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2015年11月21日
こんな見出しを書くと、市場原理主義者や安倍官邸、甘利経産相、ネトウヨ、日経‥等を喜ばせてしまうのだが、書こうとしている内容は、“TPP擁護論”ではない。国の垣根をなくして、相互に強みを最大限に生かし、弱点を相互に補い合うユートピアのような貿易協定なのだ。逆に言うと、国境の概念を経済的には取り払おうと云うことだが、先進諸国において、自国の関税と通貨の発行権利を放棄すると云うことになる。
独立国にとって、自国の産業を、国家の意志として、守るか開放するかは、本来是々非々なものである。無論、世界中を市場原理主義で統一して、弱肉強食市場を隅々まで普及させた時には、総体的には、平準化されることもあり得る。しかし、東西冷戦が済めば、平和になるかと思いきや、東西冷戦時以上に、問題解決が不可能に近い「文明的衝突」が顕在化している。つまり、TPPそのものは、非常に挑戦的な試みではあるが、この成立の経緯を見るまでもなく、政治的な交渉の場であり、まさにパワーゲームの場に過ぎなかった。アメリカの思い通りのTPPを日本がアシストした経緯は歴然としている。
この「文明の衝突」が顕在化した世界で、世界中を市場原理主義で統一出来ると考えるのは絵空事であり、「文明の衝突」と云う解決の糸口さえ見えない状況においては、つまみ食いの領域を出ることはない。欧米の「普遍的価値」の押し売りが、「文明の衝突」(一神教である、キリスト教とイスラム教)に油を注いでいると見るのが、現状の理解だ。TPPの神髄にもキリスト教文明と云う基盤が存在する。世界の33%を占めるキリスト教は、世界一の宗教人口を抱えているが、過半数にも達していない。
欧米の「普遍的価値」は当然のようにキリスト教に基盤を置いているのだから、日本会議の連中などは、安倍晋三が「普遍的価値」の共有などと云う言葉を口にして平気でいられると云うことは、彼らが信奉する「神道」への信仰心に疑問を持たざるを得ない。まあ、世界的な評価においては、わが国は仏教国に分類されているのだから、「神道」が伝統的文化様式乃至儀式と云う評価しかないとも言えるので、それを自覚しているのかもしれない。
百科事典「ブリタニカ」年鑑2009年版を参照する限り、キリスト教文化圏人口が33.4%。イスラム教文化圏人口が22.2%。ヒンドゥー教文化圏人口が13.5%。仏教文化圏人口が5.7%。無宗教、無神論が13.6%。中国伝統的宗教5.7%。その他に、バハーイ教、儒教、道教。神道も0.0%だが、278万人いることになっている。日本会議の連中が騒ぎ出さないようにと、ブリタニカも配慮したようである。場合によると、ブリタニカに圧力が掛かった?まあ、これは筆者の憶測の域だ。
気がつくと、横道にそれてきた。見出しの話に戻ろう(笑)。アメリカとオーストラリアは、日本市場参入の垣根が徐々に取り払われ、我々の農産物が、思うように売れると云う皮算用しきりのようである。果たして、そのようになるかどうか、筆者は個人的に、「アンタら、日本人の舌を、舐めてんじゃねえの?」と皮肉の一つも言いたい気分だ。大食漢病に冒されている日本人によっては、米国料理とか豪州料理に舌鼓を打つかもしれないが、個人的には、あんな料理一生食わなくて結構だ。
ある時、それ程リッチな育ちではなかった高校生三人を連れて、そこそこのレストランに入った。筆者は、ひと奮発と和牛ステーキを奢ることになったのだが、これがいけなかった。三人とも、食べている時は美味しい美味しいだったが、後がいけない。一人は、顔面蒼白、トイレに駆け込むし、残りのふたりも翌日下痢だったそうだ。つまり、彼らは、生来のオージービーフ育ちであったので、和牛の脂身に参っていたのだ。まあ、それ程、海外の肉と和牛には違いがある。
和牛育ちでない人々にとっては、外国産の肉が安くなるのは歓迎だろう。しかし、前述の高校生の話を別にすれば、和牛の方が、高いが美味しいのは確かだ。過激な霜降り肉が美味しいかと聞かれれば、さて?そこまで柔らかいものを食いたいなら、豆腐でも食べ続けたら如何かと言いたくもなる(笑)。外国産の肉が選択されるのは、断然安いからで、断然美味しいからではない。農業を、規模で簡単に数値化する考えは、文化程度が低い国だから、通用する話。致命的な言い方をすれば、歴史のないところは、食の歴史も文化も貧弱なものである。
上記の話は牛肉のことだが、豚肉も鶏肉にも言えるだろう。米にしてもだ、国産米と米国産米と表示さえあれば、まず日本人の多くは国産米を買うだろう。肉類も、コメも、野菜や果物も、一定水準に達している家庭では、日本産の購入行動は、安いと理由で、大きく変動するとは考えられない。米豪は、牛肉戦争で勝利したような気分だろうが、価格戦争だけで、日本人の消費者を支配しようと云うのは百年早い。以下は、日本市場を席捲できる勘違いで我が物顔の米農務長官の話だ。
≪ 米農務長官、牛肉の対日輸出「豪産と競争可能」 TPPで意欲
来日したトム・ビルサック米農務長官は20日、都内で日本経済新聞に対し、環太平洋経済連携協定(TPP)で関税が下がる米国産牛肉が「(日本でシェアを伸ばす)オーストラリア産に対抗できるようになる」と述べ、対日輸出の拡大に意欲を示した。
米国から日本に牛肉を輸出する際にかかる関税は現在38.5%。TPP発効後に段階的に下がって16年目に9%になる。
ビルサック氏は「需要の掘り起こし策が重要だ」と指摘。日本の外食店や食品スーパーと協力して、安全性や品質を日本の消費者に訴える取り組みに力を注ぐ方針を明らかにした。
ライバルで首位の豪州産牛肉は今年1月に発効した日豪経済連携協定(EPA)で関税が先に下がった。ビルサック氏は関税面で条件が同じになれば、米国産が豪州産からシェアを奪えるとの認識を示した。
TPPを巡る日米交渉で焦点となったコメは高関税を保つものの、米国に7万トンの無関税輸入枠を新たに割り当てることで合意した。ビルサック氏は「以前と 比べれば、米国産のコメの流通が日本市場で増えることは前向きに評価している」と述べた。その上で当面は日本政府に関税削減など一段の自由化を求めず、 TPPで合意した輸入枠拡大などの施策に集中すべきだとした。
TPPが正式に発効するためには米国議会の承認が欠かせない。ビルサック氏 はTPPが米国にもたらす経済的な利益への理解が広がることで「米国の批准には100%自信がある」と述べた。米議会では来年2月にも関連法案が提出さ れ、その後批准に向けた法案審議に入る見通し。批准の時期は「2016年の半ばまでが望ましい」と述べた。
TPPには韓国やフィリピン、 インドネシアなどからも参加の意向が相次いでいる。ビルサック氏はこうした国々の追加参加について「TPPが求める高い(自由化の)条件を満たすならば、 排除する理由はない」と語った。ただ「優先すべきは現在の参加国による批准だ」と強調し、批准前の他国の新たな参加には慎重な考えを示した。 ≫(日経新聞電子版)
長官も漏らしているように、各国議会がTPPに批准するかどうか、瀬戸際らしいので、このコラムもフライングになるかもしれない。正直、TPPが各国議会で承認され、批准まで行ったとしても、彼らが考えるほど、日本の消費者が甘くないことを、いずれ理解することになる。ウオールマートのアメリカ人消費者と同等だと思って舐めてかかれば、アメリカ車が、殆ど売れないのと同じ憂き目を見るのだろうと考えている。頭に来た彼らが、「国産表示はISD条項違反だと言い出すのではないかと、今から危惧している。
TPPの協定の内容は、他の分野における安倍政権の売国的分野の打撃の方が遥かに大きいに違いない。ただ、このコラムは、「日本人の舌を舐めちゃいかん!」の趣旨なので、他のことには触れない。小泉進次郎の今後は、以下のように、「日本産表示」と云う、消費者に対する最大のアピール力を、武器として生かせるか、また、以下の記事では触れていないが、ファミレス、各種食堂における「生産国表示」をどのように指導するか、或いは、外食業界が、「国内産材料使用」を集客の手段として取り入れるか否か、その辺にも注目しておきたい。
≪ 小泉進次郎氏が挑むTPP対策 “原産地表示拡大”の難しさ
TPP(環太平洋経済連携協定)で打撃を受ける国内農業への支援策の目玉として、原産地の表示を義務付ける食品を増やす案が浮上した。
政府は11月までにTPP対策の大綱をまとめる予定。農業対策は自民党農林族が中心となって検討してきたが、既存政策の拡充がほとんどで、一般の 議員からは「目新しさに欠ける」といった指摘が続出。「インパクトのある農業支援策が打ち出せなければ、来夏の参議院選挙で勝てない」との危機感が募っていた。
ところが11月11日、自民党本部でのTPP関連の会合後、新任の小泉進次郎農林部会長が記者団に「国産なのか、外国産なのか、食品の原産地表示をしっかりやっていくのが時代の流れだ。消費者も求めている」と述べたことで、風向きが変わった。
生鮮食品や漬物など一部の加工食品に限られてきた原産地表示の拡大は農業従事者のたっての願いだ。立石幸一・JA全農食品品質表示管理・コンプライアンス部長は「本気で農業を守るなら、とにかく原産地表示で消費者が国産を選べるようにしてほしい」と話す。
例えば、TPPで輸入が増えるとみられる豚肉。「とんかつ」の豚肉が輸入品でも、消費者はそのことを知らない場合が多い。「とんかつ」を総菜として売るスーパーや外食店に、豚肉の生産国を表示する義務はないからだ。 ・当然のことながら、食品メーカーや外食企業は原産地表示の拡大方針に反発している。外国産を名乗ることによる販売減や、表示のためのコスト増を懸念 しているのだ。政府内でも表示拡大への慎重論は根強く、小泉氏が農林部会長として挑む初仕事は一筋縄ではいかない。原産地を表示する加工食品を増やすには、河野太郎消費者担当相が消費者庁の有識者会議を動かさなければならない。その上、外食にまで表示義務を広げるとなると法改正も必要になる。現実的には、個別品目ごとに農業従事者と食品メーカーなどとの妥協点を探るしかない。
自民党内では、消費税の増税時に税率を据え置く軽減税率の対象食品に原産地表示を義務付ける案も出ている。だが、ただでさえ調整が難しいテーマに、あえて農業対策を抱き合わせる戦略が吉と出るかは不透明だ。
■畜産農家に大盤振る舞い
既存の農業政策の拡充については着実に方向性が定まってきている。特に経営の合理化を進めてきた畜産農家には予算を大盤振る舞いする。(1)畜産農家の赤字を補填する経営安定対策の法制化、(2)個別の畜産農家が設備投資に使える補助金の増額などが柱となる。
もっとも、政府は予算のバラマキ批判は避ける構え。畜産農家と同水準の合理化を目指すコメや野菜などの担い手農家まで盛り上げていけるのか。小泉氏の手腕が問われている。
≫(ダイアモンドONLINE:「週刊ダイヤモンド」編集部 千本木啓文)
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