http://www.asyura2.com/15/senkyo197/msg/338.html
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アベノミクスが失敗し、日本は景気後退局面=実質GDP2期連続マイナス。消費税増税は自殺行為。
http://blog.goo.ne.jp/raymiyatake/e/d918f7238e314344ae74a5dd270abb20
2015年11月29日 Everyone says I love you !
内閣府は2015年11月27日、日本経済の潜在的な供給力と実際の需要の差に当たる需給ギャップが2015年7〜9月期にマイナス1.6%になったとの推計を発表しました。4〜6月期はマイナス1・3%ですから、どんどん拡大していることになります。
これは、金額では年8兆円の需要不足に相当します。
需給ギャップとは、一国の経済全体の総需要と供給力の差のことで、GDPギャップとも呼ばれます。
総需要は国内総生産(GDP)と同じで、供給力は国内の労働力や製造設備などから推計されます。
需給ギャップがマイナスになるのは、需要よりも供給力が多いときで、企業の設備や在庫などが過剰で、物余りの状態になります。
安倍政権は法人税を下げて、設備投資の拡大を目指すなどと言っていますが、すでに設備投資は過剰なのですから、法人税を減税しても、それが大企業の内部留保の拡大にしかならないことは、火を見るより明らかです。
安倍首相と財界が「官民対話」。すべては法人税減税のために。自民税調でさえ慎重意見相次ぐ。
http://blog.goo.ne.jp/raymiyatake/e/dbe646fe3bb24b78ed87827f6d31503a
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このように、日本の需要より供給が大きい状態が続いているのは、もちろん、需要=実質GDPが伸びないからです。
内閣府が11月16日に発表した7〜9月期の国内総生産(GDP)は2期連続マイナス成長となりました。
これは、けん引役と期待された設備投資が計画倒れに終わり、実質賃金も下がる一方なので個人消費も伸びていないからです。
菅官房長官の「消費税再増税は予定通りやる。法人税再減税は当然のこと」って正気なの?
http://blog.goo.ne.jp/raymiyatake/e/f6b4155fc64e06e7d2c821c2af66f14b
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これを、リセッション(Recession)=景気後退と言います。
アメリカでは一般に実質GDPの前期比が2四半期連続で半年間マイナスとなれば、リセッションと定義されます。
安倍内閣がそう宣言しないだけで(日本では景気後退の明確な定義がない)、国際的には日本はもう景気後退局面に入ったとみられているわけです。
安倍首相は、アベノミクスは新しい段階に入ったといって、今の500兆円にも満たないGDPを600兆円にするだなんて言っていますが、まず、旧3本の矢が失敗していることを認めないと。だいたい、GDPがマイナスになってるのによく毎年プラス3%にするだなんて言えるよね。
そもそも円安に誘導して、物価を上げて、経済成長(したことに)するっていう目標が間違ってますから。
皆さんも、株高に誤魔化されて、アベノミクスはそこそこうまく行っているなんて言う幻想は捨ててください。
アベノミクス新3本の矢「2020年にGDP600兆円」は、GDPの算出基準を変えるという裏ワザだったw
http://blog.goo.ne.jp/raymiyatake/e/a0d243d658bcf95d4fb5f3bc2b947301
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パネルだけは景気がいいが。
今、消費税増税をすることを前提に、生鮮食料品に軽減税率を適用するか、加工品にも拡大するかなんて議論を与党でしていますが、こんな状態で消費税増税なんてしたら、それこそ日本経済の自殺です。
軽減税率か還付金制度のどちらがいいか?って、なんで消費税再増税10%が前提なの?!毎日新聞さん!
http://blog.goo.ne.jp/raymiyatake/e/d6199de597d41bd88912ef8e0f342e2e
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文字通り、自殺者数がまた急増することになりかねない。
消費税増税の大ウソ―「財政破綻」論の真実
山家 悠紀夫 (著), 井上 伸 (著)
大月書店
消費税、上げなくていいんです!経済オンチも納得の、目からウロコの経済学
消費税のカラクリ (講談社現代新書)
斉藤貴男 著
講談社
消費税とは弱者のわずかな富をまとめて強者に移転する税制である。…大口の雇用主に非正規雇用を拡大するモチベーションを与えて、ワーキング・プアを積極的かつ確信犯的に増加させた。…これ以上の税率引き上げは自営業者の廃業や自殺を加速させ、失業率の倍増を招くことが必定だ。
消費税増税 「乱」は終わらない
植草一秀 斉藤貴男 著
同時代社
消費税増税法をめぐる政治の混乱、原発再稼働、オスプレイ配備―。官僚・米国・資本に隷従する政治を許さず。悪魔の税制=消費税増税を許さず。今度は、生きるか死ぬかの選択だ!気鋭の論客による増税法廃止への道筋。
現実を見ずに、これでも消費税増税をやる気の安倍政権も酷いですが、どれだけ数字が悪くても安倍内閣を支持し続ける国民も悪いんですよ。
日本経済の需給ギャップ、マイナス1.6% 7〜9月期
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS27H3Q_X21C15A1EE8000/
2015/11/27 18:56 日本経済新聞
内閣府は27日、日本経済の需要と供給の差を示す「需給ギャップ」が7〜9月期はマイナス1.6%だったとの試算を発表した。4〜6月期のマイナス1.3%からマイナス幅が拡大した。金額に換算すると年率で約8兆円の需要不足にあたる。
7〜9月期の国内総生産(GDP)速報値から算出した。同期の実質成長率は前期比年率で0.8%減と、内閣府試算の潜在成長率(0.5%)を下回った。
需要不足8兆円=7〜9月期−内閣府
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201511/2015112700516
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内閣府は27日、日本経済の潜在的な供給力と実際の需要の差に当たる需給ギャップが7〜9月期にマイナス1.6%になったとの推計を発表した。金額では年8兆円の需要不足に相当する。
7〜9月期実質GDP(国内総生産)が年率換算で前期比0.8%減となったことで、需給ギャップは4〜6月期のマイナス1.3%から拡大した。(時事通信 2015/11/27-15:13)
景気回復シナリオ誤算 7〜9月GDP、2期連続マイナス
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS16H1H_W5A111C1EAF000/
2015/11/16 10:55 日本経済新聞
内閣府が16日発表した7〜9月期の国内総生産(GDP)は2期連続マイナス成長となり、日本経済の足踏みが長引いていることを示した。けん引役と期待された設備投資が計画倒れに終わり、個人消費や輸出の回復は力強さを欠いた。10〜12月以降は緩やかな回復に向かうとの見方もあるが、景気の先行きには懸念材料が目立つ。
政府も民間エコノミストも4〜6月期の落ち込みは一時的で、7〜9月期はプラス成長に戻り、景気は緩やかに回復するとみていた。シナリオが狂ったのは中国やアジア経済の減速の度合いが想像以上で、企業が設備投資を先送りする動きが広がったことが大きい。
日銀の9月の全国企業短期経済観測調査(日銀短観)によると、2015年度の大企業・全産業の設備投資計画は14年度比10.9%増と、6月調査(9.3%増)から上方修正された。企業収益は過去最高水準にあり、設備投資計画は依然強気だ。しかしGDPの設備投資は4〜6月期の前期比1.2%減に続き7〜9月期も1.3%減と2期連続のマイナスとなった。
GDPの6割を占める個人消費は前期比0.5%増と、食料品などの値上げが相次いだ4〜6月期(0.6%減)からの戻りは弱かった。GDPの実質雇用者報酬は前年同期比1.6%増と伸びているが、パートの増加が全体の報酬を押し上げている面がある。賃上げやボーナス増の広がりは乏しく、1人あたりの実質賃金は7〜9月期で前年同期比0.3%増にとどまっている。
品目別でみても夏の猛暑効果や9月の大型連休で増えた消費が多い。円安の進行や天候不順で食料品の価格上昇が止まらず、家計には節約志向が広がった。「価格変動に敏感な女性が婦人服の購入を控えている」(内閣府幹部)
輸出から輸入を差し引いた外需は0.1%増となった。原油安などの影響で輸入の伸びが小さかったことが下支えしており、輸出の回復ペースは鈍い。輸出の数量を示す指数は米国、欧州、中国、アジアともに前期から落ち込んでおり、基調は強くない。
今回のGDPがマイナスになった要因として、民間在庫が0.5%押し下げたことが大きい。在庫調整が進むと、GDP上はマイナス方向に働く。内閣府は在庫を除けば前期比年率1.4%増となり、0.8%減という数字ほど実態は悪くないと分析している。
内閣府は景気は緩やかな回復に向かい、個人消費が持ち直し、設備投資が増加するとみている。ただ、海外経済の下振れリスクやパリの同時テロの余波など不透明感は残っている。
マイナス成長の原因は消費税でも世界経済停滞でもなく円安政策
http://diamond.jp/articles/-/81917
野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]【第38回】 2015年11月19日
円安で企業利益は増えているのに、なぜマイナス成長に陥るのか
日本経済は、2期連続のマイナス成長になった。このことの意味は極めて大きい。
政府は、2015年4〜6月期のマイナス成長を一時的とした。しかし、いずれ回復するとしてマイナス成長を無視するのではなく、その原因を真剣に検討することが必要である。
消費税の増税からすでに1年半経っているので、停滞の原因を消費税に押し付けることはできない。また世界経済の停滞が原因だとも言われるが、後で見るように、そうとも言えない。
経済政策が内蔵する要因のために、長期的な停滞から脱出できないのである。具体的に言えば、円安政策のためにマイナス成長に陥るのだ。
2期連続のマイナス成長
世界の中でも悪い日本の状況
内閣府が発表した2015年7〜9月期の国内総生産(GDP)第1次速報によると、実質GDPは、前期比0.2%減、年率換算で0.8%減となった。4〜6月期(年率換算で0.7%減)から2四半期連続のマイナス成長だ。しかも、マイナス幅がわずかではあるが、拡大している。
なお、前期(4〜6月期)の実質GDP成長率は、年率換算0.7%減、前期比0.2%減と2次速報値(それぞれ1.2%減、0.3%減)から上方改定された。
今年度の成長率はどうなるだろうか?
仮に10〜12月期と16年1〜3月期における実質GDP成長率が前期比年率0%であれば、15年度の成長率は、0.62%となる。これは、後で述べるIMFの見通しに近い数字だ。
政府の経済見通しでは、15年度の実質GDP成長率は1.5%とされている(平成27年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度、15年1月12日、閣議了解)。
これを実現するためには、10〜12月期と16年1〜3月期における実質GDP成長率が、前期比年率で4.73%となる必要がある。これは、とうてい実現不可能だろう。
外国の状況はどうだろうか?
欧州連合(EU)統計局が発表した第3四半期のユーロ圏の域内総生産(GDP)速報値は、前期比0.3%増、前年比1.6%増だった。
なお、IMFが試算する15年の実質GDP成長率は、日本0.591%、ドイツ1.509%、アメリカ2.568%などとなっている。
このような比較からも、先進国経済のなかで、日本のパフォーマンスが相対的によくないことが分かる。マイナス成長の原因を世界経済の停滞に求める考えは、こうした比較からも、誤りであることが分かる。
最近のGDP増加は公共支出頼み
円高期のほうが成長率が高かった
実質GDP(季調済み)の推移は、図表1に示すとおりである。2015年1〜3月期に消費税増税後のピークに達したあと、減少傾向にあることが分かる。
そうではあっても、15年のGDPの水準が12年や14年に比べて増加しているのは事実だ。しかし、増加をもたらしたものは、公共支出なのだ。
◆[図表1]実質GDPの推移
(注)季調済み年率、実質
(資料)内閣府
図表2には、政府最終消費支出と公的固定資本形成の合計を示してある。安倍晋三内閣発足以降増加し、最近にいたって再び増加していることが分かる。
後で見るように、GDP需要項目の中で最も重要なのは消費支出だが、この水準は、中期的に見て減少気味である。
◆[図表2]政府最終消費支出と公的固定資本形成の合計の推移
(注)季調済み年率、実質
(資料)内閣府
実質GDPの四半期別対前年同期比の推移を見ると、図表3のとおりである。
東日本大震災の影響を除けば、10〜12年頃の円高期のほうが成長率が高かった。安倍内閣の発足後は、高くても2%程度にとどまっており、最近では1%に低下している。
◆[図表3]実質GDPの四半期別前年同期比の推移
(資料)内閣府
後出の図表4で見るように、円安によって物価が上昇し、それが実質消費を中期的に見て減少させ、経済成長率を抑えているのだ。これは、物価上昇率の引き上げを目標とする経済政策が、基本的に誤っていることを示している。
企業の利益増にもかかわらず
設備投資が減少を続ける
今回のマイナス成長に最も大きな影響を与えたのは、民間企業設備(設備投資)である。前期比でマイナス1.3%、年率換算でマイナス5%となった。これは、2四半期連続のマイナスだ。
企業の利益が伸びているにもかかわらず、設備投資が増加しないのである。こうなるのは、企業利益の増加メカニズムのためである。
仮に生産が増加して利益が増加しているのなら、企業は設備投資を行なうだろう。しかし、鉱工業生産指数の推移に見られるように、生産は減少している。
円安によって輸出の円建て売上高が増加し、半面で賃金が伸びないため、利益が自動的に増加しているにすぎない。だから、設備投資が増えるような状況ではないのだ。製造業の国内回帰ということが言われるが、それも本格的には進まないだろう。
2015年版『経済財政白書』は、現在の日本経済の状況を「四半世紀ぶりの成果」であるとし、「経済の好循環が着実に回り始めている」としている。しかし実際に起こったことは、好循環とは縁もゆかりもないものである。
こうした実体経済の停滞にもかかわらず、株価は上昇している。株価が上昇しているために、人々は日本経済が改善していると錯覚している。
しかし、上述のように、株価の上昇は、輸出売り上げが増える中で賃金が増加しないから生じているものである。つまり、日本の労働者が貧しくなっているから企業の利益が増大するのである。
実質消費は増加したが中期的には減少
アベノミクスの基本的な誤りを示す
他方で、家計最終消費支出の前期比は0.5%増と、前期(0.6%減)から2四半期ぶりに増加に転じた(年率換算で2.1%増)。ただし、つぎの2点に注意が必要だ。
第1に、これは名目賃金が顕著に上昇したためにもたらされたものではなく、消費者物価が下落したために生じたものだ(消費者物価の上昇率は、コアCPIで見て、8月、9月は前年比マイナス0.1%と低迷している)。
そして、消費者物価の下落は、原油価格の下落という外国からの贈り物でもたらされたものだ(そうした贈り物があったにもかかわらず、経済全体がマイナス成長になってしまったのだ)。つまり、アベノミクスの成果ではなく、逆に、日銀の物価目標が達成されなかったことによって実現したものである。
言い換えれば、7〜9月期における実質消費の増大は、アベノミクスの基本的な思想が間違っていることを示しているのである。
消費支出について第2に注意すべきは、中期的に見ると減少していることだ。この状況は、図表4に示されている。
2015年7〜9月期に前期より増加しているのは事実だが、傾向的な増加を示しているものではない。また、12年の値に比べて減少気味だ。13年に消費税増税前の駆け込み需要で一時的に増加しただけだったのである。
◆[図表4]家計最終消費支出の推移
(注)季調済み年率、実質
(資料)内閣府
売り上げ低迷でまだ続く在庫調整
今後のGDPにマイナスの影響
その他の需要項目の推移は、つぎのとおりだ(数字は、在庫品を除き、季調済み実質値の対前期比)。
政府固定資本形成(公共投資)は0.3%減と、2四半期ぶりにマイナスとなった。民間住宅投資は1.9%増と、3四半期連続でプラスだった。
在庫の寄与度(実質民間在庫品増加の季節調整系列寄与度)は、マイナス0.5%だった。売り上げが伸びないので企業は生産を落とし、在庫を減らしているのである。
在庫指数の動向は、図表5に示すとおりだ。
6月以降頭打ちになり、9月には減少している。こうした動きがGDP統計に表れているわけだ。
ただし、水準としてはまだ高いので、在庫調整が簡単に終了するとは考えられない。在庫調整がまだ続くとすれば、今後のGDP成長率にはマイナスの影響を与える。
◆[図表5]在庫指数の推移
(資料)経済産業省
ドル建て輸出は減少しているが実質輸出は増加
中国の減速は大きな影響を与えていない
海外需要は、経済全体の成長にプラスの寄与をしている。外需の寄与度(実質純輸出の季節調整系列寄与度)は、0.1%だ。
輸出も前期比2.6%増だった(年率で10.9%)。財の輸出は世界経済減速の影響で振るわなかったが、サービス輸出が好調だった。実質季節調整系列の伸び率(年率)で見て、財貨の輸出が7.3%だったのに対して、サービスの輸出は31%だった。
しばしば、現在の経済停滞の原因は、中国をはじめとする新興国の減速だと言われている。中国に対するドル建て輸出が減少しているのは事実だ(日本貿易振興機構が公表する「ドル建て貿易概況」によると、15年1〜9月のドル建て輸出の前年同期比は、対世界がマイナス9.5%、対中国がマイナス14.2%)。しかし、それはGDPにはあまり大きな影響を与えていないということがわかる
問題は短期的な変動ではなく長期的停滞
経済構造にメスを入れる政策が必要
来年の日本経済が、為替レートがどうなるかで大きな影響を受けることは間違いない。ただし、それがプラスに影響するのは、これまでのように企業利益や株価である。
実体経済に対する影響は、これまでのように、物価が上昇して実質消費が減少するというものでしかないだろう。
10〜12月期は回復するという意見もあるが、いまのところ確たる根拠は見当たらない。
日銀が追加緩和しても、影響は株価に留まるだろう。
政府は、GDP600兆円の実現に向けた緊急対応策を今月中にとりまとめるとしている。しかし、仮に公共事業を増加させたとしても、一時的な効果に留まるだろう。
問題は短期的な経済変動ではなく、日本経済が長期的な停滞状態から抜け出せないことである。そしてこの問題は、金融緩和では解決できないということが明らかになったのである。経済の基本構造にメスを入れる経済政策が必要だ。
アベノミクスは終わった…海外主要メディアによる「死刑宣告」を比較
http://www.mag2.com/p/news/126534
2015年11月24日 1,372
GDP二期連続マイナスが明らかになり、海外メディアからも「アベノミクス失敗」論が相次いでます。『高野孟のTHE JOURNAL』では、そんな海外メディアの論調を比較するとともに、その責任の所在についても論じています。
海外から相次ぐアベノミクス「死刑」宣言
海外の主要メディアや有力エコノミストによるアベノミクス「失敗」論が相次いでいる。
国内では前々から、安倍政権の経済ブレーンである浜田宏一内閣参与(イェール大学名誉教授)や岩田規久男日銀副総裁(前学習院大学教授)らのリフレ派経済学に対して、ケインズ派の大御所・伊東光晴の『アベノミクス批判』(岩波書店)を筆頭に、多くのエコノミストがコテンパンと言えるほどの批判を浴びせていて、本誌も一貫してその一翼を担ってきたが、内閣府が16日発表した6〜9月期GDP速報値が年率換算0.7%のマイナスで、4〜6月期の同0.7%マイナスに続いて2四半期連続のマイナスに陥ったのをきっかけに、海外から改めて一斉に「アベノミクスは終わった」などと見切りをつけるような論調が噴出した。
それは当然で、日本のマスコミはこれを政府発表通りに「景気回復の動きが足踏みを続けている」(朝日)といったまろやかな表現で伝えているが、少なくとも欧米の経済学の常識では、2つの四半期すなわち半年にわたり連続してマイナス成長になることを以て、「景気が下降局面に入った」と判断するのである。
しかも、今回の海外論調は、「新・第3の矢」と称して打ち出されたアベノミクス2.0への強い失望感とも重なって、もはや「もうちょっと様子を見ようか」という寛大さは影も形もなく、「もう終わった」とか「最初からおかしかったんじゃないの」とか、身も蓋もない批判が多いのが特徴である。
ウォール・ストリート・ジャーナルの社説
米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは11月17日付で「アベノミクス、今こそ再考の時」と題した社説を掲げ、今回のGDP値について「過去7年間で5度目、安倍晋三首相が3年前に政権に返り咲いてからは2度目のリセッション(景気後退)」であって、日本経済の停滞に終止符を打つという首相の公約は達成できておらず、今こそ抜本的に再考しなければならないと勧告している。
社説は、日銀による急進的な金融緩和にも関わらず、一向に景気が上向かないのは、片足を改革に踏み入れながら、もう片方の足は「日本株式会社の政治経済学」に突っ込んだままになっているからだとして、以下、子育て支援や社会保障の充実は経済的には効き目がない、労働法の見直しによる非正規雇用の増大は一時凌ぎ、経営者が将来の損失を恐れて内部留保ばかり積み上げる企業統治の失敗、円安の恩恵が国内に回らず日本人の消費力を奪っている……など、安倍の施策のどれもが役立たずだったことを列記し、「首相が真の改革を推進しなければ、近く、首相自身が“政治的に”行き詰まることにもなりかねない」と、政権の存続そのものに疑問を投げかけている。
ロイターの大手投資銀行トップへのインタビュー
ロイター通信は11月18日、デンマークの投資銀行でデリバティブ取引の世界的大手として知られるサクソバンクのCIO(最高運用責任者)にして主任エコノミストであるスティーン・ヤコブセンのインタビューを配信した。
その中でヤコブセンは「アベノミクスは失敗に終わったと思う。新・第3の矢は、もはや矢ではない。構造改革はどこへ行ったのか」とにべもなく断言した。「日本は、低金利、エネルギー安、円安の1年の末にリセッションに陥ったという現実を見つめるべき」であって、とりわけ円安政策によって他国に負担を負わせて、改革に取り組まないための時間稼ぎをすることをもう止めにして、逆に円高に進むべきだと指摘している。
「日本にはモーニング・コールが必要だ。長い眠りから呼び覚まされなければならない。それができるのは円高だ」と。
ニューヨーク・タイムズのコラム
しかし、日本が進んで円高政策に転じることなど出来ないと見るのは、コラムニストのジェームズ・サフトである。
ニューヨーク・タイムズ18日付に載った「日本の人口問題」と題した論説で、彼は、第2次安倍政権になって2度目のこのリセッションを見れば「アベノミクスが計画したような成功を収めなかったことは明らかだ」と断言し、これで近々米連銀が利上げに踏み切ることになれば、円の価値はますます下落し、日銀はさらに手詰まりに陥るとしている。日銀がアベノミクスへの信認を守るためにさらに国債を買い続けるとしたら、ますます円安が進むが、これまでも円安を業績向上に結びつけることに失敗し続けてきた日本の輸出企業を、さらなる円安で救済することは出来そうにないし、他方、輸入された食品やその他の商品を買う消費者はその過程で大きな打撃を受ける。
根底にあるのは、人口減である。生産年齢人口の数が変わらないのであれば、日本経済はOKだが、残念なことに人口も生産年齢人口も減りつつある。さらに悪いことに、負債は人口と並行して減ることはないので、負債を返すことは難しくなるばかりである。人口が縮小していく中では、企業は国内投資に多くを振り向けようとせず、そのため過剰流動性は海外に流出してしまい、それがますます人口問題を悪化させる。いや、人口が減れば1人当たりのGDPは増える。しかしそれ以上に1人当たりの負債が増える。方策は尽きているように見える……。
リフレ派の教組クルーグマンの逃亡
以上のような言説は、特に目新しいものではなく、最近の経済指標に触発されて主だったメディアで一斉に言われ出したという状況が新鮮だというだけである。しかし、私にとって近年最大のサプライズは、アベノミクスにリフレ派の教組として理論的基礎を提供したノーベル賞経済学者ポール・クルーグマンが、その自説の誤りを認めて撤回してしまったことである。しかも、理路整然とではなく、ほとんど何を言っているのか分からないヨタヨタの駄文を長々とインターナショナル・NYタイムズ内のブログに書いて、である。
このアベノミクスにとって致命的とも言える“事件”は、私の知る限りでは日本の主要メディアできちんと紹介され論評されたことはなく、私はネット上で何人かのエコノミストが触れて「この人がよくぞノーベル経済学賞など貰ったものだ」とまで酷評しているのを知って、慌てて10月20日付同紙の「日本再考」と題したその駄文を検索した。
クルーグマンは1998年に「流動性の罠」論を打ち出した。私なりの一知半解によれば、名目金利が限りなくゼロに近づいてもそれだけでは実体経済に新規需要を呼び起こすだけの力にはならず、マネーは退蔵されて流動性を発揮しない。そこで経済をインフレ気味に誘導して人々が近い将来のインフレを予想し期待し始めると、ゼロかそれに近い金利でマネーを寝かせておくよりも住宅や自動車を買うなど消費したほうがマシだという心理に傾く。《名目金利−予想インフレ率=実質金利》であるから、名目金利よりも予想インフレ率が高くなれば実質金利はマイナスになるので、人々は金を使う。政府が国民に「インフレになりそうだ」と思い込ませればインフレが起きて金回りがよくなるという心理ゲームのような経済学なのだ。
では、どうやって人々に「インフレが来るから今のうちに金を使ったほうがいい」と思わせるかというと、「一時的な財政出動」か「紙幣の大量印刷」である。その立場から、クルーグマンはデフレ不況と言われた90年代末から00年代の日本政府・日銀の政策を罵倒に近いような言葉で批判し「インフレ・ターゲット」を採用するよう迫ったのだった。
アベノミクスの支えとなっている浜田宏一や岩田規久男は、何だと言えば、この最初から相当怪しいブードゥー経済学が何の間違いか2008年にノーベル賞を受賞してしまったこともあって、その信奉者となり翻案者となって安倍に「これが世界最先端の経済学です」とか言って吹き込んだ張本人である。
しかし、その安倍とそのブレーンたちの教組が自説から逃亡し、浜田や岩田は梯子を外された格好になった。となると、アベノミクスはすでに実践面だけでなく理論面でも崩壊してしまったのである。
結局、すべては人口減少のせいだと?
ここでクルーグマンの大混乱の弁解の全容を紹介するつもりはない。要するに結論は、金融面からの量的緩和は失敗に終わった、とすると30兆円ほどの公共事業を追加する財政面の施策しかないが、財政再建を思えば実際にはそれも絶望的で、「全体の政策がバラバラになって、政策への信頼は回復不能なダメージを蒙る」ところに来ているということである。何を言っているのか。その政策を勧奨したのはお前だろうに。
そこでクルーグマンが今回初めて持ち出した落とし所は、「日本は人口の生産年齢人口の面から、ひどく好ましくない人口構造を持つ」ということである。そのことを忘れていたので、インフレ・ターゲット論は失敗したというのである。確かに日本の生産年齢人口は、1998年の8726万人をピークに減少に転じ、この12年間で1044万人(12%)も減って15年で7682万人、年平均60〜70万人が減り、今後も減り続けるのである。人口が減ることにはメリットもあって、経済全体がゼロ前後でも1人当たりのGDPは増え続けるということである。それをよしとする考え方もあって、GDP全体を増やすことはもはや目標ではなく(そうじゃない!というのが安倍の600兆円?!)、1人当たりが増えればそのほうが幸せなんじゃないのという考え方もありうる。
しかし犯罪的なのはクルーグマンで、人口減が日本の主要な問題の1つであることはとっくの昔から分かっているのに、それを考慮せずに、「お札を刷ればいいんだ」というお呪いを安倍の幼稚な頭に吹き込んで日本をめちゃめちゃにした責任をどうとるのか。
最後の逃げ場が人口減? 笑いますよね。藻谷浩介が2010年に出した『デフレの正体』で、すでに先駆的かつ全面的に解き明かしていたように、経済政策の問題の根本が「人口減社会=需要減経済」にどう対処するかにあることは、ほとんど自明のことなのである。
さあて、クルーグマンが「ご免なさい」ということになって、そのエピゴーネンの浜田や岩田はどう責任をとるのか。さらに、その受け売り専門の三流学者の進言を真に受けて、そのブードゥー経済学を国家方針にしてしまった安倍は、どう責任をとるのだろうか。
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