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さらなる賃金格差を招く内部留保課税 日本経済一歩先の真相/高橋乗宣
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/170434
2015年11月27日 日刊ゲンダイ
月内にまとめる緊急経済対策の目玉に「企業への賃上げ要請」という強権発動を掲げる安倍政権にも呆れるが、今の自民党内の発想にはつくづくア然だ。若手・中堅議員の間で企業に一段の賃上げや設備投資を促すため、「内部留保に課税すべき」との意見が盛り上がっている。経済閣僚からもさまざまな発言が飛び交っている。
企業の利益剰余金を指す内部留保の金額は、昨年度末時点で過去最高の354兆2774億円に達した。確かに「そんなに貯め込んで、どうする?」という気持ちは分からなくもないが、内部留保課税は言わずもがなの二重課税。法人税を払った後に残る利益に、さらにまた課税することになるためだ。
当欄で何度も指摘した通り、賃上げは企業の経営判断に委ねるべきだ。政治介入は、労働市場の需給に応じて賃金が決まるという経済原理を踏みにじることにもなる。
安倍首相が「新3本の矢」で「名目GDP600兆円」を掲げた手前、自民党も賃上げに遮二無二なるしかないのだろう。途方もない目標を2020年ごろに達成するには、名目で年率3%以上というハイペース成長が不可欠。その実現にはGDPの6割を占める個人消費の爆発的な拡大が必要で、そのための絶対条件となるのが賃上げだ。
政権トップの無謀ともいえる願いをかなえるためなら、与党議員たちはなりふり構わずだ。二重課税という禁じ手を用いてまで、盲従的に企業に賃上げを迫ろうとしているのだ。あたかも“バカ殿”が支配する中世国家に逆戻りしたようで薄ら寒いものを感じるが、そもそも史上空前の内部留保を積み上げている企業の大半は大手である。
中堅・中小・零細企業に視線を移せば、余剰金など「どこの国の話?」で、賃金を捻出するのに四苦八苦の企業だって多い。内部留保に課税したところで、賃金アップの見込みがあるのは、ホンの一握りの大企業に勤める人々のみ。日本の雇用の約7割を支える中堅・中小・零細企業で働く人々に“賃上げの波”は押し寄せてこない。
ましてや、人件費抑制のために雇われている派遣社員など非正規雇用の人々には、何ひとつ恩恵は行き渡らない。経済原理をネジ曲げた揚げ句、剰余金を取り崩しても不公平な賃金格差を広げるだけ。まさに「木を見て森を見ず」。すなわち、内部留保課税とは格差拡大策にほかならない。
生涯ハケンで低賃金の若者を増やす派遣法の「改悪」を強行しておきながら、今さら「消費拡大」を唱えるのもアベコベだ。こうしたバカげた策を打ち出す面々が経済政策を仕切っているのかと思うと、この国の将来に危うさを感じざるを得ない。(木曜掲載)
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