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“検察有利”は歴然…刑訴法改正で「冤罪事件」激増の恐怖
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/171337
2015年12月10日
「日本の司法を正す会」(C)日刊ゲンダイ
刑事訴訟法の改正案に反対する「日本の司法を正す会」が8日、都内で集会を開催。弁護士の郷原信郎氏やジャーナリストの青木理氏、元国会議員の鈴木宗男氏ら5人が、継続審議になっている改正案の危険性を訴えた。
改正案は、2010年に足利事件、11年に布川事件、12年に東電OL殺人事件と、冤罪が相次いで明らかになったことを受け、「取り調べの部分可視化」「司法取引」「盗聴拡大」などを抱き合わせ、今年の3月に国会に提出された。ところが、「改正案が成立すれば、新たな冤罪を生む」のは間違いないというのだ。
「改正案では取り調べの録音・録画を徹底するとしていますが、重要なのは記録の使われ方です。改正案には、被告人や弁護人が記録の開示を求める権利が明記されていない。結局、権利を持っているのは検察サイド。苛烈な取り調べのテープを伏せ、都合のいい記録だけを抜き取って裁判で証拠として示すケースが考えられます」(メンバーのジャーナリスト・今井恭平氏)
「取り調べの可視化」と聞くと検察・警察も冤罪防止のために“前向き”になっているのかと思うが、現実は違うということだ。
このままでは、法改正後も強引な取り調べが続く。それについて、冤罪被害の当事者は実体験を伴った警鐘を鳴らす。
1967年に当時62歳だった男性が殺された「布川事件」で逮捕され、78年から29年間、獄中生活を送った桜井昌司氏は、取り調べの過酷さをこう語った。
「警察や検察の取り調べは圧力そのものでした。狭い空間に閉じ込められ、室内には時計すら置いていない。ただただ目の前の痛みと向き合うしかないのです。私は何日も問い詰められた後、ウソ発見器にかけられ『君の証言は虚偽だ』と言われた時に心が折れ、やってもいないことを自白してしまった。体験しないと理解しにくいと思いますが、同じ境遇に置かれればほとんどの人が自白してしまうでしょう」
「司法取引」や「盗聴拡大」も結局、当局にとって都合のいい捜査手法を広げるだけ。「自分には関係ない」─―そう思っていても改正案が成立すれば、誰もがいつの間にか“犯罪人”に仕立て上げられてしまう可能性がある。
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