2. 2015年12月02日 08:39:51
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いつの間に?米国での日本の存在感は中韓以下 知日派の国務次官補も講演で日本をスルー 2015.12.2(水) 部谷 直亮 GS&コンサート2014、PSYやエイリーらが登場 韓国 米国のダニエル・ラッセル国務次官補は現在の国際関係を語る際に韓国の歌手PSY(サイ)氏の名を挙げた。韓国・ソウルで行われたコンサートでパフォーマンスを披露するPSY氏(2014年11月22日撮影)。(c)STARNEWS 〔AFPBB News〕 危惧すべき現象が起きています。米国における世論調査や政府高官の発言に、日本の存在感が縮小している兆候がはっきりと見られるのです。 特に知日派高官のアジア政策に関する演説からは、明らかに日本が中国や韓国以下の扱いをされている様子が伝わってきます。 世論調査結果が示す日本の存在感の縮小 米国を代表する世論調査機関「ピュー・リサーチ・センター」が、2015年2月初頭に1000人を対象とする対日観の調査を行ったところ、「日中のどちらが経済的に重要か」という質問に対して中国48%、日本36%という結果が出ました。 意外と善戦しているという感想を抱くかもしれません。しかし、中国を「より重要」としたのは、若者・非白人と今後人口の多く占める層なのです。しかも多くの米国人が、今後の日本の経済力は現状維持だろうと考えています。 「日本がアジア太平洋地域で軍事的な役割を活発化させるべきか」についても、43%が「制限を付けるべき」との回答で、半数近くが日米同盟の軍事的な拡大に否定的でした。 見習うべきは韓国の「江南スタイル」? また、オバマ政権の対日認識の変化として注目すべき点は、日本の重要性がアジアにおける一国家とした相対化されつつあるということです。特にこうした認識は、知日派として著名な外交官からも出てきています。 ダニエル・ラッセル国務次官補(東アジア・太平洋担当)は、夫人が日本人であり、日本勤務も長く、日本語も話せる国務省における知日派として古くから著名な存在です。彼は2014年12月16日のブルッキングス研究所にて、アジア政策についての講演を行ったのですが、その内容は非常に注目すべきものでした。 全体的に指摘できるのは、日本の地位の下降です。この講演で、ラッセル氏は、一貫して日本よりも中国や韓国の重要性に言及していました。 彼は「現在の国際関係は『江南スタイル』のようではないし、この会議はYouTubeで大ヒットしそうもない。しかし、私はPSY(サイ)と同じくらいクリエイティブな皆さんと一緒に働くことができると信じている。無論、これが高いハードルだとは認識している」と、現在の国際関係の比喩に、YouTubeを通して世界で爆発的にヒットした韓国人歌手PSYの歌を挙げました。その他、アジアの代表的な企業としてサムスンを挙げています。しかし、日本へのこうした言及は皆無です。 また、従来の米国政府の文書などでは「米、日、韓、中」というような順序が使用されることが多かった国別序列も崩れています。ラッセル氏は講演内で「中日韓」「中韓米」「米豪日」「韓日米」「日韓中」などの順番の表現を使用しています。明らかに各国を平等に扱おうという、以前とは異なる傾向が見て取れます。 ラッセル氏の演説から消えた日本への言及 彼のこうしたスタンスは、10月4日のニューヨーク市のアジア協会での演説で、より顕著となりました。 ラッセル氏は冒頭、習近平主席のワシントン訪問から話を始め、韓国、インドネシア、豪州、マレーシアの元首や大臣との会談に触れます。そしてアジア重視政策の意義について論じ、対ASEAN外交やTPP交渉妥結の意義を指摘するのですが、日本は全く出てきません。同時期に、安倍首相の訪米とバイデン副大統領の会談、岸田外相とケリー国務長官やカーター国防長官の会談があったにもかかわらずです。 その後、ようやく「日韓中」参加国首脳会談で日本は登場しましたが、日米関係への言及はありません。 続いてラッセル氏は、以下に要約したように米中関係に議論を移します。中国に対して非常に肯定的であることが見てとれます。 米中関係の「効果的な管理」は、オバマ政権創設以来の戦略における重要な柱である。米中は多くの難しい問題に対して、閣僚レベルを含む様々なレベルで定期的な対話を繰り返している。実際、自分はオバマ大統領が就任時から約24回も中国との首会談を実施してきた。この対話では、気候変動、世界的な公衆衛生、海賊対処、イラン、北朝鮮、アフガン等における前例なき米中協力を切り開いた。これは、米中が意見の相違に対処できる、もしくは紛争の危険を冒さずに危機を風化できる 関係に移行したことを意味している。我々の対中外交派の強靭さは、習主席の訪米により明らかとなった。米国は、これまで問題のある領域で、諸事情で中国の協力を得るための取引をしなかったが、我々はどの分野でも国益と政策を調整して中国との協力の分野を増やしていくつもりだ。 ラッセル氏は「無論、サイバー、南シナ海問題、人権といった問題で、中国側が米国と違う見解を持つことを容認するわけではない」と留保をつけてこれらの問題を論じるのですが、非常に穏当な表現かつ中立的な論じ方です。 例えば南シナ海問題については、米国はいかなる主張もしないし、どの国の主権や主張も支持せず、国際法に基づく解決を望む、というのです。また、人権問題についてはオバマ大統領が習主席に明確なメッセージを伝えたので、習主席が受け止めてくれることを希望する、としています。 そして、話題は「中日韓」首脳会談へと移り、これを高く評価します。ここで安倍首相が朴大統領の対談相手として触れられますが、彼が登場するのはここだけです。その後、ミャンマーの民主化について論じ、対ASEAN政策や気候変動対策への米国の意気込みを語り、最後はオバマ政権のこれまでのアジア政策を総括します。ここでも、対中関係の改善やアジア重視戦略の継続が語られる一方、日本の話題は出てきませんでした。 古い友人より新しい友人が大切なオバマ政権 ラッセル氏の講演が示唆するのは、第1に、中国・韓国・インド・ASEAN諸国等の台頭によって、アジア政策における日本の地位が明らかに低下しつつあるということです。 もちろん日米同盟の重要性は依然として高く、米中関係や米韓同盟等が同じ関係になったということを意味するものではありません。しかし、やはり以前よりも米国の政策担当者の認識において重要性が低下してきているという現実は率直に認めなければならないでしょう。少なくとも、代表的な知日派ですらこうした認識であることは深刻に考えるべきです。 第2はオバマ政権の政策の方向性です。先月のラッセル氏の演説が赤裸々に示したように、オバマ政権の「外交」政策は、現状維持によるリスク回避よりも、現状変革による利益を目指すものです。平たく言えば、古い友人との関係維持より新しい友人との協力に価値を見出すということです。 サイバー、南シナ海、人権といった重要な問題には異議を唱えるが(ただし何もせず)、それ以外の問題では取引をして見返りを得る。そういう外交政策なのです。 実はこうした政策は、あのブッシュ政権後期から続けられている路線だということを忘れてはなりません。中国を「責任ある利害共有者」と位置付け、北朝鮮・イラン・対テロ戦争等での協力を引き出していくとしたのはブッシュ政権でした。その意味で、次の政権が共和党のタカ派であっても決して安心はできません。クリントンのような民主党政権でも、オバマ政権のブレーンや路線は少なからず引き継がれることでしょう。 知日派のラッセル氏からして先述のような講演を行っている以上、米国で日本の存在感が低下し、重視されなくなってきていることは明らかです。経済と文化面で日本の存在感を高める早急な取り組みが必要でしょう。何よりも実現すべなのは、中国、韓国、ASEAN諸国を上回る経済成長なのです。 http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/45392 |