http://www.asyura2.com/15/senkyo197/msg/468.html
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生活保護は生存権の具体化なのに、生活扶助費を毎年減額。寒冷地の暖房費まで減額。生きさせろ!
http://blog.goo.ne.jp/raymiyatake/e/41adb5d123547ec63dfd78d5bb044ef8
2015年12月02日 Everyone says I love you !
「生活保護をもらっておきながら酒を飲んでいる。パチンコをしている。不正受給をしている人間がいる」
2012年12月に誕生した安倍政権は、こうした生活保護受給者叩きの「世論」を作って、3年連続で生活保護費を削減し続けています。
生活保護世帯は、高齢、病気、母子家庭などやむにやまれぬ事情がある。
生活保護は権利であるのに、恥ずかしいこととされ、本当はもらうべき世帯の2割程度しか受給していない。
そして、不正受給はコンマ以下でしかないのだ。
「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」
日本国憲法第25条の生存権規定を根拠に持つ生活保護は、逆に、「最低限」の生活でいいのだろうという言質を政府に与え、最低限ギリギリの生活しかできないような給付でした(それだと健康で文化的な最低限度の生活も実はできなかった)。
その最低限の給付がさらに削減され続け、生活扶助費だけで今年まで3年間で平均6・5%の削減です(最高10%!)。
理由は物価の下落というのですが、政権奪取後、物価上昇をアベノミクスの目標にしておいて、それでは生活困窮者は死ねと言わんばかりです。
普通のご家庭で考えて見てください。それでなくてもギリギリの生活が、毎年2%ずつ生活費を削られたらどうなりますか?
生活保護法「改正」案をわかりやすく解説する 生活保護は事実上利用できず、餓死者・自殺者が続出する!
http://blog.goo.ne.jp/raymiyatake/e/d88438bbf5885b57a95a752626a3161b
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を3年間で約670億円カットする過去最大の削減を強行しました。
2013年末には出費の多い年末年始のために支給される「期末一時扶助」も約70億円削り込みました。
2015年7月からアパートの家賃として支給される住宅扶助費を3年かけて約190億円削減する計画も始まりました。
さらに、寒冷地の命綱、暖房費に当たる東北・北海道などの冬季加算費まで削られました。
生活保護費の冬季加算は、暖房のため需要増が避けられない灯油代や電気代をまかなうため、11月から3月まで生活扶助費に上乗せして支給されます(北海道などは10月〜4月)。
これは、豪雪・山間地域など、寒さがきびしいところで暮らす人たちにとっては、必要不可欠な加算です。
ところが、安倍政権は、冬場の「命綱」ともいえる加算を今年秋から総額30億円もカットし始めました。月8000円以上減らされる世帯も出ています。月4000円も削られる単身世帯もあります。
生活保護申請者に「体売れ」 窓口で断られ凍死、餓死、自殺 不正受給は0・4% これが生活保護の実態だ
http://blog.goo.ne.jp/raymiyatake/e/f16cf8d62a2995d9a6f2606a2651f449
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水道代やガス代がもったいないということで、真冬でもシャワーしか浴びない、それも母子二人で一緒に浴びるという話があります。
うちの父は、数年前にヒートショックで亡くなったのですが、寒い脱衣場を温めていなくて、そこからお風呂に入ったから心臓麻痺を起こしたのだそうです(うちの家は生活困窮ではなかっただけに激しく後悔)。
そんな危険な状態が、生活保護を受給する高齢者世帯では日常的に起きているのではないでしょうか。
さらにいえば、私も知らなかったのですが、公営団地の集中暖房費は熱供給会社が部屋の面積に応じて料金を設定していますから、冬季加算を減らされても、節約さえできません。生活が苦しくなるだけです。
もう一度言います。暖房費の節約さえできない場合があるのです。
札幌に住む友人は、水道管が凍結して破裂しないように一晩中細く水を流しっぱなしにしていると言っていましたが、生活保護世帯ではどうしているのでしょうか。
桁外れに寒い。想像を絶するほど寒いのだ。
生活保護費の削減は、実は生活保護受給世帯だけの問題ではありません。
生活保護の基準額は、基準に満たない人を「貧困」と認定する国の「ものさし」ですから、生活保護以外でも多くの制度が、この基準額を標準にしています。
たとえば、 経済的に苦しい家庭の小中学生に給食費や学用品費を補助する「就学援助」には、すでに影響も出ています。援助される所得の基準が下がったので、文部科学省によれば、今年度になって大阪市、川崎市、相模原市、福岡市など全国27市町村が支給対象を縮小しました。
また、個人住民税の非課税限度額に波及する可能性があります。
生活保護基準の減額に合わせて非課税限度額も引き下げられれば、今まで住民税を払う必要がなかった人が課税対象となり、軽減されていたほかの制度の負担も増えます。
ほかにも、非課税世帯の負担が軽減されている例では、介護保険の保険料や利用者負担、保育料、精神疾患や身体障害のある人を対象とした自立支援医療の利用者負担などがあり、これらが一斉に負担が増える可能性があります。
そうすると、各世帯の可処分所得は減って、また購買力が低下し、日本の消費が落ちて景気が悪くなるという悪循環になるのです。
福祉に使うはずだった消費税を増税しておいて、どんだけ切り捨てる?!
これだけ低所得層が打撃を受けていて、内需が拡大するわけがない。
そもそも、生存権は基本的人権なんです。
それを侵害したら憲法違反ですよ!財政赤字だから仕方ないという言い訳は通用しないんです。是が非でも、財源をどっかから持ってくる義務が政府にはあるのです。
だから、全国で一斉に大規模な訴訟が現に起きています。
だいたい、寒い地方で、冬に暖房も満足に使えないで、健康的で文化的な最低限度の生活と言えるか!
安い部屋ほど、建てつけが悪くて、暖房の効率が悪いの!
海外に援助をばらまいたり、大儲けしてる大企業の法人税をどんどん減らしたり、高っかい戦闘機やオズプレイばっかり買ってんじゃねえよ!
人を人らしく生きさせろ!
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河本準一さん親子問題から考えると間違える。生活保護の本質は憲法上の基本的人権である生存権の保障だ!
http://blog.goo.ne.jp/raymiyatake/e/5847acc06c6dddc47cd8a23318dcb6f3
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参考HP
生活保護問題全国対策会議
http://seikatuhogotaisaku.blog.fc2.com/blog-category-18.html
・
パンフレット完成!「Q&A住宅扶助・冬季加算引き下げにどう対抗する?”あきらめないで!闘うすべはある!”」
http://seikatuhogotaisaku.blog.fc2.com/blog-entry-246.html
・
生存権問う新たな闘い 弁護士、 新・生存権裁判弁護団団長 尾藤廣喜
http://www.kyoto-minpo.net/archives/2015/02/06/post_10120.php
・
生活保護「改革」ここが焦点だ!
尾藤 廣喜 (著), 吉永 純 (著), 小久保 哲郎 (著), 生活保護問題対策全国会議 (監修)
あけび書房
不況を口実にした非正規労働者の増大、そして大震災…生活保護制度が、今、根本的に変質されようとしている。その問題点を整理し、制度のあり方を提言。そして豊富な資料編。
雨宮処凛さんの名著「生きさせろ!難民化する若者たち (ちくま文庫)」
から、表題は頂きました。
暖房をガンガンかけながら書きました。ごめんなさい
でも、久々に頭に来た。
老人も若者も、大人も子どもも男も女も生きさせろ!
「暖房費足りない」 生活保護世帯、凍える冬
http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/society/society/1-0203311.html
11/18 07:00、11/18 19:14 更新 北海道新聞
苫小牧市内の市営住宅の自室で集中暖房のヒーターを見つめる女性。「これでは冬を越せない」と不安そうに話す
生活保護世帯に冬の光熱費として支給される冬季加算が今冬から減額され、受給者の暮らしを直撃している。集中暖房を備える札幌や苫小牧の公営住宅では、暖房費が定額制のため冬季加算だけで賄いきれなくなる世帯が続出。17日には受給者436人が減額の取り消しを求める審査請求を道に行った。専門家は「このままでは最低限の生活を保障するという制度の趣旨に反する」と指摘している。
「今も生活はぎりぎり。これ以上切り詰められない」。苫小牧の市営住宅に1人で暮らし、生活保護を受給する女性(68)は嘆く。
3DKの自室の集中暖房費は、10月中旬から5月末までの7カ月半で約11万8千円。昨年度は冬季加算の総額が11万400円だったため不足はわずかだったが、本年度は冬季加算が8万7780円に減らされたため、暖房費を払うのに約3万円足りなくなる。
月の生活費は冬季加算を除く生活保護費と年金の計約7万円。足が不自由なため、冬は病院通いにタクシーを使わなければならず、暖房費の穴埋めに回せるお金は少ない。女性は「暖房を節約しようにもできない状況で冬季加算が減らされるのは理不尽」と訴える。
道などによると、定額制の集中暖房がある道営、市営の団地は、札幌市内の3団地と苫小牧市内の10団地の計13団地。これらの団地の入居者で本年度に冬季加算だけで暖房費を賄えない生活保護世帯は札幌で297世帯、苫小牧で573世帯の計870世帯に上る。
中には4万円以上不足する世帯もあり、両市には受給者から「暖房費が足りない」という相談が相次いでいる。公営団地の集中暖房費は熱供給会社が部屋の面積に応じて料金を設定し、3DKの多くが10万円を超える。団地では子供の自立や配偶者の死後、広い間取りに住み続ける高齢者が多く、「独居高齢者ほど減額の影響を大きく受けている」(札幌市)という。
「北国の命綱」 生活保護 冬季加算の大幅削減
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2015-12-01/2015120101_01_1.html
2015年12月1日(火) しんぶん赤旗
撤回求め715人審査請求 母子家庭“節約もう限界”
自民・公明政権による生活保護費の3年連続引き下げに加え、この冬は暖房費にあたる冬季加算が大幅に削減されました。「北国の命綱」といわれる冬季加算。11月としては62年ぶりの大雪に見舞われた札幌はじめ北海道では、命を脅かされる事態に「引き下げ撤回を」と、715人(11月30日現在)が、行政不服審査法にもとづき減額の取り消しを求める審査請求に立ち上がっています。(西口友紀恵)
その一人、札幌市厚別区の女性(50)は、昨年度月3万円だった冬季加算が今年度は同1万7800円に。減額通知に、わが目を疑いました。支給期間は従来の5カ月から7カ月に延びましたが、総額で2万5400円もの減額です。
一年中シャワー
パート勤めで、娘(10)とアパートに2人暮らし。暖房器具は6畳2間とキッチンに石油ストーブが一つだけです。温度を最低設定にして節約していますが、ストーブを動かすのにも電気代がかかります。「プロパンガスも高いので夏冬とも娘と一緒にシャワーです。寒くても我慢するしかなく、早く布団に入るようにしている」と話します。
冬季加算削減前も暖房を限界まで節約。この間、生活費に当たる生活扶助が年約6万2000円も削減されたため、節約分をあててきました。この女性は「娘は育ちざかり。人間らしく暮らせるよう、せめて冬季加算の引き下げを撤回してほしい」といいます。
同区の女性(72)は、市営住宅に1人暮らし。冬季加算は月2万3160円から半分近い1万2540円に、年2万8020円減額されました。
市営住宅は、ごみ処理場の熱を利用する地域集中暖房で、費用は定額制のため節約もできません。部屋の広さに応じた徴収で、昨年度は約7万4000円。ほかに給湯費7000円や町内会除雪費などがかかり、今年度の冬季加算の支給額8万7000円余では賄いきれません。
食事を減らして
70歳を超えたからと保護費を月4530円も下げられました。「高齢になると支出が減る」との国の考えによるものです。減額は食費1週間分にあたるため1日2食にしたところ、体調を崩してしまいました。「交通費が出せず親の一周忌にもいけない。これ以上何を節約したらいいのか、途方にくれている」と話します。
道などによると、定額制の集中暖房がある道営、市営の団地は札幌市内と苫小牧市内に計9団地、8243戸あります。
「命守れ」と生健会動く
不服審査請求よびかけ
加算拡大の特別基準活用も
(写真)2013年以降の生活保護費引き下げにたいする不服審査請求書などの資料を前に話す細川さん(道生連の事務所で)
安倍自公政権による生活保護の冬季加算引き下げに「黙っていられない」と多くの人たちが声を上げています。
札幌市の厚別区生活と健康を守る会は、区内にある集中暖房の3市営団地(8800戸)にお知らせを全戸配布し、11月23日、暖房料の相談会を開催。苦しい生活実態を訴える相談が十数件寄せられ、3人が生活保護を申請しました。
吉村理智子事務局長は、暖房費を支払えず延滞した場合、暖房だけでなく給湯まで止められるシステムで生活そのものが成り立たなくなると指摘します。
「冬季加算削減で生活保護を受けられる基準が下がったため、去年だったら保護を受けられた人が今年は受けられない実態も、相談を通じて分かった」と、国のやり方に憤ります。
北海道生活と健康を守る会連合会(道生連)を通じて冬季加算減額の取り消しを求める審査請求を行ったのは30日までに696人。細川久美子道生連副会長は、「多くの人の命にかかわる非常に切実な問題です。黙っていられないと新たな人が立ち上がり、運動を励ましている」と話します。
道生連は、冬季加算額を1・3倍に増やす「特別基準」の制度を知らせ、積極的な申請を呼びかけています。
条件は、▽病気・障害などによる療養のために常時在宅の世帯(重度障害者加算が支給されている人、要介護度3以上の人、医師の診断書などにより福祉事務所が認めた人)▽乳児のいる世帯―です。
血液がんで療養中の札幌市の男性は要介護3。「体温調節がうまくいかず暖房費がかさんでしまう」と不安でしたが、特別基準を申請し認められました。
道生連によると、これまで82人が特別基準を申請し、18件が承認されました。その中には重度障害ではない精神障害2級の40代男性、妻が要介護1の80代夫婦の例もあります。
厚別区では39世帯が、「このままでは憲法で保障された最低生活が脅かされる」と、特別基準の集団申請を行いました。
冬季加算 冬季の暖房費などを賄うため保護費に上乗せされるもので地域や世帯人数によって支給額が異なります。厚生労働省は低所得世帯の光熱費の支出と比べて冬季加算が多いとして削減を強行。比較する低所得世帯には生活保護の対象となる困窮世帯も含まれており、その手法に厳しい批判があります。日本弁護士連合会などは、冬季加算で必要な暖房費が賄えるかどうかを検証すべきだと指摘しています。
灯油代も削られ厳しい冬に!過酷化する北海道の生活保護の現実
http://diamond.jp/articles/-/80046
みわよしこ [フリーランス・ライター]
【第26回】 2015年10月16日
2015年10月より、生活保護の冬季加算(暖房費分)が削減された。約15〜25%に及ぶ大幅な引き下げで、北海道の生活保護利用者の冬の暮らしは、どのように変わるのだろうか?
冬季加算の大幅減額
北海道の冬の暮らしは、どうなる?
北海道の冬は、道外の人には想像もつかないほど過酷だ
生活保護費の生活費分(生活扶助)には、冬の暖房などによる支出増大を補う目的で、「冬季加算」が設けられている。冬の寒冷・積雪などの厳しさによって全国をI区(北海道・青森県・秋田県)〜VI区(本州の概ね南関東以南の太平洋・瀬戸内海沿い、四国と九州の全域)に区分、この区分に加え、級地(生活コストによる自治体ごとの区分)・世帯人数ごとに加算金額が決定されている。
冬季加算の対象となる期間は、今年度より10月〜翌年4月の7ヵ月間になる。1951年に創設されて以後、2014年度までは11月〜翌年3月の5ヵ月であったが、今年度より寒冷地の早い冬と遅い春が考慮されることになった。
しかし今年度より、冬季加算の月額が減額される。対象期間が5ヵ月から7ヵ月へと延長されたにもかかわらず、一冬の総額では大幅な減額となる。下の表は、札幌市での一冬の冬季加算の総額を昨シーズンと今シーズンで比較したものだ。
「寒冷地とはいえ、こんなに暖房費がもらえるとは!」という印象を持たれる方もいるかもしれない。正規雇用・非正規雇用を問わず、民間企業で「給料に冬季の暖房費や夏季の冷房費を加算しなくてはならない」というルールはない。雇用する側の裁量で加算することは可能であるし、北海道には寒冷地手当・暖房手当を支給する企業も実際に存在する。しかし、支給しないからといって、あるいは充分な金額でないからといって、ペナルティがあるわけではない。
ただし、各都道府県の最低賃金は、冬季加算を含めて、生活保護基準を下回らないように定められる。「生活保護以下ではなくなった」とされる最低賃金が、実際に「働いたら生活保護以上の生活になる」を実現できているかどうかは別として、冬季加算の引き下げは、すべての人々の給料に関係する。
とはいえ、最初に影響を受けるのは、ほかならぬ生活保護利用者たち本人だ。今月から始まる冬季加算引き下げで、どのような影響を受けるのだろうか?
どう工夫しても一冬10万円以下にはならない
冬の北海道の暖房事情
そもそも全く想像できないのは、「冬の北海道で暮らす」ということだ。九州育ち・東京在住の私は、自分の生活環境としては、重ね着・電気コタツ・電気毛布に加え、ときどき灯油ファンヒーターやエアコンも使用すれば凌げる程度の冬しか経験したことがない。冬季加算の地域区分でいえば、最も温暖なVI区で暮らし続けている。最も冬の厳しいI区にあたる北海道の冬は、最低気温や降雪・吹雪に関するニュースで一応の理解はできるけれども、「そこに暮らす」ということが全く想像できない。
佐藤宏和(さとう・ひろかず)
北海道健康と生活を守る会連合会(道生連)副会長。札幌市白石区で支援活動をしていた時期の1987年、母親餓死事件が発生し、「住民の生活と権利を守る福祉行政が必要」と痛感した。現在は、生活保護基準切り下げ中止を求める審査請求と行政訴訟(新・人間裁判)に全力投球中。
Photo by Yoshiko Miwa
まず、暖房には何を利用するのだろうか? 北海道の暮らしの「基本のキ」を尋ねる私に、数多くの生活困窮者たちを支援してきた北海道生活と健康を守る会連合会(道生連)の副会長・佐藤宏和さんは、苦笑しながら、
「主に灯油です。どこの家にもだいたい、外に400リットルまたは200リットルの灯油タンクがあります。最近のアパートでは、外気に直接排気するFF式石油ファンヒーターが作り付けられていることが多いです。アパートでは、ベランダに90リットルタンクが最初から設備されている場合もあります。業者が来てホースで給油します。常に100リットルくらいは置いておかないと安心できない感じですね」
と教えてくれた。灯油は18リットル単位で購入し、残りが10リットルを切ると心もとなくなる東京の私の生活実感とは、まったく異なるようだ。
さらに、同じく道生連副会長の細川久美子さんが、
細川久美子(ほそかわ・くみこ)
北海道健康と生活を守る会連合会(道生連)副会長。長く生活相談活動に携わり、全道からの相談に対応している。雑誌誌「笑顔でくらしたい」(http://hokkaido-syahokyo.com/category/smile/)に「久美子の相談室」を好評連載中。NPO法人の役員も務め、精神障害者の支援に日夜奮闘中。
Photo by Y.M.
「よく『北海道の人は、あんなに室内を暖かくするから、暖房費がかさむんだ』と言われることがあります。摂氏26度とか、低くても24度とかに設定している人が多いんですよね。でも、外が寒いので、家の中に入っても、すぐに身体が温まらないんです。20度だと『いられない』なんです。外の冷気が肌に染み付いたままの感じで」
と補足する。私が東京の住まい兼仕事場の室温を16度以下にしておくことができるのは、外の環境がそれほど苛酷ではないからなのだろう。
それしても、劣悪な住環境の中で個別に暖房を行うから、かえって割高になるということはないだろうか?
「確かに、生活保護の方のお住まいは、古いところが多いです。築20年とか30年とか、一般の人が借りないような物件を、お願いして生活保護の家賃基準内で貸していただく感じです。そういうところだと、暖房がないと室温がマイナスになります。でも、集合住宅の集中暖房でも、安くはないです。公営住宅で地域集中暖房のところでも、一冬の暖房費は1戸あたりで10万円を超えます」(細川さん)
ストーブを買ったら灯油は買えない
生活保護での必死のやりくり
生活困窮者たちを数多く支援してきた北海道生活と健康を守る会連合会(道生連)
Photo by Y.M.
寒冷地で毎日毎冬酷使される暖房機器は、いつかは寿命を迎える。
「FF式ファンヒーターで、だいたい7年か8年でダメになります」(佐藤さん)
買い替えには7〜8万円が必要だ。また、3年に1回はストーブのオーバーホール作業を依頼しないと、不完全燃焼などのトラブルや事故の原因になる。オーバーホールには2万円前後が必要だ。素人が「DIY」するわけにはいかない。
暖房機器を新規購入するための費用については、今年から生活保護の「家具什器費」の中にメニューが用意された。しかし利用できる場面は、生活保護開始時・退院時など、極めて限定されている。同じ住居に住み続けている場合には、買い替え費用は支給されない。もちろん、オーバーホールの費用も考慮されていない。
札幌市内、昭和50年前後築と思われる民家の玄関先に設置されていた灯油用ドラム。暖房なしには生存が成り立たない
Photo by Y.M.
「それも最初、ストーブ代は2万円までだったんです。『それでは買えない』と交渉して5万円になりました。それでも買えませんが」(佐藤さん)
では、ストーブが壊れたらどうするのだろうか?
「社協で生活福祉基金の『福祉費』の貸付を受けるか、冬季加算の給付を3ヵ月分前倒しで受けるか、ですね。預貯金があれば、そこから買うこともできますが、単身だと預貯金を作るところまではいけない人が多いです。預貯金があっても、中古品店で買うとか」(佐藤さん)
中古を購入すれば、購入時のコストは抑えられるが、次の買い替えまでの期間が短くなる。ちなみに、冬季加算の「前倒し」は、一冬分の暖房に使用する石炭をまとめて買っていた時代の名残で認められているそうだ。一冬分を一括で受け取ることもできる。
さらに、水道管の凍結に備えて「水を落とす(水道管の中に水がない状態にする)」作業が必要だ。すべての蛇口、浴室の風呂釜・台所の湯沸し器など、水道水が供給されているすべての場所の「水を落とす」必要がある。失敗した場合には、復旧に費用が必要だ(凍結した水道管の中の氷を融かす作業で1ヵ所あたり1万5000円程度)。
水道の凍結を予防するためには「水を出しっぱなしにする」という方法もある。しかし、そうすると水道料金がかさむ。屋外の水道管にヒーターを巻いて温めれば、電気代がかかる。ボタン一つで「水を落とす」ことの可能な住居もあるが、そのような住居に生活保護利用者たちが住んでいることは、ほとんどない。蛇口を回す力を必要とする「水を落とす」作業は、高齢者や障害者にとっては困難な仕事でもある。
10月半ば、取材の訪れた日、道生連では既に除雪スコップが用意されていた。この日夜、旭川市で初雪が見られた
Photo by Y.M.
この他、冬物衣料、雪に対応できる靴(安くても4000円台、一冬で履きつぶすため毎年)、雪かき用スコップ(1本1500円前後)など、冬を越すために必要な費用は数多い。たとえば、雪かき用スコップが折れたときに買い替えられる余裕がないと、その日から雪かきができず、外出もできないことになる。生活保護利用者、特に生活費分が激減する70歳以上の人々が臨時に強いられる「1500円」の出費の重みは、生活保護以上の生活をしている人間からは、想像を絶するものである。
さらに、自分で雪かきが出来ない人・冬に備えて建物を守るための作業が出来ない人は、何らかの形で他人に依頼するしかない。その費用が生活保護のメニューに存在したり、ましてやボランティアに頼れたりするとは限らない。
「冬だけ生活保護」という選択も
北海道の苛酷な冬に対応するため、「冬だけ生活保護」という選択をする人々もいる。
「冬の間だけ生活保護を利用している年金生活者が、札幌市だけでも約500人います。夏には廃止(生活保護打ち切り)して、冬になったらまた生活保護、というパターンです」(佐藤さん)
「遺族年金の月額が10万円前後、公営住宅住まいという高齢者の方、たくさんいます。生活保護基準ギリギリ、医療扶助を考えたら生活保護基準以下の生活なんです。夏はなんとかなっても、冬はとても暮らせないので、生活保護、ということです。でも生活扶助、住宅扶助、冬季加算と減らされましたから、食費をさらに削らないといけない人、これから増えるでしょうね」(細川さん)
道生連の駐車場に用意されている融雪機。設置に100万円ほどかかったという。冬季は朝6時から除雪し、雪をこの融雪機に投入して水にする。雪が多いと、この融雪機でも融かしきれず、しかたなく駐車場の隅に雪を積んでおくことになるそうだ
Photo by Y.M.
北海道には、生活保護の全国一律のメニューに加えて「薪炭費(しんたんぴ)特別基準」がある。薪炭費は、生活保護制度が現在の形になった1950年に用意されたメニューで、北海道の制度として現在も残されている。金額の例を挙げると、寒冷の特に厳しい稚内などの4人以上世帯で、月額1690円。北海道の中では比較的温暖な函館などの単身世帯で、月額180円。札幌市は0円だ。
「30年前は、札幌市では一冬7万円くらいで、薪炭費だけの単給もありました。それを利用して、冬の間は生活保護を受けずとも過ごせた方もいました。今は、とにかく、どんどん削っていって、これでもか、これでもかと攻め立てて来る……という感じですが」(佐藤さん)
今ある枠組みの中で、少しでも希望につながる方向性はないだろうか?
「まず、厚労省の局長通知で、冬季加算に1.3倍の特別基準を適用できる例が認められています。重度障害者加算の対象になっている方・介護度3以上の方・病気や障害のため常時在宅している方・赤ちゃんがいるご家庭が対象です。そういうご家庭では、まず特別基準を適用してもらえるように申請することです」(佐藤さん)
さらに細川さんは、現在行われている「医療費だけの生活保護(医療扶助単給)」と同様に、メニューごとに用意された生活保護費の「単給」を拡大することの可能性も考えている。
「冬季加算の単給、始めたらよいのではないかと思います。今でも、冬だけ生活保護という方がたくさんおられるのですから。また、特別基準や加算をプラスαで出していくことも検討されてよいのではないかと思います。今年、冬季加算は北海道全体で一律ですが、函館と稚内では寒さが全然違います。地域の状況に応じた特別基準を作って加算するようにしないと……これから、大変なことになるのではないかと怖れています」(細川さん)
帰途、私は道路の整備状況などのチェックと頭のクールダウンを兼ね、札幌駅までの約3kmを、電動車椅子でたどった。小雨が降ったり止んだりの夕方、傘をさしていても冷たい小雨に体温を奪われ、雨が止んでいるときには湿った冷たい風に体温を奪われ、札幌駅に到着したときには「凍える」という感じになってしまっていた。しかし、アメダスによれば気温は摂氏5〜6度。私にとっては決して「寒い」という気温ではない。おそらく、数値や言葉や写真で捉えられない「その地の特徴」「その地の生活」が数多くあるのだろう。これからも、限界はあっても、できるだけ捉える努力をしようと思う。地域の特性に経済的困窮が重なった場合に暮らしがどうなるかを捉えるには、まずは、捉える努力を積み重ねるしかないだろう。
次回は、生活保護世帯で子ども時代を過ごした人が、どのように経済的自立へと苦闘したかに関するレポートを予定している。教育だけ・家庭環境だけ・本人の努力だけでは補えない問題は、どのように現れ、どのように克服され、限界はどこにあるのだろうか?
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