http://www.asyura2.com/15/senkyo196/msg/751.html
Tweet |
「「緊急鼎談 樋口陽一×小林節×小沢一郎 憲法を語る」:岩上安身 氏」
http://sun.ap.teacup.com/souun/18871.html
2015/11/20 晴耕雨読
https://twitter.com/iwakamiyasumi
・
これより、2015年4月20日に行われた「緊急鼎談 樋口陽一×小林節×小沢一郎 憲法を語る」の模様を報告ツイートします。
憲法学者の樋口陽一氏と小林節氏、衆議院議員の小沢一郎氏が登場。
司会は慶応大学教授の堀茂樹氏。
堀茂樹氏(以下、掘氏)「憲法への認識が増し、立憲主義の危機に対し、国民的議論がわき上がることを期待します。各氏15分のスピーチの後、自由討論。最後にまとめを語っていただきます。まず、樋口陽一先生からお願いします」
樋口陽一氏(以下、樋口氏)「憲法とは何か。民主主義と立憲主義は対立するのか。まず、歴史から論理を抽出してみます。民主はデモス、支配はクラシア。人民支配の意味。立憲主義はコンスティテューショナリズム(Constitutionalizm)」
樋口氏「これは法の支配のこと。デモクラシーは選挙と政治。立憲主義では裁判官が大きな役割を演じる。人民が勝手に決められないように、裁判の独立があり、両者が微妙な力関係の中で、対話が成り立たないとダメなんです」
樋口氏「日本国憲法は押しつけられた、などと聞くが、誰にとって押しつけなのか。フランスの人権宣言と憲法。これは、王様にとっては押しつけられたもの。アメリカの独立宣言と憲法。イギリス人にとっては押しつけられたもの」
樋口氏「終戦直後の日本の指導者層にとって、現行憲法は押しつけだったが、多くの一般国民は、これで新しい日本ができると思った。日本はポツダム宣言を拒否することもできたが、それを受諾した。憲法は押しつけとは言い難い」
樋口氏「(改憲が取り沙汰されているが)『憲法を改正すべきか』との言い方自体が間違っています。それ以前に、改正する理由、見通し、影響などを、国民が議論しなければならない」
小林節氏(以下、小林氏)「国民と国家の関係についてですが、自民党改憲草案に『国民は国家を愛せ、家族と仲良くしろ、国旗に敬意を表せ』とある。あの人たちは憲法を使って国民に命じている。まったくの勘違いだ」
小林氏「米国の憲法が世界初の成文憲法(1788年)。その後、フランス革命。当時は王制か植民地しかなく、世界の三大王国はイギリス、スペイン、フランス。アメリカは、ジョージ・ワシントンが国を作らざるを得なかった」
小林氏「ワシントンに『王になれ』との要求もあった。しかし彼は、『イギリスの愚かな王族と闘ったではないか。アメリカを愚かな専制国家にしてはならない』と世界で初めて民主国家を作った。統治のためトップを投票で決めた」
小林氏「それまでの統治者は神の血筋を背景にした。生身の人間が統治するので憲法の枠組みを作り、大衆が権力を管理する。それを教えてこなかったのを自民党が逆手にとった。日本国憲法の基本理念は国民主権、人権尊重、平和主義です」
小林氏「アメリカ独立戦争で、『この世界は、私たち一人ひとりが幸せになるためにある』と明言した。そのためのサービス機関が国家権力。それが誤作動したらクビにもするし、憲法の書き換えもします、と。つまり、革命権ですね」
小林氏「日本国憲法はとてもいい。幸せの条件は、何事にも束縛されず、自由で豊かなこと。戦争より平和の方がいい。それを管理し増進するのが国の仕事なら、皆で相談して国を運営するのが民主主義。人権尊重は、個人を尊重し合うこと」
小林氏「戦争の危機を除去するのが平和主義。明治憲法では天皇(国王)主権、軍の統帥権の独立。天皇の名を出せば、軍は勝手に何でもできた。当時の人権は、天皇が認める限りの自由。しかし人権とは、おかしな政府を張り倒す権利だ」
小林氏「自民党はハーグ国際法を根拠に『GHQが現行憲法を押しつけたことは違法』だと言うが、ポツダム宣言で、日本は民主化、人権の補強、軍国主義の除去を約束した。つまり、国際法うんぬんは、つまらん小理屈なんです」
小林氏「憲法は国家権力を管理するマニュアルだから、時代の推移に応じて微調整すればいい、と私は思う。ただし、現時点での憲法改正は断じてすべきではない。あの(自民党の)思い詰めた人たちが憲法をどうするのか、不気味です」
小林氏「自民党議員は99条の憲法尊重擁護義務を理解できないらしい。そんな人たちに憲法を変えさせるわけにはいかない。もし、彼らが国会で3分の2を占め、改憲を発議されても、国民投票で覆せばいい。あきらめないでください」
小沢一郎氏(以下、小沢氏)「憲法は、国民のよりよい生活のための最高の規則。自民党の改憲草案は、旧体制的な価値観の人たちが作ったようで、そこに見えるのは『国家あっての国民』という視点。だが、憲法はみんなのためのものだ」
小沢氏「公権力の乱用から、国民の基本的人権を守ることが憲法の本来の役目。自民党改憲草案は根本的に憲法の理解が間違っている。国民のよりよい生活のためには改正議論はあってよいし、不都合があれば変えることを否定はしないが」
小沢氏「自民党は国際法などを根拠に『第三国の占領下における憲法・法律は占領終了後、効力を失する』と主張する。自由な意思表示ができない中での同意は無効、という民法もある。しかし、現行憲法は国民が受け入れて70年です」
小沢氏「安倍総理に、現行憲法が占領軍の押しつけでダメというなら新しい憲法を作り直す以外ないと話すと、『いや、いいところは残す』と言う。自民党的言いがかりの防止に、日本が独立した時に国会で議決しておけばよかったと思う」
小沢氏「一番の問題は憲法9条の改変ですが、国連を中心とした集団安全保障と集団的自衛権は別モノ。にもかかわらず、ごちゃまぜにしてごまかそうとしている。私は、集団的自衛権より、個別的自衛権の拡大解釈を危惧します」
小沢氏「改憲草案の9条2項に『国民の安全を確保するため』とあるが、明治憲法で『邦人の生命、財産、権益を守るために」と出兵したのは個別的自衛権の発動だった。今回も外国の邦人救出を言うが、勝手に自衛隊を送り込めるのか」
小沢氏「議会制度の改革についても、まったく議論がない。衆・参議院が同じことを繰り返しているのは時間と経費の無駄。憲法創設当時もこの点が大きな問題になり、参議院は衆議院のチェック機関にすべき、との議論があった」
小沢氏「96条の改正要件だが、改正を困難にするために3分の2の賛成が必要だ。民主主義が成熟した社会なら(2分の1でも)いいかもしれないが、今日の状況では時期尚早。いずれにしても、自民党改憲草案は根本的に認識が間違っています」
堀氏「自民党は『押しつけ憲法だ、占領下に制定された憲法に正当性はない』と言うが、正当性がない憲法を、改正すると言うのもおかしな話ですね。まず、樋口先生に、憲法の制定と改正の違いをおうかがいします」
樋口氏「憲法を作る、制定。法律を作る、立法。中世西洋では法は人間の作るものではなく発見されるもの、創造するものではないという考え方でした。それを『憲法は作られるべきもの』とフランス革命の革命議会でシェイエスが言った」
樋口氏「憲法を変えることは、改正です。改正であるため、憲法の基本的な約束事には触れてはならない。手続き上もルールが必要。基本的人権、国民主権、平和主義。これを変えるには改正ではできない、という議論があります」
小林氏「基本的人権、国民主権、平和主義はいいに決まっていて、変える必要はない。しかし、9条があいまいだから今の安倍総理の暴走を許している。専守防衛のために自衛軍は持つ、国連決議には自衛軍は出すなどに変えてもいいと思う」
樋口氏「改憲に賛成か反対か、というのはナンセンスなんです。日本は、平和条約11条、極東軍事裁判の受諾を批准した。日本は、そこから始めざるを得ない。その(極東軍事裁判で裁かれた)戦犯を祀った靖国神社に、安倍総理は参拝した」
樋口氏「アメリカの知識層の間では、平和条約を受託した日本が平和条約を破棄するのか、と問題になっている。そういう中で憲法を動かすことはいいのだろうか」
堀氏「小沢氏に、前文のいう国際協調と9条の関連についてお聞きします」
小沢氏「私は憲法の基本3原則プラス国際強調主義の4原則と言っています。それを変えるのは改正ではなく革命です。明治憲法の改正規定でもって日本国憲法を改正したと言うが、天皇から国民主権にしたので、改正規定ではできないはず」
小沢氏「憲法9条は、自衛権の発動のみ。他国では、自衛権発動の行使はしてはならない。ただし、国連の加盟申請と受託、国際社会への声明を鑑み、国連の平和活動の参加を通じて日本の平和にも寄与する、という考えです」
小沢氏「日米安保があり、日米同盟に反するという議論があるが間違い。国連の決定がある時、日米の作業はその時点で終わる。国連活動のタイムラグに限り、国連憲章にもあるように、個別的、集団的自衛権で反撃できるとなっている」
小沢氏「国連憲章、日本国憲法、日米安保は、理念において三位一体です。自民党改憲草案は、その点もあいまい。140年前の明治憲法すら立憲、民主主義的に思えるほど国家主義的な改正案だ。その意味では、改正ではなく革命でしょう」
小林氏「日米安保については、国連へのスポンサーや日本の国際的な影響力を考えると、ある程度の軍的支援は必要。その際、国とは切り離し、軍を国連に託してしまい、国連の警察、軍にすると述べた小沢学説を、今は理解できます」
樋口氏「国連の集団安全保障は、国連そのものです。当初、警察活動が理念だった。ところが米ソ冷戦になり、集団的自衛権を国連憲章51条に入れ込んだ。冷戦崩壊後、地域紛争が多発。有志連合の言葉も生まれ、集団安全保障も変貌した」
樋口氏「イラク戦争で、フランスとドイツはアメリカに強く異を唱えた。シリア内戦のアメリカとフランスの軍事介入の際、イギリス議会は反対した。小沢氏のビジョンを進めるためには、自主的にノーと言える日本でないと、とても危険です」
小沢氏「多国籍軍、有志国連合は憲法違反。集団的自衛権で特定の国を攻撃することはリンチです。あくまでも、国連の決定での軍事行動でなければ参加はできない。湾岸戦争の時は、中ソは欠席したが、国連安保理で満場一致で可決した」
小沢氏「当時、私は自民党幹事長で、国際協調主義、平和主義の理念に基づき賛成した。安保理事会、国連総会に限り承認、要請には参加する、と明確にすべきです。日本は憲法9条を基にすればいいと思います」
堀氏「NHKやマスコミの報道では、集団的自衛権と集団安全保障がまったく区別されていません。自民党改正草案はどう思いますか」
小林氏「勘違いなんですね。前提となる基礎知識がない。専門家の傲慢だと言うが素人の怠慢でしょう」
小林氏「まず、憲法とは何かを、わかっていない人たちと議論しても空しいだけです。権力者を縛るためなのに、2分の1で変えられたら、何の歯止めにもならない。権力がある人でも、触れられないのが前提です」
樋口氏「改憲草案は戦前の憲法より古い。明治憲法は発布勅語、国文(こうもん)は神懸かり的な文章です。しかし、第一条以下の本文で、当時の外交用語で違和感のある言葉はひとつもない。例えば第3条『天皇は神聖にしておかすべからず』」
樋口氏「戦前、猛威を振るった文言だが、法律的には王様の民事・刑事罰の免責です。フランス憲法は国民主権を前提にし、王様を神聖不可侵と定めた君主制。それがドイツを経て日本に来た。帝国憲法は当時の国際政治をきちんと踏まえている」
樋口氏「伊藤博文総理は、進歩派の森有礼文部大臣の質問に『憲法制定の時、臣民の権利は書く必要がない。憲法は第一、君権を制限し、第二に臣民の権利を保全する」
と応じ、森大臣は『権利なるものは臣民の天然保持するもの』(続く)」
樋口氏「『憲法ではじめて与えられるものにあらず』と反対演説をした。つまり、憲法に書いてあったら、削ってしまうと本来の趣旨が満たされなくなるとの意識だった。その森大臣は、帝国憲法発布の日に極右に暗殺されました」
小沢氏「改憲草案は考え方がとても古い。戦後体制の否定です。日本では報道されないが、欧米でも危惧は強い。メルケル独首相が歴史認識を問い質したと言うが、今までの外交上あり得ない。つまり、それはアメリカの本音でもあるんです」
堀氏「改憲草案では、個人の概念を無視しています。この点については」
樋口氏「憲法で一番大事な条文は13条。すべて国民は個人として尊重されるということ。憲法は国家と国民のルールです。西ドイツ憲法の第1条は『人間の尊厳』です」
樋口氏「ヨーロッパ連合の基本ルールでも冒頭に取り入れ、法のシステムでも基本概念になっています。ナチスは国民主権で台頭したんです。自民党改憲草案では『人として尊重される』と変えた。『人間』だとドイツ憲法になるから」
樋口氏「それで『人間』が『人』になったのでしょう。人類不変がキーワードの前文は、人権ぶりがありよろしくないと、全部差し替えた。人類不変、国際協調主義、開かれた日本を排除し、日本らしさを強調した」
樋口氏「それをフランス人記者に訳して伝えたら、国、郷土、家族が憲法の中に反映されている、と敏感に反応した。ヒトラーにいち早く従属した仏ヴィシー政権は、憲法の自由・平等・友愛を、祖国・家族・労働に改憲した。それと同じだと」
樋口氏「言葉自体は悪くないが、ある歴史的背景の文脈の中で憲法に書き込むと、それを知る人たちには大きなショックになる。現行憲法22条1項 職業選択の自由で『公共の福祉の制約に服する旨、何人も公共の福祉に反しない限り』とある」
樋口氏「ところが、改正案22条では制約を失くしていて、競争市場主義の強調と受け取れる。日本独特を言いながら、他方では国境を拡げ、自由な経済活動を促しており、矛盾する。日本独特のものが、競争によって破綻する」
堀氏「船田元議員は『前文で、日本の国柄を反映させたい。日本の文化が優れていることを強調したい』と発言しました。最後に、おひとりずつ、まとめのスピーチをしていただきます。まず、小沢さんからお願いします」
堀氏「安倍首相の『積極的平和主義』というスローガンは、小沢さんが言い始めたと聞きます。小沢さんの国連協調主義に絡めて、一国だけ平和主義では無責任だ、と。いわば(小沢発言が)ハイジャックされた形になっているようですが」
小沢氏「憲法は国民の生活を守り、社会の将来の安寧を図るための最高の規約です。安倍首相の言う言葉だけを取り上げれば、何も悪くはない。しかし、それらの背景の考え方、やっている中身、施策が民主主義に反する。逆行しています」
小沢氏「戦前の5大国のような世界に冠たる国を作りたいなら、はっきりしたビジョンを示した上で、国民と議論をするべきです。トップリーダーたるもの、言葉面だけでごまかして願いを達成するやり方は、厳に慎まなければいけません」
小林氏「安倍首相の積極的平和主義は、価値感を共有する国と一緒に、違う国をはり倒して平和にするもの。福島みずほ議員に戦争法と言われて逆上していたが、結局、海外で戦争をする手続き法を作ろうとしていて、まぎれもない戦争法だ」
小林氏「安倍首相は『戦争法とレッテルを貼って、話を矮小化して許せない』と。これ正気の沙汰じゃない。政治の劣化。小沢先生とは、いまだに緊張するんです。この経験と生きる知恵と迫力を、どう日本で活用したらいいのか」
小林氏「自民党は選挙制度の功罪で、たった3割の票で7割の議席を取って威張っているだけ。まず彼らの支持率を下げること。3割の反対派がまとまって7割の票を取ればいい。これは私たち国民の責任ですから、がんばっていきましょう」
樋口氏「明治後期の衆議院議員の竹越與三郎は著書『人民読本』で、権力が愛国心、忠義を押しつけてくる、もっと悪いことは大衆がそれをやる、と警告している。フランクな議論を妨げるようなことが民衆の中でも起こること戒めています」
堀氏「お三方の共通点は、自民党改憲草案は基本原則を変えてしまい、問題があるということでした。あの草案は考え抜かれ、変なイデオロギーがある。相手は本気でやろうとしている。こちらも本気で取り組まないといけません」
以上で「緊急鼎談『樋口陽一×小林節×小沢一郎 憲法を語る』の報告ツイートを終了します。
緊急鼎談 樋口陽一、小林 節、小沢一郎 憲法を語る
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
▲上へ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK196掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。