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安倍政権が露骨な人事 沖縄「代執行」訴訟に“体制寄り”裁判官
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2015年11月19日 日刊ゲンダイ
これじゃ公平裁判とは言えないか(C)日刊ゲンダイ
いよいよ法廷闘争に突入した、沖縄県の米軍普天間基地の名護市辺野古移設をめぐる「県VS国」のガチンコ対決。国は17日、辺野古沿岸部の埋め立て承認を取り消した翁長知事の処分を違法として、県に代わって国が処分を撤回する「代執行」を求める行政訴訟を福岡高裁那覇支部に起こした。
米軍基地をめぐって県と国が法廷で争うのは20年ぶり。1995年に当時の大田知事が米軍用地の強制使用に必要な代理署名を拒否して以来だ。国は訴状で、埋め立て承認取り消しについて「日米両国で積み上げてきた努力が無に帰す」と主張。これに対し、翁長知事は会見で「基地建設は何があっても容認できない」と反論。自ら法廷で意見陳述する方針だ。ガチンコ対決の行方は司法の場に移ったわけだが、早くも“主戦場”となる那覇支部の裁判官人事で不穏な動きがあった。10月30日付で、東京地、家裁立川支部部総括判事の多見谷寿郎裁判官が那覇支部長に異動したのである。
「前那覇支部長は『C型肝炎訴訟』や『原爆症認定訴訟』などで国の責任を厳しく指弾している須田啓之裁判官でした。新任の多見谷裁判官は大阪や東京、千葉などで勤務経験のある裁判官で、主に手掛けてきたのは住民が自治体や議員を訴える訴訟です。とはいえ、判決は住民寄りではない。成田空港用地内の農家男性に空港会社が土地の明け渡しを求めていた2013年の成田空港訴訟では男性に明け渡しを命じる判決を言い渡しています。11年に浦安市民が政務調査費の使われ方が不当として、市長と議員に返還を求めた訴訟では原告の請求を棄却している。体制寄りの判決を下す、ともっぱらの裁判官です」(司法ジャーナリスト)
そんな“ヒラメ裁判官”が、寄りによってこのタイミングで那覇支部長に就いたのだ。県民じゃなくても「怪しい人事」に見えてしまう。なにしろ、安倍政権は憲法違反を正当化するために法の番人、内閣法制局長官のクビをすげ替えるぐらいだ。菅官房長官は「司法の判断を仰ぐことにした」なんて言っているが、本音は「多見谷裁判官よ、分かっているな」というプレッシャーがありありではないか。
元大阪高裁判事の生田暉雄弁護士は「おそらく那覇支部の人事は国が必ず勝つための布石」とした上で、こう言った。
「今の司法は独立しておらず、行政の一部と化しています。まったくヒドイ状況だし、ますます悪くなっています」
裁判の結果が今から見えてくるようだ。
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