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地方から始まった「野党全面共闘」 独断で共産と協力も?
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/171265
2015年12月9日 日刊ゲンダイ
「野党統一候補」の実現なるか/(C)日刊ゲンダイ
維新の党の松野頼久代表が再選から一夜明けて、早速、持論の野党結集に向けて動きだした。7日、民主党の岡田克也代表と会談し、来年の通常国会で統一会派を結成する方針で合意した。だが、双方の解党と新党結成を目指す松野代表に対し、岡田代表は依然、慎重なまま。共闘を呼び掛ける共産党へのアレルギーは凄まじい。となると、参院選までに野党共闘は実現するのか。実は地方に目を移すと、「野党統一候補構想」の成否はハッキリ見えてくる。すでに地すべり的に一本化が始まっているのである。
「野党統一候補」構想は、まず安全保障関連法に反対する市民団体との連携が土台になる。具体的には民主党が率先して政党色を薄め、学生団体「SEALDs」などの支援を取り込む。そこで安保法廃止を掲げれば、共産党も相乗りしてくる。公認候補乱立の共倒れを事前に防いだうえで、各党が無所属候補への推薦や支援をする。あくまで応援にとどまるところがミソで、そうすればそれぞれの支持層の反発も収まる――。民主党の岡田執行部が考えている思惑もそんなところだ。
この構想について、共産の志位委員長は「大いに歓迎」と表明した。苦肉の策の連携はようやくスタートラインに立ちつつある。
民主党ではこれまで共産党への毛嫌いが凄まじかった。細野豪志政調会長は「日米安保など基本政策で一致できない」と連携を拒否。長妻昭代表代行も「党内に賛成者はいない」と公言し、前原誠司元外相は共産を「シロアリ」呼ばわりした。前途多難にみられたのだが、状況が変わったのはこんな事情だ。
「党内で威勢がいいのは都市部選出で選挙に強い国会議員だけなんです。党所属の県議や市議たちは党勢衰退の波をモロにかぶり、地方議会での生き残りをかけてワラにもすがる思いですからね」(民主党関係者)
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確かに地方議会では共産の躍進は目立つが、民主の埋没が凄まじい。選挙のたびに議席を大幅に減らし、もはや目も当てられない惨状だ。
政権陥落直前の11年には、民主の都道府県議は全国に455人いたが、昨年末時点で386人に減った。今年4月の統一地方選でも大惨敗を喫し、議員数はまた一段と減っている。
もっと悲惨なのが、市区町村議員だ。民主党政権誕生の翌10年には1140人まで党勢を拡大したが、昨年末は893人。247人も議員数を減らした。マイナス幅は実に21%にも上る。
「選挙のたびフル回転する地方議員の組織力も、議席の減少分だけ弱体化しています。選挙区が県単位の参院選ならなおさらで、県内全域に散らばった地方議員の集票力が勝敗を左右するだけに深刻です。こんなふうに足腰が弱っている状況では勝負にならない。公示日が近づくほど、独断で共産との選挙協力を打ち出す県連が続出しそうなムードです」(前出の関係者)
民主の地方組織は背に腹は代えられなくて、執行部も動かざるを得なくなったということだ。
「10増10減」で統合される鳥取・島根選挙区では、民主・社民の両県連などが無所属候補の支援組織を結成し、元消費者庁長官の福島浩彦氏に出馬を求める。こうした地方発の野党共闘は熊本や鹿児島、新潟の各選挙区でも動きだしている。さらにSEALDsなどの市民団体には坂本龍一や石田純一、吉永小百合など有名芸能人が応援に駆け付けるとみられている。
全国32の1人区のうち、民主が公認候補を立てたのは9選挙区だけ。野党統一候補を擁立できる余地は、まだまだ残っているから、これからが勝負である。
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