http://www.asyura2.com/15/senkyo197/msg/444.html
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日経で読むアベノミクスの失敗。法人税減税と消費税増税・輸出戻し税の拡大で日本は三重に貧しくなる。
http://blog.goo.ne.jp/raymiyatake/e/b1f9e6fae2c58f61ec21ad8c2a12e4fd
2015年12月02日 Everyone says I love you !
2015年12月1日の東京株式市場で日経平均株価は約3カ月ぶりに2万円を回復しました。これは、2015年7〜9月期の法人企業統計で企業の設備投資の増加が確認されたことを好感したものだとされています。
というわけで、大企業の利益は上がり、株価だけは好調なままのアベノミクスですが、あとはうまく行っていないことが多すぎます。
冒頭の図のように企業利益は上がっていますが、それは賃金を抑えているから。人件費の総額はもう30年間も横ばいか下がり気味です。
こんなことでは、日本のGDP(国内総生産)の約6割を占める個人消費が増えるわけがありません。
雇用は改善していると言いますが、それは比較的低賃金の非正規雇用が伸びているだけです。
人件費など経費を払った後の企業利益は、内部留保と株主への配当に向けられています。
内部留保を増やすと株価が上がる。株価の配当も増え、経営者への株主からの信任は厚くなり、経営者の地位が安泰となるからです。
そもそも、株式会社の実質的所有者は株主。株主優遇は株式会社の本質に沿っており、内部留保を利用するなどの是正は株式会社自身には不可能です。
ここまでは日本経済新聞の図表でした。
ここからは日経が決して書かない話。
トヨタなど、日本の政治に影響力を持つ大企業はそのほとんどが輸出大企業。
内需=日本に暮らす人の購買力=所得なんて知ったこっちゃないんですね。
しかも、売り上げも海外で大半をあげているだけでなく、生産拠点もどんどん海外に移しており、もう日本の企業というより多国籍企業、外国企業です。
円安誘導でも日本の輸出高が思ったほど伸びなかったのは、製品をすでに海外の生産拠点で作っている企業が多かったから。
こんな状態で、法人税を下げても、彼らの内部留保などが増えるだけで、日本に暮らす人には税収減ばかりで何もいいことがありません。
安倍首相と財界が「官民対話」。すべては法人税減税のために。自民税調でさえ慎重意見相次ぐ。
http://blog.goo.ne.jp/raymiyatake/e/dbe646fe3bb24b78ed87827f6d31503a
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菅官房長官の「消費税再増税は予定通りやる。法人税再減税は当然のこと」って正気なの?
http://blog.goo.ne.jp/raymiyatake/e/f6b4155fc64e06e7d2c821c2af66f14b
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しかも、消費税を上げると、輸出大企業は輸出戻し税でかえって儲かる=日本の税収が減る=日本に暮らす人は貧しくなるんです。
輸出戻し税とは、輸出企業は下請け企業から購入する際には消費税分を支払うのに、製品を輸出する際には外国企業に消費税を支払わせることができないので、損するはずだということで国から税金分を戻してもらう制度です。
ところが、ほとんどの輸出大企業は下請けを泣かして、消費税分を支払っていないことが多いので、この戻し税分を得をしてしまう。
巨大企業の闇 トヨタ自動車(2) 法人税を払わず消費税の輸出戻し税で大儲けする寄生虫企業
http://blog.goo.ne.jp/raymiyatake/e/c3beb0dc2e3bc64d641352b60ca4a8c6
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財界が野ダメ内閣の消費税増税を歓迎する理由 輸出戻し税のおかげで消費税を増税するほど大企業は儲かる
http://blog.goo.ne.jp/raymiyatake/e/7155e517765a3dd0e2767cafb10de3e1
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この輸出戻し税は、もちろん消費税が高ければ高いほど多くなります。
これが、税金が上がることを本来嫌がるはずの「財界」が、消費税増税を歓迎する一つの理由です。
実際に、上位10社だけでも8千憶円近い戻し税の還付を受けているはず。
この結果、なんと税務署が赤字になるところも!
つまり、他の国民や企業が納めてくれる税金より戻し税で返す税金の方が多くなっているのです。
この数字は、消費税が5%のときのもの。8%、さらに10%と増税されると、とんでもない赤字になるはず。
日本の人たちは、トヨタなどなじみが深い企業が儲かると自分たちにも恩恵があるように勘違いしていますが、もうこれらの企業は日本の会社だと思わない方がいいんです。
アベノミクスがうまく行かないのは当たり前です。日本に暮らす個人や日本の企業の大半を占める中小企業のことを考えていないのですから。
こんな輸出大企業ばかり優遇する安倍首相は、日本の人たちのことを本当に考えているとは言えません。
アベノミクスが失敗し、日本は景気後退局面=実質GDP2期連続マイナス。消費税増税は自殺行為。
http://blog.goo.ne.jp/raymiyatake/e/d918f7238e314344ae74a5dd270abb20
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消費税増税の大ウソ―「財政破綻」論の真実
山家 悠紀夫 (著), 井上 伸 (著)
大月書店
消費税、上げなくていいんです!経済オンチも納得の、目からウロコの経済学。
消費税のカラクリ (講談社現代新書)
斉藤貴男 著
講談社
消費税とは弱者のわずかな富をまとめて強者に移転する税制である。…大口の雇用主に非正規雇用を拡大するモチベーションを与えて、ワーキング・プアを積極的かつ確信犯的に増加させた。…これ以上の税率引き上げは自営業者の廃業や自殺を加速させ、失業率の倍増を招くことが必定だ。
消費税増税 「乱」は終わらない
植草一秀 斉藤貴男 著
同時代社
消費税増税法をめぐる政治の混乱、原発再稼働、オスプレイ配備―。官僚・米国・資本に隷従する政治を許さず。悪魔の税制=消費税増税を許さず。今度は、生きるか死ぬかの選択だ!気鋭の論客による増税法廃止への道筋。
なんでこんな不合理な経済政策ばかりするのだろうと、アベノミクスを見ていたんですが。
安保法制だって、日本に暮らす人には不合理でも、日米の軍需産業とか、多国籍企業には好都合。
法人税減税や消費税増税も、輸出大企業=多国籍企業には好都合。
法人税減税はともかく、普通、増税って企業だって嫌がりそうなもんじゃないですか。
でも、得するんだよな。
そう気づいてから、ああ、安倍政権はちゃんと理屈に合ったことをしているんだと合点がいったんです。
利益と賃金の好循環、知恵比べ促す市場
http://www.nikkei.com/markets/column/globaloutlook.aspx?g=DGXMZO9448489027112015000000
編集委員 滝田洋一 2015/11/29 3:30 日本経済新聞
もたつく経済を好循環に乗せよう。そんな思いから、安倍晋三政権が本腰を入れ始めた。法人税減税と合わせて、賃上げと設備投資の増加を促そうとしている。民間の側からも知恵を出せるか。この点が市場によって試されている。
企業業績が最高益な割に、賃金や投資はあまり伸びていない。2四半期連続のマイナス成長をみても、日本経済の直面する課題はここにある。壁を破ろうと、安倍政権は北風と太陽政策を打ち出した。
法人税の実効税率を1年前倒しして、2016年度から20%台に引き下げる。その代わり、16年も15年の実績を上回る賃上げを企業に求める。設備投資については、企業側に18年度までに10兆円の上積みを誓わせる、というものだ。
確かに日本企業の利益は、13年度と14年度に急増し、税引き前で年60兆円を越えた。リーマン・ショック前をはるかに上回り、15年度も増益が見込まれる。その利益の使い道が、目下の焦点である。
企業は利益から法人税など税金を納める。税引き後の利益は、配当や役員賞与に回るが、それでも残った利益は内部留保(利益剰余金)となる。
日本企業全体としてみると、13年度、14年度と配当や役員報酬は増えている。しかしながら、それ以上に拡大しているのは内部留保である。
今後、法人税を減税すれば、減税分だけ税引き後利益は増える。配当に回る元手が増えるとして、株式市場は減税を歓迎しよう。でも配当に回るより、内部留保に積み上がる方が大きいことは、想像に難くない。
政権が重視する賃金(人件費)は、利益を計上する前の段階の話である。「売上高−コスト=利益」。そのコストの太宗を占めているのが人件費である。
コストである賃金は、売上高との見合いで決まるもの。企業経営者が、そう考えるのは自然だろう。言い換えれば、円安のおかげで利益は伸びても、売上高が伸び悩んでいる現状では、どうしても賃金を増やすことに慎重になりやすい。
その一方で、内部留保をそのまま積み上げるだけでは、家計にお金が行き渡らないのは確かである。業を煮やして、内部留保への課税というムチを振るってはどうか、との意見も出始めている。
もちろん、それは麻生太郎財務相も認める通り、法人税支払い後の課税という意味で、「二重課税」である。最終的には「政労使による賃上げ促進」という形に落ち着きそうだが、内部留保との関連で一工夫はないか。
市場では時に面白いアイデアが出て来る。この問題もしかり。利益を元手とする役員賞与のように、「事実上の利益処分としての従業員賞与」という概念を持ち込んではどうか。
T&Dアセットマネジメントの神谷尚志チーフエコノミストは、そんな提案をする。つまり、「従業員給料手当て(基本給・賞与・手当て)」とは別に、「利益処分としての従業員賞与」という仕組みを導入してはどうか、というのだ。
何よりも、法人税が引き下げられ税引き後利益が増えたら、その分「利益処分としての従業員賞与」を増やしやすくなる。利益に応じた従業員への配分拡大は、株主の支持も受けやすいだろう。
(1)この賞与は役員賞与と違って、企業にとって損金扱いされる(2)損益計算書上では労務費や給与手当てに含まれる、など位置づけをハッキリさせておく必要はある。
大切なのは、経済好循環の実現を政府に任せ切りにせず、みんなで知恵を競い合うことだ。市場もそんな競争を、催促しているようにみえるのだが、どんなものだろう。
雇用増、消費に直結せず 「非正規」多く賃金上昇限定的
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDC27H08_X21C15A1EA2000/
2015/11/28 1:30 日本経済新聞 電子版
雇用指標は改善しているのに個人消費の足踏みが続いている。10月の完全失業率は3.1%と20年3カ月ぶりの低水準となったが、消費支出は2カ月連続で減少した。雇用が増えても非正規労働者が多く、賃金水準の底上げは限定的。そうした中で食料品や日用品が値上がりし、家計に節約志向が広がってきたことが背景にありそうだ。
政府は月末に前月の統計を集中して発表している。この1年ほど失業率や有効求人倍率といった雇用指標は強いが、消費支出は弱い状況が続いている。10月は物価変動の影響を除いた実質で前年同月比2.4%減と2カ月連続で減少した。雇用が改善すれば消費に回せるお金が増えるはずだが、実際の動きがちぐはぐなのはなぜなのか。
まず、数字ほど雇用の実態が良くなっていない点がある。有効求人倍率は10月に1.24倍と高水準。人手不足から企業が求人を出すと雇用されやすい状況にあるが、雇用増はパートなどの非正規労働者が中心だ。10月の非正規労働者は前年同月比17万人増の1997万人で8カ月連続で増えた。正社員も増えているものの、雇用者に占める非正規比率は37.5%と高止まりしたままだ。
厚生労働省によると正社員に限った10月の有効求人倍率は0.77倍で、1倍を大きく下回る。不本意ながら非正規を選んだ人の割合は7〜9月期で17%を占める。
物価の影響を除いた実質賃金は9月に1人あたり0.3%増だったが、かろうじてプラス圏に入ったばかり。これが消費につながらない要因の一つだが、家計に節約志向が出ていることを指摘する声も少なくない。
アパレル各社ではコートなど高単価な商品を中心に売れ行きが鈍い。三陽商会は10月の婦人服の既存店売上高が前年同月比3%減。高単価のコートの代わりに数万円程度単価が低い羽織物が伸びた。「単価は昨年に比べて3千円程度落ちている」(三陽商会)という。
背景にあるのは食料品や日用品の値上げだ。原油安の影響で10月の消費者物価指数(CPI)は、生鮮食品を除く総合指数が前年同月比0.1%下落し、3カ月連続で前年を下回った。だが日銀が27日に公表したCPIに関する3指標をみると、これとは異なる物価動向が見えてくる。
このうち生鮮食品とエネルギーを除いた「日銀版コア」と呼ぶ物価指数は9、10月とも1.2%上昇した。円安による食料品や外食、サービスの価格上昇で2008年9月以来の高い伸びだ。
CPIを構成する品目(生鮮食品を除く)のうち、上昇・下落品目の比率をみると、上昇品目の割合は約65%に上った。比較可能な01年以降で最高だった9月の67%からわずかに低下したが、なお高水準だった。
家計調査の内容を品目別にみると、衣料品や靴、菓子類などの支出減が目立った。世帯支出に占める食料品の割合であるエンゲル係数は上昇傾向だ。家計は食品や日用品の値上げのほうに敏感に反応し、お金の使い道を厳選している構図が透けて見える。
カジュアル衣料大手のオンワードホールディングスは10月、婦人衣料の苦戦で営業増益を見込んでいた16年2月期の業績予想を一転、減益見通しに引き下げた。吉沢正明専務は「節約志向が強く国内の消費環境は依然として不透明」と話す。
ただ節約一辺倒でもない。冷蔵庫や洗濯機など家庭用耐久財の支出は32.8%増。冷蔵庫はシニアや働く主婦のまとめ買い需要に対応した大容量タイプが人気で、ビックカメラでは「30万円前後の高級商品もよく売れる」という。
エコノミストの中には統計の精度に理由を求める見方もある。消費支出の調査は対象が少ないので自動車や住居の購入があると数字が振れやすい。第一生命経済研究所の藤代宏一氏は「失業率が下がっているのに、消費支出が2カ月連続でマイナスになるのは違和感があり、統計のゆがみが出ている」と指摘する。
雇用改善も消費鈍く 家計支出10月2.4%減
失業率3.1%
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS27H14_X21C15A1MM0000/
2015/11/27 10:59 日本経済新聞 電子版
個人消費が足踏みしている。総務省が27日発表した10月の家計調査によると、物価変動の影響を除いた実質の消費支出は前年同月比2.4%減と2カ月連続で減少した。自動車やテレビ、パソコンの購入費が減った。一方、10月の失業率は人手不足などを背景に3.1%と20年3カ月ぶりの低い水準だった。雇用改善が消費に結びつかない状況が続いている。
実質消費支出は横ばいを見込んでいた市場の予想を下回った。2人以上の世帯の消費支出は1世帯当たり28万2401円。季節調整し前月と比べた値も0.7%減った。
品目別では、今年4月の軽自動車の増税が響く自動車購入費など交通・通信が7.5%減。テレビやパソコンなど教養娯楽が2.5%減、シャツなど被服及び履物が5.9%減だった。外食などの食料は0.8%増、家具・家事用品は7.9%増だった。
家計調査は政府内でも毎月の振れが大きい点が問題視されている。天候でも左右されやすい。ただSMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミストは「統計の特徴を踏まえても2カ月連続の減少は消費者心理が上向いていないことを示し、消費の基調は弱い」とみる。
景気の緩やかな回復基調を背景に雇用は改善が続く。総務省が27日発表した10月の完全失業率(季節調整値)は3.1%で前月から0.3ポイント下がった。高齢化に伴い医療・福祉で新たに仕事に就く人の増加が目立つ。
働ける人のうち、仕事を探しながら職に就けずにいる人の数を示す完全失業者数は206万人で前月より22万人減った。15〜64歳の就業率は74%で過去最高となった。
厚生労働省が同日発表した10月の有効求人倍率(季節調整値)は1.24倍。前月から横ばいで、23年9カ月ぶりの高水準を維持した。団塊世代の大量退職で人手が不足している事情もあり、企業が求人を出すと雇用に結びつきやすい状況だ。
ただ増えた雇用のうち賃金が低い非正規社員の割合は3割強と拡大傾向で、景気の先行き不安もあるなか消費増につながりにくい。「賃金の伸び悩みで家計は高額品への支出を抑えている」(明治安田生命保険の小玉祐一チーフエコノミスト)との指摘もある。
一方、総務省が27日発表した10月の全国消費者物価指数(CPI、2010年=100)は、値動きの激しい生鮮食品を除く総合指数が103.5と、前年同月から0.1%下落した。電気代やガソリン代の下落が響き、3カ月連続で前年同月を下回った。
生鮮食品を除く食料は2.2%上昇した。コメが高値で推移している。菓子類などは容量を抑えた商品が出て、実質値上がりとなった。購入頻度が高い食料の値上がりも消費が鈍い一因とみられる。
全国消費者物価、3カ月連続マイナス 10月0.1%下落
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFL27H60_X21C15A1000000/
2015/11/27 9:32 日本経済新聞
総務省が27日発表した10月の全国消費者物価指数(CPI、2010年=100)は、値動きの大きな生鮮食品を除く総合(コアCPI)が103.5と前年同月と比べ0.1%下落した。下げ幅は8、9月と同じで、3カ月連続のマイナスとなった。下落幅はQUICKがまとめた市場予想(0.1%下落)と一致した。原油安の影響で電気代やガス代、灯油やガソリンなどエネルギー品目の価格下落が引き続き全体の押し下げ要因になった。昨年に自動車保険が値上げされた反動も出たという。
半面、食料(生鮮食品除く)の上昇傾向が続いたほか、新製品の投入効果があったテレビなどの娯楽用耐久財や訪日客の増加の影響が続いた宿泊料も値上がりした。品目別では上昇が342、下落は135、横ばいは47。
食料・エネルギーを除いた「コアコアCPI」は101.7と、0.7%のプラスだった。耐久消費財に加え、家具や衣料品などの価格も上がった。ただ9月(0.9%)から勢いは鈍り、春先からの伸び率の拡大傾向は一巡した。QUICKの市場予想(0.8%上昇)も下回った。総務省は物価動向を巡り「エネルギー関連を除けば上昇基調にある」との見方を変えなかった。
先行指標となる11月の東京都区部のCPI(中旬速報値、10年=100)は、生鮮食品を除く総合が102.0で前年同月と同水準だった。6月(0.1%上昇)以来、5カ月ぶりにマイナス圏を脱した。コアコアCPIは0.6%上がり、10月(0.4%上昇)から伸び率が広がった。教養娯楽用耐久財や外国パック旅行などが押し上げ要因となった。〔日経QUICKニュース(NQN)〕
消費税7837億円 輸出大企業10社に「還付」
http://www.zenshoren.or.jp/zeikin/fukouhei/151012-01/151012.html
税率8%で1.8倍に 中小業者が納めた税金 大企業の懐へ
元静岡大学教授・税理士 湖東 京至さんが解説
税率8%で1.8倍に 中小業者が納めた税金 大企業の懐へ
元静岡大学教授・税理士 湖東 京至さんが解説
下請け業者の単価をたたく一方で、消費税を税務署から還付されている輸出大企業。その還付金が7837億円(輸出大企業10社)となり、税率が8%になって1・8倍に激増していることが湖東京至税理士(元静岡大学教授)の推算で明らかになりました。
突如、出された個人番号(マイナンバー)を使って増税分の一部である酒類を除く飲食料品のみを還付するという財務省案。
湖東税理士は「還付制度や軽減税率は悪税の延命措置にすぎない」と批判し、還付金の実態と軽減税率の本質を解説します。
※画像拡大http://www.zenshoren.or.jp/zeikin/fukouhei/151012-01/151012a-l.jpg
・
表1を見てください。
わが国を代表する製造業10社は税率が8%に上がったため、還付金(頂く税金)が大幅に増えています。還付金が一番多いのはトヨタ自動車で、前年の年間還付金額は1402億円に対し、今年は2594億円、1192億円も増えています。
2位は日産自動車で前年の年間還付金757億円に対し、今年は1212億円へと、455億円も増えています。3位のホンダ以下各社も軒並み還付金が激増していることが分かります。
力の弱い中小企業は、8%への税率引き上げで売り上げが増えなくても納める消費税額が増え、資金繰りに苦しんでいるのに、これらの大企業は税率引き上げで何ら痛痒を感じないばかりか、頂く税金が増えるため、かえって得をしているのです。
なぜ増えるのか
消費税の仕組みは一つひとつの商品に8%をかけた税金を納める単純な間接税ではありません。
事業者が納める消費税は、年間の売上額に8%をかけた金額から年間仕入額などに8%をかけた金額を差し引いた額を納めます(これを仕入税額控除方式といいます)。売り上げに8%上乗せしようがしまいが、納税しなければならない一種の事業税なのです。
それに対し大企業は、単価をたたきにたたいて下請け業者に納品させ、実質的に消費税を払ってもいないのに払ったものとして8%の仕入税額控除を受けます。
一方、輸出売り上げには8%をかけるのではなくゼロ税率をかけます(答えはゼロ)。このように仕入税額控除方式を悪用して仕入れに含まれているとみなされる消費税分をそっくり還付してもらうわけです。
それが5%のときは年間仕入額の5%分でしたが、8%になれば年間仕入額の8%に増えます。
例えば、年間仕入額が100億円あれば、その5%は5億円ですが、8%になれば8億円になります。つまり還付金は3億円増えることになるのです。
一度も納めずに
許せないのは、トヨタなどの輸出大企業は自分で消費税を税務署に納めたことは一度もないということです。仕入先や下請けが苦労して納めた税金をトヨタなど最終輸出業者だけが頂く仕組みになっています。
税金の還付というのは自分が納めた税金が多かったとき返してもらうことをいいます。トヨタなどの輸出大企業は、下請けや取引先が税務署に納めたものを自分が納めたものとしてもらっているのです。
他人が納めた税金を自分が納めたものとして返してもらうのは一種の横領です。
もし2017年4月から10%に引き上げられたなら、輸出大企業への還付金はさらに増えることになるでしょう。
7税務署が「赤字」に 10%への増税やめよ
※画像拡大http://www.zenshoren.or.jp/zeikin/fukouhei/151012-01/151012b-l.jpg
・
表2は消費税の税収が赤字になっている税務署を、マイナスの大きい順に並べたものです(平成25年度年分、各国税局の発表資料による)。
なんと、ここでもトヨタの本社がある愛知・豊田税務署が1位、日産の本社がある神奈川税務署が2位、マツダの本社がある広島・海田税務署が3位となっています。
この数字はその税務署管内の事業者が納税した申告納税額を差し引いた額を示しています。例えば豊田税務署の場合、還付金額は1788億円ありますが、申告納税額が347億円ありますからこれを差し引きすると赤字額が1441億円になるのです。
豊田税務署の還付金額1788億円の90%はトヨタ自動車1社への還付金と思われますので、トヨタの平成25年度の還付金は少なく見ても1600億円になると推量できます。
不公平の是正を
トヨタなど各社は還付金額を一切公表しません。表1に示した各社の還付金額は私が大ざっぱな有価証券報告書を基に推計計算したものですから、推計も大ざっぱにならざるを得ません。
ただ、還付金があることは否定できません。それは表2に示したように赤字の税務署があることからも推定できます。
また、政府・財務省の予算案の説明によれば、平成25年度の還付金は3兆2237億円(税率5%)、平成26年度の還付金は3兆2920億円(税率5%、一部8%)、平成27年度は4兆4736億円(税率8%)に増えています。
つまり8%に上がったことにより還付金額が大幅に増えることを政府自身が承知しているのです。
重要なのは、税務署から輸出大企業にリベート(還付金)が振り込まれていること、そして税率が上がれば上がるほど還付金額が増えることです。
また、還付金のない診療所や病院にある非課税制度と輸出売り上げに対するゼロ税率制度との間に不公平があるということです。このうえ不公平を拡大しないためには10%への税率の引き上げをやめさせること、そしてカナダのように税率を引き下げさせることが大切です。
全国商工新聞(2015年10月12日付)
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