http://www.asyura2.com/15/senkyo196/msg/816.html
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安倍政権が国連の「表現の自由」調査に突然延期要請!このドタキャンは普通の国では「通常見られない」。
http://blog.goo.ne.jp/raymiyatake/e/453ec210f875a7f8656b20f2815b35c3
2015年11月21日 Everyone says I love you !
国境なき記者団による報道の自由度ランキング。日本は安倍政権で過去最低の61位に。
民主党の時がそんなに自由だったという実感ないけど、記者会見の一部オープン化などが評価されたとのこと。たぶん、彼らには情報をコントロールする能力がなかったということだなw
もちろん、福島原発事故後、ガクッと評価が下がりました。
国連人権理事会で「表現の自由」を担当しているデビッド・ケイ特別報告者(アメリカ・カリフォルニア大教授)が2015年11月17日に明らかにしたところによると、12月1日から8日まで予定していた訪日調査を、日本政府が突然の要請で延期したということです。
岸田外相も11月20日にこのことを認め、
「予算編成作業や他の業務との関係で、政府として十分受け入れ態勢を整えることが困難な見通し。そのため、日程の再調整を申し入れた。先方の理解を得た」
としていますが、現時点で新たな調査日程は未定だというのです。
こういうのを無期限延期っていうんですよね。
ケイ氏は、日本訪問がキャンセルになった経緯をブログで報告。
https://freedex.org/2015/11/17/cancellation-of-official-visit-to-japan/
・
「私たちは、会合の設定や訪問準備に深く関与してきた。
先週金曜日、残念ながら、ジュネーブの日本政府代表部は、関係する政府関係者へのミーティングがアレンジできないため、訪問は実施できないと伝えてきた。
日本政府は、2016年秋まで訪問を延期すると示唆した。私は日本政府当局に対し、彼らの決定を再考するように要請した。
しかし、ジュネーブの日本政府代表部は昨日、公式訪問は実施できず、今やキャンセルされたと確定的に伝えてきた。」
ということです。
来年秋まで延期って、つまり、来年夏の参議院選挙後まで、安倍政権に不利な、余計なことはしに来るなってことですな。
ちなみに、国連の「表現の自由」報告者の前任者であるフランク・ラ・ルー氏は、2013年に特定秘密保護法が多くの反対を押し切って国会で通過した前後の時期に、国民の知る権利や報道の自由を脅かす危険性がある、ということで強い懸念を表明しています。
特定秘密保護法(秘密保全法)案は以下の理由から廃案にすべきです。
http://blog.goo.ne.jp/raymiyatake/e/578b2d37ddf2f53babc89a0c25051d8e
・
そこで、後任のケイ氏は、特定秘密保護法の施行や、自民党が2014年の衆院選を前にNHKとテレビ朝日幹部を呼びつけた問題など、日本の表現の自由をめぐる状況について、政府関係者らに面談して調査することになっていました。
テレビ朝日とNHKは報道機関である以上、自民党の事情聴取には応じるべきでない。他のマスコミは援護を!
http://blog.goo.ne.jp/raymiyatake/e/0175d8b561854d1b93c5bd1903f09010
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まさに、BPO(放送倫理公正委員会)から厳しく批判されたばかりの今、安倍政権がここが今一番触れられたくない部分なんでしょう。
放送法に関する最高裁判決と通説の通りだ→BPO委員長、首相らの批判に反論 政治介入に「NO」。
http://blog.goo.ne.jp/raymiyatake/e/c2228be13f4f7172c08986e048093ef3
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岸田外相が釈明していますが、予算編成なんて毎年この時期にするのは決まっているわけですから、予算編成のために十分受け入れられないなんて言い訳に過ぎません。
ちゅうか、臨時国会を憲法通りに召集しないことと言い、なんでもかんでもルーティンワークの予算編成を言い訳にすな!
安倍首相、憲法には「臨時国会を召集しなければならない」と書いてあるのに、何を与党と相談するのですか?
http://blog.goo.ne.jp/raymiyatake/e/cd23d5d29ef110e5e40a47b25c8bd2ab
・
ケイ氏の調査への協力を予定していた国際人権NGOのヒューマンライツ・ナウ事務局長で弁護士の伊藤和子さん(うちからもブログをリンクさせていただいてます)によると、国連の公式訪問に対して正式なInvitation(ご招待)を出しておいて、2週間前に断るなどということは、もちろん通常あり得ないことだそうです。
また独裁国家ならいざ知らず、国連と合意した公式訪問調査日程をドタキャンするというのは普通の民主主義国、人権を大切にする国ではほとんど例を見ないことだと言います。
うう、うちの国は、もうほとんど例を見ない民主主義国家なんですよ、伊藤先生。
ちゅうか、もう、半ば独裁国家!?
国境なき記者団が毎年発表している世界の報道自由度ランキングで、日本は民主党政権下の2010年には世界で11位だったのですが、2015年にはまたランクを二つ下げて、韓国の次の61位になっちゃいました。
その主な理由はやはり特定秘密保護法の制定。
我々は、安倍政権下の日本が、国際的に見てトンデモないことになっていることを自覚すべきようです。
この自由のなさがだんだん当たり前になってくるのが怖いんです。
安倍政権・言論弾圧の犯罪
浅野健一 著
社会評論社
最新刊。
放送や記事の内容をチェックし恫喝する自民党。戦後史上最悪の政権による言論弾圧だ。そして、ジャーナリズムの使命を忘れ、安倍首相と頻繁に会食を繰り返すマスコミ幹部たち。安保法制強行のなかで、完成しつつある安倍政権のメディア支配への警告!
政治報道のカラクリ 安倍政権誕生の真相 & 操られた平成選挙史
鈴木哲夫 著
イースト・プレス
第一章 つくられた「政権交代」
●2013年夏の参院選で自民党が隠していたこと
●「決められない政治」という秀逸なコピー ほか
第二章 政党と代理店に操られる選挙報道
●自民党と電通の関係
●「小泉郵政選挙」で始動したコミ戦部隊 ほか
安倍官邸と新聞 「二極化する報道」の危機 (集英社新書)
徳山喜雄 (著)
集英社
憲法改正、集団的自衛権、秘密保護法、靖国参拝、アベノミクス、対中・対米外交…。新聞は、それらをどのように報じた(報じなかった)のか。主要紙は「読売・産経・日経」vs「朝日・毎日・東京」という構図で分断され、相反する主張や論調が日々飛び交うなかで、私たちは何を信じればいいのか?
安倍政権のネット戦略 (創出版新書)
【辛坊持論】津田 大介 (著), 香山 リカ (著), 安田 浩一 (著), 鈴木 邦男 (著), 中川 淳一郎 (著)
創出版
月刊『創』にこの間掲載してきた論考をまとめ、大幅に加筆したもの。 安倍政権のメディア戦略について知るための決定版ともいえる1冊!
NHKはなぜ、反知性主義に乗っ取られたのか
上村 達男 (著)
東洋経済新報社
NHK前経営委員による最新刊。
「籾井会長は経営委員会が指名したのですから、私にも経営委員の一人としての責任があることは間違いありません。(中略)本書のような書物を出版することで、問題のありかをすべてさらけ出し、NHKの今後のあり方を検討するための素材を提供することこそが、私にできる責任の取り方と考えるほかはありませんでした。」
日本の「表現の自由」国連の調査が延期に
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20151120/k10010313791000.html
11月20日 15時02分 NHK
日本における表現の自由について、来月1日から行われる予定だった国連の特別報告者による調査が日本政府からの要請で延期されました。
これは、表現の自由を担当する国連のデービッド・ケイ特別報告者が自身のブログで明らかにしたものです。
それによりますと、ケイ氏は来月1日から8日の予定で日本を訪れ、報道の自由や、去年12月に施行された特定秘密保護法などについて調査する予定でしたが、スイスにあるジュネーブ国際機関日本政府代表部から、日程の延期を要請されたということです。
ケイ氏は、「対応できる当局者の日程の都合がつかないとして、来年秋への延期を提案された。今回の訪問はキャンセルされたが、日程の再調整が行われることを期待している」としています。
ジュネーブ国際機関日本政府代表部は、NHKの取材に対し、「代表部から、ケイ特別報告者に対して、電話で『日程上の都合で再調整をお願いしたい』と連絡した。時期については、お互いの都合のよい時期で今後、再調整することになっている」と話しています。
日程の再調整を要請した理由については、「政府として今の日程では万全の態勢で受け入れられないためだ」としています。
岸田外相「引き続き調整したい」
岸田外務大臣は閣議のあと記者団に対し、「国連から任命された担当者が来月1日から8日にかけて日本訪問を計画し、調整が行われていたのは事実だ。しかし、この時期は予算編成作業などとの関係で、政府として十分に受け入れ体制を整えることが困難な見通しなので、日程の再調整を申し入れ、先方には理解を得られたということだ。現時点で新たな日程は決まっていないが、引き続き調整したい」と述べました。
表現の自由 国連調査 予算編成理由に延期、外相認める
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201511/CK2015112002000259.html
2015年11月20日 東京新聞夕刊
岸田文雄外相は二十日の記者会見で、表現の自由を担当する国連のデービッド・ケイ特別報告者(米国)が十二月一日から八日まで予定していた日本での現地調査が延期されたことについて、日本政府側が予算編成を理由に延期を要請したことを認めた。
国連の調査が急に延期されるのは異例。岸田氏は「予算編成作業や他の業務との関係で、政府として十分受け入れ態勢を整えることが困難な見通し。そのため、日程の再調整を申し入れた。先方の理解を得た」と述べた。
現時点で新たな調査日程は未定。岸田氏は「引きつづき調整をしていきたい」と述べた。ケイ氏は十月下旬の国連総会第三委員会(人権)で、日本を十二月に訪れると公表していた。ケイ氏は国民の知る権利を侵害する恐れのある特定秘密保護法などに関し、日本政府当局者やメディア関係者、情報公開関連の市民運動家から、聞き取りを行う計画だった。国連の特別報告者は、国連人権理事会のもとで、各地の人権問題を調べる専門家。調査対象国との合意の上で年に数カ国を訪問する。
国連「表現の自由」に関する特別報告者が突然来日を延期。日本政府が土壇場でキャンセル
伊藤和子 | 弁護士、国際人権NGOヒューマンライツ・ナウ事務局長
http://bylines.news.yahoo.co.jp/itokazuko/20151120-00051621/
2015年11月20日 1時49分配信
国連ウェブサイトをスクリーンショット・国連特別報告者の日本訪問が合意されたと明記
■ 突然の公式訪問のキャンセル
国連「表現の自由」に関する特別報告者デビット・ケイ氏(米国人・国際法学者)が、12月1日より8日まで日本への公式訪問調査を予定されていました。
国連のオフィシャルなウェブサイトに日の丸マークで、
Agreed with dates from 1 December 2015 to 8 December 2015 (訳:2015年12月1日から8日の日程で合意された)
と記載されています。受入国政府との間で合意されたということを意味し、受け入れ合意がないものはこのウェブサイトには掲載されません。
国連「表現の自由」に関する特別報告者といえば、2013年に特定秘密保護法が多くの反対を押し切って国会で通過した前後の時期に、前任者であるフランク・ラ・ルー氏が、国民の知る権利や報道の自由を脅かす危険性がある、ということで強い懸念を表明し、日本政府に対して再考を求めたにもかかわらず、政府がこうした国連の声を全く顧みずに、採決に進んでしまった経緯があります。
それに加え、最近日本では、メディアに対する公権力の介入とみられる事態が続き、戦後かつてないほど、言論・表現の自由・報道の自由が危機に晒されているといえるでしょう。
こうした状況もあり、国連「表現の自由」に関する特別報告者の来日はまさに時機を得たものだと言えるでしょう。
ところが、驚いたことに、つい最近になってこの公式訪問が日本政府の都合でキャンセルになったとのことです。
前代未聞のことで私はとても驚きました。
ケイ氏自身が11月18日付のTwitterでDisappointedとこのキャンセルについてつぶやき、多数リツイートされるなどして既に国際的にも問題になっています。
■ どうしてキャンセルなのか
ではどうしてキャンセルなのでしょうか。デビット・ケイ氏本人が事情を説明しています。
彼のブログを英語ですが紹介しましょう。
During my presentation before the Third Committee of the General Assembly in October, I was able to announce that the Government of Japan had issued me an invitation to conduct an official visit from 1 to 8 December. A visit would be an important moment to evaluate certain aspects of freedom of expression in the country, such as the implementation of the 2013 Act on Specially Designated Secrets (about which the Human Rights Committee expressed concern last year), online rights, media freedom, and access to information.
・・これを和訳してみますと、
「10月に国連総会第三委員会でプレゼンテーションをした際、私は日本政府が、12月1日から8日にかけての私の公式訪問に対する招待を日本政府から受け取ったことをアナウンスすることが出来た。この訪問は、国連自由権規約委員会が昨年懸念を表明した2013年制定の「特定秘密保護法」の実施、インターネット上の権利、報道の自由、知る権利などの日本の表現の自由に関する一定の側面を評価する重要な機会となりえただろう。」ということです。
この文章は以下のように続きます。
We had been deep in the work of setting up meetings and preparing for the visit. Unfortunately, last Friday, the Permanent Mission of Japan in Geneva indicated that my visit would not take place as the Government would not be able to arrange meetings with relevant officials. The Government suggested postponing the visit until the fall of 2016.
I asked the Japanese authorities to reconsider their decision, but the Mission confirmed to me yesterday that the visit will not go forward and is now canceled.
・・これを和訳してみますと、
私たちは、会合の設定や訪問準備に深く関与してきた。先週金曜日、残念ながら、ジュネーブの日本政府代表部は、関係する政府関係者へのミーティングがアレンジできないため、訪問は実施できないと伝えてきた。日本政府は、2016年秋まで訪問を延期すると示唆した。私は日本政府当局に対し、彼らの決定を再考するように要請した。しかし、ジュネーブの日本政府代表部は昨日、公式訪問は実施できず、今やキャンセルされたと確定的に伝えてきた。
■ 浮かび上がる疑問
しかし実に不思議な話です。10月段階ですでに日本政府は公式訪問をOKしていたのです。その段階で、ミーティングがアレンジできないという事情はなかったはずでしょう。そのような事情があれば、OKを出す前に伝えるはずです。
実は福島原発事故後に国連「健康に対する権利」特別報告者のアナンド・グローバー氏が来日調査を行いましたが、2011年秋に訪問したいと言ったところ、日本政府は「まだ震災復興で日本全体が大変な状況で、対応できません」と述べて一年延びたことがあります。
今回は特にそのような事情もなく、10月時点でOKを出していたわけで、なぜ事情が変わったのでしょうか。
また、12月1日から8日までという長い間いるわけですから、政府関係機関とのミーティングがアレンジできないというのも不思議な話です。表現の自由を所轄する政府機関はどこで、誰が会えない、会いたくないといったのだろうか、というのも疑問です。
政府一丸となって、国連と会わないぞ、という姿勢を徹底しているのでない限り、会えないという理由を合理的に説明することは困難なように思われます。
共同通信等の配信記事によれば、
外務省は「予算編成などのため万全の受け入れ態勢が取れず、日程を再調整する」と説明している。
とのことです。しかし、外務省のウェブサイトを見る限り、ひっきりなしに要人が訪れ、もっと予算に関わりそうな話を展開している模様。なぜこの件だけ、事前にOKしたのに、予算を理由に断るのか、理解が出来ません。
そして、予算が理由であれば、なぜ来年秋までひっぱる理由もないはずで、もっと早期にリスケジュールできるはずです。
是非、国会で背景事情を質問するなどして聞いていただきたいところですが、臨時国会も開催されていないため、何もできない状況で、様々な意味で日本の現在の状況を象徴する事態となってしまっています。
■ 民主主義国として極めて異例な対応
日本は、国連の特別報告者によるいかなる調査も受け入れるオープンな国であるという表明を2011年に出しており、このことは国際社会から高く評価されてきました。
ところが今回、国連の公式訪問に対して正式なInvitationを出しておいて、2週間前に断るという、通常あり得ないことになったわけです。独裁国家ならいざ知らず、国連と合意した公式訪問調査日程をドタキャンするというのは普通の民主主義国、人権を大切にする国ではほとんど例を見ない、極めて遺憾なことです。
近年、日本政府が国連の人権機関からの勧告に従わないどころか、敵対的な姿勢を示すことがしばしばであり、国際的にも問題視されつつあります。そうした歴史に新たな負の一ページをつけ加えてしまうことはとても残念です。
特定秘密保護法や政府の言論介入など、最近の政府の対応に対しては、厳しい勧告が出ることが予想されますが、仮に、厳しいことを言われたくないので調査を拒んだとすれば、あまりに幼稚というべきではないでしょうか。
日本政府には国際社会との人権に関する対話の道を閉ざす方向に進んでほしくない、と切に願います。
また、国連特別報告者の来訪というのは大変貴重な予算や資源を使った重要な機会であるのに、それを無駄にしてしまったということも考えてみなければならないでしょう。
表現の自由に関しては、日本以外にもとても深刻な問題を抱えている国もあります。こんな直前のドタキャンでなければ、ほかの国に行けたかもしれないのに、結局貴重な訪問枠を潰してしまったことになるわけです。
海外の深刻な言論弾圧に関する活動もしている私たちヒューマンライツ・ナウとしては、そうしたことにも思いを馳せざるを得ません。
■ メディアこそ、もっと取り上げるべきでは。
ケイ氏のブログはこのように終わっています。
Of course, I hope that the visit will be rescheduled. In the meantime, we will continue to engage with the Government as we do with all governments through regular communications, meetings in Geneva and New York, and other opportunities as they arise.
和訳すれば・・もちろん、私も新しい訪問日程のスケジュールが決まることを希望する。同時に、日常的な意思疎通や、ジュネーブ、ニューヨークでの会合やその他の機会を通じて、日本政府には他の政府と同様に関与を継続していく。
とのことですね。
NGOの間でも外務省に問い合わせたり、早期訪問を求めるなど、相談をしているところです。
しかし今回の問題はメディア、表現の自由に関わること、日本のメディアこそが、こうした事態をきちんと報道したほうがいいのではないでしょうか。
そもそも、高度な言論・表現の自由が保障されてきた日本で、報道の自由、言論の自由が危機的な状況に陥り、国連が心配して調査に入るような事態になってしまったこと自体深刻に受け止めるべきです。そして、その調査についても政府が突然ドタキャンしてしまう、そのような動きも報道せず、スルーするということで、果たして権力へのチェック機能がきちんと果たせるのでしょうか。
政府のあり方も、メディアのあり方も、問われています。
「報道の自由度」ランキング、日本はなぜ61位に後退したのか? 日本大学大学院新聞学研究科教授・福田充
http://thepage.jp/detail/20150304-00000004-wordleaf?pattern=2&utm_expid=90592221-44.iIeVhoXLRU-r6cUsT3743Q.2&page=1&utm_referrer=http%3A%2F%2Fthepage.jp%2Fdetail%2F20150304-00000004-wordleaf%3Fpattern%3D2%26page%3D2
2015.03.04 17:29 The Page
[写真]2013年11月21日、秘密保護法案に反対する大規模集会が都内で行われた。「報道の自由度」ランキングにおける日本の順位低下に拍車をかけたのは、特定秘密保護法の成立だった。
国境なき記者団が発表する「世界報道自由度ランキング」で、2015年に日本が順位を61位まで下げたことが大きく報じられた。その理由は何なのか。言論・報道の自由が保障されている「はず」の日本に対して、なぜそのような評価がなされるのか。その背景を考察したい。
世界報道自由度ランキングとは?
「国境なき記者団」(Reporters Without Borders, http://en.rsf.org/ )は、世界の報道の自由や言論の自由を守るために、1985年にパリで設立された世界のジャーナリストによるNGOである。活動の中心は、世界各国の報道機関の活動と政府による規制の状況を監視することであり、その他にも、世界で拘束された記者の解放や保護を求める運動や、戦場や紛争地帯で危険に晒された記者を守る活動など、幅広い活動が展開されている。
その中心的な活動である世界各国の報道機関と政府の関係についての監視と調査の結果をまとめた年次報告書が「世界報道自由度ランキング」(World Press Freedom Index)である。これは2002年から開始された調査報告書であり、世界180か国と地域のメディア報道の状況について、メディアの独立性、多様性、透明性、自主規制、インフラ、法規制などの側面から客観的な計算式により数値化された指標に基づいたランキングである。つまり、その国のメディアの独立性が高く、多様性、透明性が確保されていて、インフラが整備され、法規制や自主規制などの規制が少ないほど、メディア報道の自由度が高いとされる指標である。
世界的なトレンドは?
[図]世界報道自由度ランキング。白、黄色、オレンジ、赤、黒の順で順位が低くなる
2002年から2015年までの間で13回発表されているが、国際的には、フィンランド、ノルウェー、デンマークなどの北欧諸国の報道がランキングの上位を占めてきた。一方で、毎年の変動はあるものの、アメリカやイギリス、フランスといった先進国は、その時代情勢によって10位代から40位代の中間よりやや上位を推移している。
また、中国や北朝鮮、ベトナム、キューバといった社会主義諸国のランキングは170位代前後を推移し、常に最下位レベルである。中東のシリアやイラン、アフリカで紛争の続いたソマリアやスーダンなどのランキングも常に最下位レベルである。このように、国家の体制により、または国内の政治情勢により、政府とメディアの関係は大きな影響を受け、メディア報道の自由度が決まってくるという考え方である。同報告書では、2014年に報道の自由が世界的に低下したとされており、その一因をイスラム国やボコ・ハラムなど過激派組織の活動によるものと指摘している。
日本の評価は?
日本のランキングは2002年から2008年までの間、20位代から50位代まで時代により推移してきたが、民主党政権が誕生した2009年から17位、11位とランキングを上げた。2008年までの間は欧米の先進諸国、アメリカやイギリス、フランス、ドイツと変わらない中堅層やや上位を保っていたが、民主党政権誕生以降、政権交代の実現という社会的状況の変化や、政府による記者会見の一部オープン化もあり、2010年には最高の11位を獲得している。
しかしながら、2011年の東日本大震災と福島第一原発事故の発生の後、2012年のランキングでは22位に下落、2013年には53位、2014年には59位を記録した。そして今年2015年にはついに過去最低の61位までランキングを下げる結果となった。自由度を5段階に分けた3段階目の「顕著な問題」レベルに転落した状況である。
なぜ日本の順位は後退したのか?
世界報道自由度ランキングのレポートでは、日本の順位が下がった理由を解説している。ひとつは東日本大震災によって発生した福島第一原発事故に対する報道の問題である。例えば、福島第一原発事故に関する電力会社や「原子力ムラ」によって形成されたメディア体制の閉鎖性と、記者クラブによるフリーランス記者や外国メディアの排除の構造などが指摘されている。
戦争やテロリズムの問題と同様に、大震災や原発事故などの危機が発生したときにも、その情報源が政府に集中することにより、「発表ジャーナリズム」という問題が発生する。政府が記者会見で発表した情報をそのまま鵜呑みにして報道する姿勢である。また、同様に戦場や被災地など危険な地域に自社の記者を派遣しないで、フリー・ジャーナリストに依存する「コンプライアンス・ジャーナリズム」の問題も重要である。メディアとしての企業コンプライアンスによって、危険な地域に自社の社員を派遣できないという状況から、危険な地域に入るのはフリー・ジャーナリストばかりになるという構造的問題である。
このような日本のメディアの状況下で一昨年に成立した特定秘密保護法の成立が日本の順位下落に拍車をかけた形である。特定秘密保護法の成立により、戦争やテロリズムに関する特定秘密の存在が自由な報道の妨げになるという評価である。日本が置かれる国際状況や、日本国内の政治状況が大きく変化している現在こそ、日本のメディア、ジャーナリズムに自浄作用と改革が求められている。
福田 充(ふくだ・みつる)
1969(昭和44)年生まれ。コロンビア大学客員研究員を経て、日本大学大学院新聞学研究科教授。博士(政治学)。東京大学大学院・博士課程単位取得退学。専門はテロや災害などメディアの危機管理。内閣官房等でテロ対策や危機管理関連の委員を歴任。著書に『メディアとテロリズム』 (新潮新書) 、『大震災とメディア〜東日本大震災の教訓』(北樹出版)などがある。
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