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高村正彦・島田晴香『18歳からの政治学入門 選挙ってなんだろう!?』(PHP研究所)
自民党副総裁・高村正彦がAKB島田晴香と謎の対談、現状を「プチ独裁だから大したことない」と暴言!
http://lite-ra.com/2015/12/post-1749.html
2015.12.04. リテラ
「国民の命を犠牲にしてまで、憲法9条2項の条文を守れというような考えをしてはならない。そのような解釈をする人は法律家ではなく、憲法本来の目的を忘れた法律屋、法匪だ」
──先月24日、高村正彦・自民党副総裁が講演会でまたしても“暴言”を吐いた。憲法9条を守れと言うのは立憲主義に基づいた至極真っ当な指摘。そのため、この発言には“元弁護士”である高村自身こそ「憲法本来の目的を忘れた法律屋」ではないか、と非難が集中した。
そんなザ・鉄面皮の高村副総裁が、先日、珍妙な対談本を出版した。というのも、対談相手はなんとAKB48メンバーの島田晴香。タイトルは『18歳からの政治学入門 選挙ってなんだろう!?』(PHP)だ。
AKBといえば、昨年、憲法暗唱が特技の現役慶大生・内山奈月が憲法学者・南野森氏とともに『憲法主義』(同じく版元はPHP)を発表、「わかりやすい憲法入門書」としてヒットした。この二番煎じとして企画されたことは想像に難しくないが、とくに政治に興味があるようにも思えない島田晴香という人選もさることながら、政権を担う政治家が語ればバイアスがかかり、入門書としてはまったくフェアな本とは言えない。
しかも失笑してしまうのは、本の装丁だ。国会議事堂をバックに高村副総裁と島田が並び立つ写真といい、黒で統一された文字、「選挙ってなんだろう!?」というタイトル……。そう、ヒットしたSEALDsと高橋源一郎による『民主主義ってなんだ?』(河出書房新社)に何もかもソックリなのだ。もちろん、国会前にAKB衣装とスーツ姿が並ぶ違和感や、ヌケ感のない文字組など、本家のスタイリッシュさは皆無である。
と、読む前からイヤな予感しかしない本書だが、実際にページをめくってみると、やはりツッコミどころが満載だった。
たとえば、島田に投票率の低さの理由を訊かれた高村は、「やはり、自分たちが主権者だ、という意識に欠けているということだと思います」「(国民は投票に行っても)「どうせ変わらない」ということを、「どうせよく変わらない」という意味でしか意識していないと思うんだよね」ともっともらしく語っている。
……いや、それはお前が言うな、という話である。なにせ高村副総裁は安倍首相同様、安保法制を「国民の理解が得られなくても法案を成立させねばならない」と言い切った人物。こんな発言をしておいて、よくもまあ「国民主権」を語ったものだ。だいたい、国民の理解を得なくても勝手に決める政治があるから、国民は「どうせよく変わらない」と諦めてしまうのではないのか。
しかし一方で高村副総裁は、こんな本音も洩らしている。それは、小選挙区比例代表制に話題が移った場面でのこと。高村副総裁は「(小選挙区比例代表制は)ある意味で独裁を生むシステムなのです」と指摘し、こんなことを言い出すのだ。
「以前のように選挙で個人も選べて、派閥もあったりしたほうが、党のなかでみんなが勝手なことを言えたのは確かです」
「政党本位の選挙をやると、党のお金と人事を自民党でいえば総裁が握る。ある意味では、党のなかではプチ独裁です。プチ独裁」
つまり、現在の安倍自民党は「プチ独裁」状態にある、と高村副総裁は認めているわけである。少数派閥から“安倍独裁体制”に丸乗りして生き残ってきた高村氏が言うだけに実感がこもった話であり、そもそも集団的自衛権について「我が国の憲法上許されない」と語っていたのに安倍政権の「プチ独裁」状態になって解釈を翻しただけはある。この「プチ独裁」こそが現在の政治状況と小選挙区制の問題点であるというのは、たしかに間違いない。
だが、当然ながら安倍独裁体制に呑まれた高村副総裁は、「独裁といっても、民主主義のなかの政党内独裁だから、いわば「プチ独裁」で大したことはないですよ」「(独裁国家の独裁とは違うから)小選挙区比例代表制はダメだと断ずるほどのことはないと思います」とフォローするのだ。
一応、本書は18歳に向けて書かれた政治と選挙の入門書という触れ込みのはず。なのに、「「プチ独裁」で大したことはないですよ」というのは問題を矮小化しすぎである。
と、こんな調子で、“現在の憲法はアメリカの日本弱体化政策によるもの”“憲法9条、とくに第2項は特異なもの”などと随所に自身の主張を織り交ぜてゆく高村副総裁なのだが、じつは本書、「18歳からの政治学入門」を謳うわりに「日本の政治・外交は優秀だ!」と褒め称えるばかりで、問題点がさっぱり語られない。他方、選挙における握手の仕方のコツだのドブ板選挙の効果だのといった、国民にはまったく意味のない話が延々とつづく有り様なのだ。
しかし、そんななかでもっとも大きくツッコんだのは、高村副総裁のこの一言だろう。
「政治家というのは普通の人に毛が生えたくらいの人」「(だからこそ国民は)政治に参加してください」
もちろん高村氏も政治家なのだから、「普通の人に毛が生えたくらいの人」のひとりということになる。でも、安保法制をめぐって高村氏は、安保法制は違憲ではないかという声に対して「たいていの憲法学者より私のほうが考えてきたという自信はある」「学者の言うことを聞いていたら日米安全保障も自衛隊もない。日本の平和と安全はなかった」と断言。一介の弁護士に過ぎなかったにもかかわらず“オレ様こそ法律家の頂点、オレ様こそ正解”と不遜な態度を恥ずかしげもなく披露してきたではないか。
しかも、高村氏は、統一教会の裁判で教会の代理人も務めた経歴の持ち主であり、統一教会と密接な関係にあった「勝共連合」に議員としても名を連ねていた。また、90年代に作成された警視庁公安部の極秘資料でも、勝共連合への貢献度は「Aランク」とされ、週刊誌では統一教会から車の提供を受けていると指摘されたこともある。どうしてそのような“いわくつき”の弁護士・議員が、「たいていの憲法学者」より自信満々な態度なのだろう。
さらに、もっと恐ろしいのは、この「普通の人に毛が生えたくらいの人」が、パリ同時多発テロに便乗して、治安維持法の復活ともいえる共謀罪を「しっかりやっていかなければいけない」などと言い出していることだ。だが、ここでも注意しなければいけないのは、高村副総裁のバックボーンである。高村氏の父・高村坂彦といえば、鳥取、香川、新潟県で特高課長を務めた特高警察の幹部という経歴をもつ人物だ。
そのことを考えると、息子である高村氏が反共を掲げる統一教会とつながりをもち、いま、共謀罪を打ち出すのは、「思想犯は取り締まるべき」という強い思想があってのことだと思えてくる。到底、「普通の人」が考えるようなレベルの話ではないし、そうした人物が若者に政治を語ること自体が、げに恐ろしくなってくる。
不幸中の幸いか、AKBを担ぎ出したわりに本書はあまり話題になっていない様子。だが、本書を読む若者には、「普通の人に毛が生えたくらいの人」と豪語する政治家こそがヤバい、ということだけはくれぐれも覚えておいてほしいと思う。
(水井多賀子)
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