〜9月期の実質GDPが2次速報値でプラスに転じた。伸び率は前期比年率1.0%増。先月の1次速報値の0・8%減から大幅な上方修正である。
実質GDPが4〜6月期に続き、2四半期連続でマイナス成長に陥れば、安倍政権が「緩やかな回復が続いている」と言い張っても、国際社会はリセッションとみなす。今回の上方修正によって、景気後退の懸念を払拭したわけだが、数値の押し上げに大きく寄与したのは「企業の設備投資」だ。1次速報値では1.3%減と2四半期連続のマイナスだったが、2次速報値では0.6%増と驚異的に伸び、プラスに転じた。
安倍首相が「官民対話」で、財界トップに設備投資を迫ったことが功を奏したのか。それとも、GDPをまとめた内閣府が首相の意向を反映させたのか。むろん、これは冗談半分ではあるが、それにしても数値の極端な上振れは統計への不信感を招きかねない。
それでなくとも来年度からGDPの算出基準が改定される。改定の目玉は企業の研究開発費が新たに「投資」に盛り込まれること。実際に流通している商品の製造コストと違って、経済的な利益を直接生み出す投資ではないとみなされ、これまでGDPに加えられることはなかった。
グローバル経済の大波が押し寄せ、生産ラインの海外移転が加速。安倍政権が財界に「350兆円を超えた内部留保を吐き出せ」と、どんなに圧力を加えたところで、この先も国内の生産設備の増強を期待するだけムダだ。ところが、これだけ産業の空洞化が進んでも、大企業を中心に研究開発施設を国内にとどめているケースは多い。
せっけんひとつとっても、固形せっけんで何でも洗った時代から、今や洗濯・台所用だけでなく、あらゆる目途の製品が並んでいて驚かされる。自動車や家電、機械部品メーカーなどもまたしかりで、消費者や取引先が予想もしなかった便利な製品を次々と生み出し、新たな需要を掘り起こしていく。日本企業が国際競争を生き抜くうえでも、研究開発費の重要度は増している。
ただし、「名目GDP600兆円」を目標に掲げる安倍政権が単なる数字のカサ上げを狙っているだけなら、本末転倒だ。内閣府の試算では、名目GDPに研究開発費を算入すると、その実額を3%強押し上げる効果があるという。今の安倍首相なら、この水増し統計によって「GDP600兆円に近づいた」と胸を張りかねない。いくらGDPの数値が上昇しても、国民生活の向上が伴わなければ、無価値であることは言うまでもない
高橋乗宣
エコノミスト
1940年広島生まれ。崇徳学園高から東京教育大(現・筑波大)に進学。1970年、同大大学院博士課程を修了。大学講師を経て、73年に三菱総合研究所に入社。主席研究員、参与、研究理事など景気予測チームの主査を長く務める。バブル崩壊後の長期デフレを的確に言い当てるなど、景気予測の実績は多数。三菱総研顧問となった2000年より明海大学大学院教授。01年から崇徳学園理事長。05年から10年まで相愛大学学長を務めた。
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