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これは「負の連鎖」。乙武洋匡の言い分にも一理ある
http://mainichibooks.com/sundaymainichi/column/2015/12/06/post-493.html
サンデー毎日 2015年12月 6日号
牧太郎の青い空白い雲 連載548
パリ同時多発テロの翌日だったと思う。
あの乙武洋匡(おとたけひろただ)さんがツイッターで「『国際社会は一致団結して、このテロに立ち向かうべきだ』と言うが、このテロを起こした犯行グループも含めて"国際社会"なのではないだろうか。『シリアで空爆を続けるフランスは許せない』という彼らの主張にはまったく耳を貸さずに国際社会から孤立させることが、本当に平和へと続く道なのか」と呟(つぶや)いた。
かなり過激だ。
予想通り反論が相次いだ。
「(ISは)話をして分かる相手じゃない」「国際社会に耳を貸さず蛮行を繰り広げているのは犯行グループの方でしょう」「テロリストの言い分を聞けって、さすがにこれはない」......そう思うのも、また当然である。
しかし、主要20カ国・地域(G20)の首脳が口を揃(そろ)えて「テロに屈しない!」「裁きを下す!」「破滅に向けた努力を倍増させる!」と言っても......フランスのバルス首相が「フランスで、欧州で、そしてシリアとイラクで、敵を叩(たた)き潰す! 私たちは勝利する」と叫んだとしても、これは報復の繰り返し。「負の連鎖」に終わる。
乙武さんのような意見が飛び出して当たり前だ。
× × ×
乙武さんは例の『五体不満足』の著者である。「障害は不便です。しかし、不幸ではありません」と言い切る新鮮なメッセージでベストセラー作家になった。だから、彼のツイッターには特定のファンがいる。
「即時性や多面性において圧倒的に優れるネットメディアに慣れ親しんだ私たちは、もはやテレビ報道から同様の満足感を得られることは難しくなっている」なんて書くので、メディアから無視されているようだが、彼の意見はネットにおける「一方の見方」であることは間違いない。
パリ同時多発テロ以降、何か言えば「テロの味方か!」と言われそうで、みんな、聞かざる、言わざるでジッとしているが、日本人の半分ぐらいは「テロに屈しない!だけでいいのかしら」と疑問を持っている。
× × ×
当のフランス人だって「空爆すれば事態は好転する」と思っているのは少数派だろう。
フランスのオランド大統領が空爆に踏み切った時、ただ一人、反対した指導者がいた。
「フランスの貴公子」と呼ばれるドミニク・ド・ビルパン元首相である。
メディアに「空爆すれば、世界各地に散らばるテロリストをフランスに呼び込むことになる」と主張した。その通りになった。
実は、彼、内務相時代に職権を乱用してサルコジ(当時大統領有力候補)の失脚を謀ったという"罪"で刑事被告人になったりして、政治的に窮地にあった人物だが、外務大臣だった2003年、イラク戦争開戦を強行しようとしたアメリカに対して強く反対した。
アメリカの国防長官ドナルド・ラムズフェルドから「開戦反対のフランスとドイツは古いヨーロッパだ」と皮肉られると、国連安保理で「フランスは古い国だからあえて反対する」と切り返した。
戦争より査察だ!と言い続けた。
彼が主張した通り、査察すると、イラクは大量破壊兵器を持っていなかった。戦争は誤りだった。イラク戦争がシリアに混乱を引き起こしたことも事実である。
だからドミニク・ド・ビルパン元首相が大統領になっていたら、フランスは「空爆」に参加しなかった、という見方が有力である。多分、フランス人も、冷静になれば「宣戦布告状態」に疑問を持つだろう。
× × ×
世界が排他主義に陥っている。
難民は空爆を続けるアメリカ、ヨーロッパに憎悪を募らせている。国境を封鎖する国もあって、難民の怒りは爆発寸前である。そして、お金持ちの国は難民を放り出す排他主義を煽(あお)る。
せめて「空爆」から遠い日本だけでも、「対テロ戦争」から距離を置こうではないか!
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