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工事車両が基地内に入るのを防ごうと出入り口で座り込み機動隊員に強制排除される女性。悲しげな瞳でカメラを見つめた/11月28日朝、沖縄県名護市辺野古(写真:沖縄タイムス提供)
「ブタ1名確保」「お前は犯罪者」辺野古でエスカレートする機動隊らの言動〈AERA〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20151208-00000006-sasahi-soci
AERA 2015年12月14日号より抜粋
ついに争いの舞台が法廷に移った沖縄・辺野古への新基地建設問題。一方、現場に目を戻すと、民主国家とは思えない醜態が起きていた。
この日も午前6時から、米軍新基地建設に抗議する座り込みが始まった。11月28日、沖縄県名護市辺野古。約60人が工事車両の出入り口で腕を組み、横たわった。
いつもと同じように、機動隊員約100人がごぼう抜きにかかる。そのとき、男性(63)の左の肋骨(ろっこつ)に激痛が走った。隊員の手で押さえ付けられていた。
ボキッ。そう、音が聞こえた気がした。
「やめて、と言ったけどやめない。息もできない痛さだった」
男性は救急搬送され、骨折と診断された。
昨年7月の座り込み開始から500日以上。連日のように機動隊による強制排除が続く。こんな場所が、日本のどこにあるだろうか。
今年11月からは、沖縄県警だけでなく警視庁の応援部隊も投入されている。安倍政権が総がかりで沖縄の民意にのしかかり、男性の骨は「ボキッ」と鳴った。
陸上だけではない。埋め立て工事の現場となる海では、全国から動員された海上保安官が待ち受ける。現場周辺は、あらかじめ罰則付きの立ち入り禁止海域に指定された。市民のカヌーや漁船がその海域に入った途端、高性能ゴムボートの海上保安官が襲いかかる。海は陸に比べて目が届きにくい。
11月2日、カヌーを降り、海面に浮かんでいた女性(42)は突然、海上保安官に両肩をつかまれ、水中に3回沈められた。身に着けた小型ビデオカメラは、伸びてくる海上保安官の手を写し、その後、水没する。「やめて! 助けて!」。女性の叫び声に、海上保安官が耳を貸す様子はない。
11月18日には、海上保安官4人がかりで押さえ込まれた船長の男性(62)が一時、意識不明になった。男性は「殺されるかと思った」と振り返った。
記者に聞こえないところでは、暴言を吐く警官や海上保安官もいるという。
「お前は犯罪者だ」「それでも日本人か」
拘束され、「ブタ1名確保」と言われたとの訴えさえあった。
県警や海保は一貫して否定するが、言動はエスカレート傾向にある。「このままでは死者が出る」という市民側の懸念は、決して大げさではない。
沖縄は考えられる全ての民主的な手続きを使って、普天間飛行場返還と引き換えの新基地を拒否してきた。古くは1997年、名護市民投票で。最近は昨年の知事選で、公約に反して新基地建設を認めた仲井真弘多(ひろかず)氏に代わり、反対を掲げる翁長雄志(おながたけし)氏を選び直した。
翁長氏は、仲井真氏が国に与えた埋め立て承認を取り消した。安倍政権の答えは、取り消しの撤回を求めて県を訴えることだった。裁判が始まった12月2日、被告席から証言台に立った翁長氏は「日本には、本当に地方自治や民主主義は存在するのでしょうか」と訴えた。
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