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大阪ダブル選を他山の石として参院選戦術構築ー(植草一秀氏)
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23rd Nov 2015 市村 悦延 · @hellotomhanks
大阪のダブル選で大阪維新の会候補が勝利した。
日本の既得権勢力の既得権を維持するための勢いは止まらない。
橋下維新を膨張させてきた原動力はメディア広報である。
メディアの候補がなければ、大阪維新を知る者は誰もいなかったはずである。
人為的に創作された政治勢力が橋下維新である。
メディアは人為的なこの創作物を組成するに際して、
「第三極」
という言葉を用いた。
その目的は、既得権勢力に対抗する政治勢力の一本化を阻止することにある。
1993年に55年体制が崩壊した。
自民中心の政治権力、そして、万年野党の社会党を軸とする野党勢力による
国会勢力図式が1955年に成立し、1993年まで38年間持続した。
しかし、1993年にこの図式が破壊された。
破壊した中心人物が小沢一郎氏であった。
爾来、小沢一郎氏は既得権勢力から、最重要警戒人物としてマークされ続けた。
小沢氏を攻撃するためのマスメディア連絡会である「三宝会」が組織されたのは1996年のことだ。
この「三宝会」メンバーが、いまなお、小沢氏攻撃の先頭に立ち続けている。
しかし、小沢一郎氏は、この小沢氏攻撃謀略をはねのけて、2009年の政権交代を成就させた。
既得権勢力は、目的のためには手段を選ばぬ、暴虐の限りを尽くしたが、
小沢−鳩山主導での政権交代成就を阻止することに失敗したのである。
しかしながら、既得権勢力はこの「改革勢力」に対する攻撃の手を緩めなかった。
ありとあらゆる謀略、暴虐の限りを尽くして、小鳩政権を破壊し、
2012年に旧制復古政権である第二次安倍晋三政権を樹立した。
それから、3年の時間が経過するのである。
このなかで、既得権勢力は、反体制の勢力が一本化することを阻止するために、
「偽装CHANGE」勢力
を人為的に創出した。
「CHANGE=改革」を偽装する勢力である。
この勢力は、裏側で、既得権勢力とつながっている。
主権者を欺く、「改革」の装いを纏う、既得権益の側に立つ勢力である。
この「偽装CHANGE」勢力として、最初に立ち上げられたのが「みんな」であった。
しかし、「みんな」の勢いは弱く、既得権籍勢力は、
「みんな」から「橋下維新」に「偽装CHANGE」の中心を移し替えた。
この過程で、「石原新党」もこの勢力に組み込んだのである。
原発を推進し、集団的自衛権行使を容認し、TPP参加を推進する勢力。
辺野古基地建設を推進し、格差拡大を推進する勢力。
これが既得権勢力である。
既得権勢力とは、
米国を頂点にした、官僚機構、大資本、利権政治屋、マスメディア
によって構成される利権複合体のことだ。
悪のピラミッドである。
2012年から2015年までの3年間に、悪のピラミッドは、日本を旧政に引きずり戻した。
悪のピラミッドに立ち向かう、主権者の勢力は、
これから実施される2回の参院選、1回の衆院総選挙に三連勝しなければならない。
この国政選挙三連戦に三連勝することによって、日本政治を再刷新できるのだ。
悪のピラミッドは、選挙の際に、安倍暴政に立ち向かう主権者の投票が分散することを目指す。
その一角として利用価値が大きいのが橋下維新なのだ。
民主や維新の中核を占有する自公補完勢力も、悪のピラミッドにとって、貴重な存在である。
安倍暴政を打破するには、敵方のこの戦術を見破り、それに対抗する戦術を打ち出さなければならない。
その手法は、
政策を軸に自公に対峙する候補者を一人に絞り込むことだ。
主権者が主導して候補者を一人に絞る。
そして、この候補者に、理念を共有する主権者が投票を集中させる。
これがオールジャパン候補の選定とオールジャパンでの選挙支援である。
橋下維新になど、関心を注ぐひまはない。
勝利の方程式を確定して、ひたすら目標に向かって行動することだけが重要である。
大阪の選挙を通じて得られる教訓は、
「勝てる候補者の擁立」
が極めて重要であることだ。
自公政権の基盤は脆弱であるが、それでも、総選挙の際に、自公に投票した主権者は24.7%存在する。
自民単独では17.4%だ。
6人に1人、4人に1人だから、安倍政権の支持基盤は極めて脆弱であると言える。
しかし、少なくとも、この支持を集めることができなければ、政権の奪取はできない。
2009年8月の総選挙で、鳩山民主党は得た票は、主権者全体の29.1%だった。
安倍自民の17.4%の2倍近い得票率だった。
29.1%の得票は無理でも、自公の27.4%の得票を確保しなければ、政権奪取はできない。
この得票を確保するには、候補者を厳選する必要があるのだ。
自公以外の野党勢力の結集を呼びかける動きがあるが、現実的な戦術にはなり得ないだろう。
なぜなら、この「野党」のなかに、「自公補完勢力」が混在しているからだ。
このことは、すでに
「戦争法」
の制定過程で明らかになっている。
次世代、元気、改革の各勢力は安倍自民の戦争法制定に協力したのである。
大阪維新も賛成であると考えられる。
さらに、民主、維新の中枢は、自公補完勢力で占有されている。
彼らは、
原発稼働、集団的自衛権、TPP、辺野古基地、格差拡大
に基本的に賛成の勢力である。
したがって、野党が結集しても、自公に対峙する政治勢力にはならない可能性が高い。
したがって、野党をひとつに束ねること
ではなく、
自公の政策に対峙する勢力を束ねること
が重要になる。
この政治勢力が、数の上で激減してしまっていることが問題だと思われるかも知れないが、
重要なのは、この考えに賛同する主権者が多数存在するのかどうかなのだ。
原発稼働、戦争法、TPP、辺野古基地、格差拡大
に反対する主権者の層は極めて厚い。
主権者全体の25%を超えていることは疑いようがない。
過半数を占有するのかどうかは、調べてみないと分からないが、分厚い支持層が存在する。
したがって、この政策を明示する候補者を、1選挙区に1人のかたちで、絞り込むことが重要である。
これをやり抜けば、勝利の道筋が必ず見えるはずだ。
多数ある野党から、自公と類似した候補者が擁立される場合には、
この候補者が自公票を食い荒らすことになる。
これは、主権者側の候補者が当選するのに、きわめて好都合な状況なのだ。
その際、きわめて重要なことがある。
それは、候補者を厳選することだ。
小選挙区制度の選挙では、「風」の力で、力量のない候補者が当選してしまうことが批判される。
しかし、上記、基本政策を明示する主権者側の候補であっても、
それだけで当選を勝ち取ることは困難である。
この候補者が選挙を勝ち抜くには、候補者自身に、
人びとの投票を引き付ける、「力」が備わっていることが必要である。
大阪ダブル選は、この点で十分な選挙にはならなかった。
敵方の支持基盤が脆弱であるとはいえ、これを打ち負かすには、
こちら側の力量が、十分に高いことが必要不可欠なのだ。
力量があり、人望があり、そして、信用を置ける、優れた人物を、
選別して擁立する作業を急がねばならない。
明確な戦略、戦術を描き、確実に実行するならば、必ず、勝利の方程式を描くことができるはずだ。
大阪の教訓を他山の石として、2016年参院選に向けて、候補者確定を急がねばならない。
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