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北朝鮮制裁の一部解除を表明した安倍晋三首相(2014年7月3日) (c)朝日新聞社
一部制裁解除した安倍政権の失策 拉致問題解決のウルトラCは〈週刊朝日〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20151210-00000001-sasahi-kr
週刊朝日 2015年12月18日号より抜粋
北朝鮮の若き最高権力者、金正恩の暴走が止まらない。一部制裁解除と引き換えに約束した拉致問題の再調査も反故。安倍政権は一杯食わされた格好だ。解決のウルトラCは? クライシスが迫る北朝鮮の現状をジャーナリスト・石高健次が取材した。
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安倍晋三首相自らが、ぶら下がり会見でストックホルムでの日朝政府間協議で合意がなり、北朝鮮が拉致被害者ら行方不明日本人の再調査を約束したと発表したのは、昨年5月29日。
「拉致問題全面解決への第一歩と期待したい」の言葉から始まった協議は、北朝鮮の報告書提出期限が過ぎた今も何ら進展を見せていない。
膠着の原因は何なのか。私は、外務省による交渉とは別ルートで官邸に入った情報に乗ってしまったことではないかと考えている。
外務省の対北交渉の基本的な考えは、「北朝鮮が拉致被害者など再調査を約束した時点では制裁を緩めない。受け取った報告を吟味し中身があるとなって初めて一部解除する」(政府関係者)というものだった。それが一転、再調査開始と同時に制裁一部解除となった。ところが協議を進めると何も出てこなかった――。
実は過去に、日朝交渉の重大局面で日本政府が前のめりになるような情報が北朝鮮から投げられていた。
あの金丸訪朝の直前、1988年、石岡亨さん(政府認定拉致被害者)から、有本恵子さん(同)の写真同封で「事情があって平壌にいる」との手紙が実家に来ている。また、87年には能登沖で漁に出て行方不明になっていた3名のうち寺越外雄さんから24年ぶりに手紙が北朝鮮から身内に送られている。
さらに2002年小泉訪朝の際も、半年ほど前から「有本恵子さん生存」という噂が聞こえてきた。首脳会談当日、時事通信は「有本恵子さん生存、帰国へ」と速報までしている。
つまり、北朝鮮は、拉致問題で日本側が前のめりになるようなイイ話を撒(ま)き、交渉に臨んではそれ以外のものを出して経済援助なりを引き出そうというのが常套(じょうとう)手段なのだ。
膠着状態を受けて、このところ、「一部解除した制裁を元に戻せ」、あるいは「さらに強化すべき」との声が上がっている。
経済制裁について言えば、やるなら徹底してやる、つまり「チキンレース」のような覚悟でやるならば、それは効果があるだろう。経済制裁の究極のところは、貨物船の出入りを止める海上封鎖、さらに自衛隊が怪しい船舶に乗り込む臨検だ。これを北朝鮮に対して行えば、交戦状態になるのは必至だ。しかし、現在の憲法上の制約だけでなく、国民の一般的な意識からしても、これはできない。
かといって、制裁を強化したところで、過去8年間で北朝鮮が困り果て拉致被害者を出してこなかったわけで、効果の検証もしっかりやらずに強化したところで、また同じ年月が流れるのではと危惧する。なぜなら、北朝鮮指導者は、食料が窮乏し、90年代半ば以降280万人ともいわれる餓死者が出ても“平気”だったのだから。また、国の血液といえる重油は、中国からのものは、核・ミサイル開発のために減ったようだが、途絶えてはいない。現在はイラン、ロシアからも入っているようだ。
次に特殊部隊。つまり武力で救出せよとの声が最近聞こえてくるので、敢えて言うのだが、拉致被害者がどこでどのように生存しているかの確たる情報もなく投入することなどできない。安倍首相も7月の安保関連法案をめぐる国会審議で「残念ながら考えられない」と述べている。
これは、拉致発生を容易にしてきたことにも通じるが、アメリカのCIA(中央情報局)やDIA(国防情報局)のような諜報機関が日本にない以上、武力に頼ることはできない。
わが国は若狭湾沿岸に14基の原発が集中するというリスクを背負う。万一、北朝鮮のミサイルまたは工作船からのロケット砲が、この一つを破壊し、放射性物質が琵琶湖に降り注いだならば、近畿の千数百万人は水を飲めなくなる。
拉致被害者を救出する方法だが、あるフランス人ジャーナリストが私に語ったものだ。
北朝鮮と親交の深い、第三国の諜報機関員(複数)をカネで抱き込む。彼らは、長年にわたり北朝鮮に駐在したか往来してきた者たちだ。その機関員たちが目にかなう北朝鮮の諜報機関員をカネで抱き込み、被害者を脱北させる――。全員救出まですべては秘密裏に行う。
北朝鮮は当然そういうことに神経を尖らしているだろうが、わかった上での行動だ。
以上のように考えていくと、現時点で日本という国は、結局、話し合いで解決するしか道はないことになる。その場合、私は、拉致被害者以外の行方不明日本人や日本人妻の里帰りなどについても、同時並行で前へ進めるべきだと考える。もちろん、国の不作為のために泣いている人たちに人道上の優劣はない。ただし、見返りの経済援助はせず、必要経費のみ支払う。
様々なパイプでやり取りをすることで拉致被害者につながる真正情報が入ってくる可能性が出てくる。
北朝鮮の幹部たちは、「いつ自分が粛清されるかわからない」という疑心暗鬼が強くなり秩序基盤はどんどん緩んでいるからだ。
同時並行で進めると、拉致被害者の生存者まで死んでいると騙されるのではと指摘する声がある。徹底したDNA鑑定や歯型確認など科学的主義を貫く。空白の時間を費やすよりは、慎重かつ毅然とそうした行動への戦術を固めてほしいと願う。
(ジャーナリスト・石高健次)
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