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法人税税率の引き下げは、消費税増税で消費税還付が増え利益が増大するグローバル企業の法人税増加を抑制する“既定の方針”。
それがわかっているこそ、安倍政権は、税制を通じて得た“不労利益”を賃上げや設備投資で使うようしつこく厳しく経団連などに要求している。
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安倍・榊原連合、押し通す 法人税29.97%決定の舞台裏
経団連「投資増・賃上げ」転機に 財務・経産省痛み分け
政府が法人実効税率を2016年度から29.97%に引き下げる方針を固めた。国内総生産(GDP)600兆円へ成長戦略を加速したい首相官邸の強い意向が背景にある。「来年度」に慎重だった財務省と、代替財源となる赤字大企業への課税強化に反対した経産省は痛み分けとなった。政府内の逆風を押し切ったのは、安倍晋三首相と経団連の榊原定征会長との蜜月関係だ。
「来年度から20%台に下げられる財源を探せ」。菅義偉官房長官は11月下旬、財務、経済産業両省の幹部を首相官邸に呼び指示した。「財源はみつからない」。財務省幹部は説明したが、菅氏は「来年度から絶対にやるんだ」と突っぱねた。
同24日の経済財政諮問会議でも「16年度に20%台に引き下げるように様々な方策を検討すべきだ」と表明した。
法人実効税率をめぐっては15年度税制改正で、14年度の34.62%から15年度に32.11%、16年度は31.33%に下げると決めた。今年6月に改定した新成長戦略では「数年で20%台まで引き下げる」と明記していた。
「税収は上がる」
だが、菅氏は夏ごろからさらに野心的な目標を周囲に漏らし始めた。
「来年度から20%台に下げたい。税率を下げたほうが税収は上がる」。アベノミクスの最大の成果ともいえる株価は8月を過ぎると2万円台から急落し、市場には悲観的な見方が急速に広がっていた。7〜9月期の実質経済成長率も2四半期連続のマイナス成長に落ち込んだ。来夏の参院選もにらみ、迅速に経済の上昇機運を取り戻せる政策はないか。その答えの一つが法人税だった。
だが、財務省は早期引き下げには赤字の大企業への課税強化になる外形標準課税の拡充が必要と譲らなかった。経産省は財源確保を後回しにする先行減税には積極的だが、赤字企業への課税強化に反対し、16年度からの引き下げには一時トーンを落としていた。
政府内には「企業の内部留保に回るだけ」との批判も根強かった。11月中旬頃には「法人税は盛り上がらない」との見方が広がっていた。
それでもあえて11月下旬に「来年度」の旗を掲げた菅氏。勝算は水面下で進んでいた榊原経団連との二人三脚にあった。
10月下旬、安倍首相の中央アジア歴訪。海外出張には常に同行する政務の今井尚哉首相秘書官の姿がなかった。首相は腹心を国内に残し、経団連が官民対話で賃上げと設備投資に関して踏み込んだ見通しを公表する調整に当たらせていた。
11月5日の対話で、首相は「次回、見通しを示してほしい」と正式に要請した。前首相秘書官の柳瀬唯夫経産省経済産業政策局長らが何度も経団連を訪れ、詳細を詰めた。それが11月26日の官民対話での経団連の榊原会長の「決意表明」だ。
「設備投資は経営側の努力で80兆円は見込める」。榊原氏は今後3年間で設備投資を約10兆円増やすことが可能との見通しを示した。来年の春季労使交渉は「今年を上回る水準を期待」との意向も伝達。経団連要望の「早期引き下げ」を超え「来年度の20%台実現をぜひお願いしたい」とも踏み込んだ。
最大の難関だった財源問題の解決でも、経団連が大きな役割を果たした。「絶対反対する」と目されていた外形標準課税拡大に同意する方向に転じた。財務省幹部はこれについても「榊原氏主導だった」と振り返る。
「財源で協力を」
「産業界には法人税改革の財源確保に協力してほしい」。26日の官民対話を首相はこう締めくくった。経団連内には、赤字企業への課税強化への反対論はなお根強く、最後まで先行減税への要望は強かった。だが、官邸サイドには先行減税の選択肢は残っていない――。首相の言葉からそう察した榊原氏は首相の意をくみ、赤字企業への課税強化を受け入れた。
先行減税がない以上は、赤字企業への課税強化がより安全な選択肢との計算もあった。代替案にあげられた内部留保課税や研究開発減税の縮小・廃止は会員企業の反対がさらに強かった。
「はしごを外された」。経産省内には所管の経団連がどたんばで赤字課税の強化を選んだことに苦渋の色がみえる。一方、財務省も当初想定していた17年度からとのシナリオを崩された。財務・経産両省が痛み分けを余儀なくされた構図だ。
一方、自民党税制調査会は蚊帳の外に置かれたままだった。自民党の宮沢洋一税制調査会長は、来年度の引き下げは難しいと一貫して語ってきたが、調整に直接かかわった形跡はみえない。「すべて経団連と財務省からの事後報告だった」。税調関係者は証言する。
[日経新聞11月6日朝刊P.2]
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