http://www.asyura2.com/15/senkyo197/msg/747.html
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「安倍政権が米国と敵対するシリア・アサド政権に25億円の援助約束の事実が発覚! しかも国民に情報を徹底秘匿(リテラ)」
http://www.asyura2.com/15/senkyo197/msg/736.html
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上記の記事は、冒頭で「シリア問題は解決の糸口が見えないどころか、ロシアとトルコの緊張関係が生じるなど、ますます混迷を深めているが、ここにきて安倍政権がとんでもない外交を行っていたことが判明した。なんと、シリアのアサド政権のために約25億円の拠出を約束していたことが発覚したのだ」と切り出しているが、周回遅れの状況認識に基づく見解で、「シリア問題」の現状からはズレている。
シリアは、ISを含む内乱のなかで勢力を拡大したスンニ派イスラム主義統治をめざす勢力を排除・掃討する終局的段階に入っており、アサド政権派を含む、“世俗主義”で統治を目指す勢力はすでに和平プロセスに入っている。
安倍政権が「シリア第3の都市ホムス近郊のジャンダール火力発電所に、タービンの羽根や軸受けの予備を供給する」という話も、ホムスが基本的に反政府勢力の支配下にあり、政府軍と攻防を続けていることを考えると、和平達成後でなければ、部品を供給する協定の実行は難しいだろう。
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※ 参照投稿
「仏、アサド退陣はもはや優先事項ではないと方針転換:ケリー国務長官も同意しアサドが辞任すべきかどうかはっきりしないと表明」
http://www.asyura2.com/15/warb16/msg/582.html
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リテラの記事は、「安倍政権がシリア問題の元凶ともいえる非人道的なアサド政権を助勢したということなのだ。これは、ISやその他イスラムの反政府組織の反発を招く行為というだけでなく、反アサド政権を表明しているアメリカやNATO諸国との共同歩調を破るものだ」と解説しているが、日本を含む欧米のメディアが発してきた情報をもとにつくりあげられてきた少し前までの「シリア問題」観に基づくものでしかない。
安倍政権(外務省)は、当然のこととして、米国を中心とする“国際世論”を踏まえて、国連開発計画(UNDP)とのあいだで協定を締結している。
欧米とイスラム諸国の関係が集約された「中東問題」に深入りしない方がいいと思うのは、欧米主要国政府の表明やメディアの報道などの“表層的な情報”が必ずしも内実に沿ったものではないからである。
報道されているレベルで状況を判断するととんでもないことになる。
米ソの対立もそうだったが、アサド政権と米欧諸国は、深層レベルまで対立関係にあるわけではない。
11年に始まった「シリア内乱」は、25万人を超える犠牲者を出しながらなお続いているが、米英仏支配層にアサド政権が協力することで勃発し長期化した可能性も捨てられない。
アサド政権が国民の“平和なデモ”を武力で弾圧したとしても、それが、非政府組織までが重武装で戦う大規模な内乱に直線的につながるわけではない。
アサド政権が内乱勃発に協力していないとしても、シリアに長期にわたる殺戮と混迷をもたらしたのは、アサド大統領を“悪人”に仕立て上げることで、公然と反政府勢力に武器を供給し続けた国々(米英仏及び周辺諸国)である。
米欧諸国は、アサド政権の自国民に対する“残虐非道”ぶりをあげつらうことで、反政府勢力への武器供与を国際的に認めさせ、シリア人同士(多くはムスリム同士)の戦いに火と油を注いだのである。
武力闘争に打って出ようという政治勢力はほとんどいない日本だが、日本をイメージしながら考えるとこの問題はわかりやすい。
日本でも反安倍政権の政治勢力は存在する。安倍政権がそういう勢力のデモを抑え込もうとしたことを理由に、外国が反安倍勢力に武器を供与したようなものである。
政府打倒を掲げる反政府勢力が銃火器を使い始めたら、政府が自衛隊を中心とした武力行使で“反乱者”の掃討をはかるのは当然であろう。
シリアで起きた反アサド運動は、「アラブの春」(これもチュニジアやエジプトの結末でわかるように、旧支配層内部の権力争いであり、権力の座に長々としがみつく最高権力者を放逐して権力を掌握したいグループが市民をうまく唆して起こした“革命的騒乱”)の一環とされたが、内乱的状況のなかで英国の世論調査会社が行った調査でも、シリア国民の過半数はアサド政権を支持していた。
シリアの対立をイスラムの宗派対立に結びつける見方もあるが、アサド政権が過半数の国民の支持を得ているのは、アサド政権の与党バース党が“世俗主義”と“社会主義”を基礎としており、シリア統治に宗派の違いを持ち込まなかったからである。
名称も同じでかつては友党であったイラクのバース党も、“世俗主義”と“社会主義”をベースにしており、フセイン政権がスンニ派と言うのも、フセイン政権幹部の多くがスンニ派地域出身者であったからに過ぎない。
フセイン政権は、一部(ファルジャーやラマディ:このようないきさつが現在なお戦闘が繰り返されている対立の源泉)を除いたスンニ派地域を優遇したが、それは宗教絡みではなく、どこでもある地縁血縁への配慮である。(ファルジャーやラマディの地域部族はスンニ派だが反フセインの立場だった)
シリアのアサド大統領は少数派(人口の12%ほど)のアラウィー派(シーア派に近いと言われるがイスラムに様々な宗教的要素が混ざったものでイスラムとはみなさない人もいる)が、その教義を政治に持ち込んでいるわけでもなく、スンニ派、シーア派、キリスト教、ユダヤ教などモザイクのような様々な宗教のあいだに政治的調和をもたらしたことで、多くの宗派や地域がアサド政権に“安心感”を抱いたのである。
(仮に、多数派スンニ派が宗教を旗印に政権を取れば、他の宗教や宗派を信仰する人たちは居心地が悪くなるだけでなく、経済的利益で割を食うと考える)
このような統治構造も、サイクス−ピコ協定(英仏+露がWW1でオスマン帝国が崩壊したあとの中東分割支配を秘密で定めた協定)でシリア地域をフランスが支配するようになったことがきっかけである。
欧米支配層は、植民地や保護国を支配するとき、対立と分断をつくり、少数派に統治権を付与することで、安上がりで追い出されにくい統治構造をつくる。
シリアの内戦は、1年半後までに新たな政権を選ぶという目標で和平プロセスが始まっている。
示した参照投稿でわかるように、米英仏露がそろって、和平プロセス期間はアサド大統領が存続することを容認している。
間違って見られているようだが、ロシアも、アサド政権の存続にこだわっているわけではない。
これまでのプロパガンダで醸成されてきた欧米諸国のみならず中東諸国の世論があるので、アサド大統領が政治の舞台から身を引くことはやむをえないと考えている。
いずれにしろ、再統一されたシリアを“世俗主義”で統治できるのは、アサド氏を外したとしてもアサド政権派・バース党というのが欧米露の共通認識である。ISでなくても、イスラム主義を掲げる勢力を政権につかせることはできないからである。
反政府勢力の主要組織である「自由シリア軍」は、シリア政府軍の離脱組(反乱者)であり、アサド政権が“恩赦”を与えれば元の鞘に戻る可能性が高い。
そのような再統一過程をサポートするのが、ソ連時代からシリア軍とつながりが深いロシア・プーチン政権であろう。
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