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働く女性は損をする!? これで「女性が活躍する社会を目指す」って正気ですか? 頭の古い自民党と了見の狭い財務省
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/46675
2015年12月02日(水) 磯山 友幸「経済ニュースの裏側」 現代ビジネス
■働く女性が損をする!?
子どもを産んだ女性が働き続けようと思えば、仕事中に子どもの面倒をみてくれるベビーシッターは不可欠だ。働いて所得を得るために雇うのだから、その費用は常識的には「必要経費」だろう。
ところが日本では、頑なに経費として認めない方針が貫かれている。だから、働く女性は、税金や社会保険料を払った後の可処分所得で、ベビーシッター代を払わなければならない。働いて得られる手取りの給料よりも、ベビーシッター代の方が多いなどという逆転現象が頻発している。
「働き続けるためには仕方ない」と諦めている女性も少なくない。それでもベビーシッター代を賄える稼ぎがあればいい。給料が低かったり、シングルマザーだったりすれば、ベビーシッターを雇うこともできず、仕事を辞めなければならなくなる。
安倍晋三首相は就任以来、「女性活躍促進」を政策の柱に掲げてきた。ベビーシッター代やハウスキーパー代を必要経費として所得から差し引く「家事支援税制」は、働く女性を支援する強力な切り札のひとつとして議論が続いてきた。
そんな中で、首相に近い塩崎恭久厚労相が官僚に強く指示、厚生労働省の2016年度の税制改正要望に組み入れられるところまでたどり着いていた。税制改正に盛り込まれて実現すれば、子どもを産んだばかりの働く女性にとって朗報になるはずだった。
ところがである。自民党で税制を議論する税制調査会が、11月30日に会合を開いて固めた2016年度の税制改正の骨格では、ベビーシッター代の所得控除はあっさり先送りされたのである。
一部の議員の中から、「女性の活躍を目指す政府の方針に逆行する」といった異論が出されたこともあり、「見送り」ではなく、「長時間かけて検討する」としたが、霞が関用語からすれば、いずれも「やらない」という事である。
なぜ、安倍首相が「女性活躍促進」を掲げているのに、自民党税調が反対するのか。
■まだまだ「古い自民党」
ひとつは自民党には、まだまだ頭の古い旧人類が少なからず力を持っていることだ。口に出して言う議員こそ減ったものの、「女は家を守るものだ」「子育ては母親の義務だ」と心の中で思っているのである。それが「保守」だと考えている議員もいるようだ。
もうひとつは税調の裏にいる財務省の抵抗だ。ベビーシッター代を所得控除すれば当然、税収が減る。その分を賄う「財源」がなければ減税は無理だ、というのだ。女性が本格的に働くようになれば、その分、所得が増え、税収も増えるのだが、財務官僚はそうは考えない。すべて単年度の予算しか考えないからだ。
さらに、ベビーシッターの利用が増えれば、ベビーシッターの雇用が生まれ、そこでも所得が生じる。そうした波及効果も計算せず、目先の税収減に神経を尖らせるわけだ。
もともとは「家事」全般の議論だったものが、いつの間にか「ベビーシッター」だけに絞られ、「ベビーシッター減税」とメディアが書くようになったのも、霞が関の誘導だろう。
家事労働が重くのしかかっている働く女性を解放するのは、育児をするベビーシッターだけでなく、家事を手伝うメードやハウスキーパー、託児所などの費用も同じだ。家事と言った場合、対象が広がることを恐れ、ベビーシッターに限定した書き方を誘導しているのだろう。
実は、家事労働に対する税制上の支援制度は諸外国では当たり前だ。例えば米国の場合、働くひとり親世帯や、夫婦共働きの世帯に対して、ベビーシッターやハウスキーパー、保育士、託児所などにかかる費用の20〜30%が税額控除される。
所得控除ではなく、税金そのものから差し引かれるのだ。子供1人の場合は最大3000ドル(約36万円)、子供2人以上の場合は最大6000ドル(約72万円)までの費用が対象になる。
支援策が手厚いフランスでは、子がいない場合でも最大1万2000ユーロ(約155万円)までその半額が税額控除されるという。さらに子供がひとりいる場合は最大1万3500ユーロ(約175万円)、子供2人以上だと最大1万5000ユーロ(約195万円)の半額が税額控除される仕組みだという。
また、ドイツでも、子供1人につき最大4000ユーロ(約52万円)まで、その3分の2が所得控除できる。要は、ほとんどの先進国が、家事代行を「経費」として認めるか、それ以上の支援を行っているのだ。
自民党税調の結論はあくまで「検討継続」なので、税制改正で家事支援税制が創設される目が完全に消えたわけではない。問題は安倍首相がどれだけ本気で「女性活躍促進」のための税制改革が必要だと考え、リーダーシップを取るかということになる。
安倍首相は自民党総裁として10月に行った党役員人事の一環として税調会長を刷新した。当選15回の大ベテランだった野田毅氏を事実上更迭、当選4回(衆議院3回、参議院1回)で経済産業相を務めていた宮沢洋一氏を据えた。
交代するとしたら当選11回の額賀福志郎氏だろうという見方が多かっただけに大抜擢と言える。宮沢氏は財務省出身だが、野田氏のように真正面から安倍首相に抵抗することは難しく、安倍首相の意向が税制改正に大きく反映されることになりそうだ。
つまり、女性活躍につながる税制改正をリードできるかどうかは、首相のやる気次第。安倍首相の本気度が問われることになる。
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