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左・「新世代トークアプリ755」公式サイト島崎遥香のトークより/右・橋下徹オフィシャルウェブサイトより
大阪W選を前にAKB島崎遥香が「都構想はシルバーデモクラシー」の的外れ指摘! ぱるるよ、橋下に騙されるな
http://lite-ra.com/2015/11/post-1692.html
2015.11.18. リテラ
10日に放送された、田村淳(ロンドンブーツ1号2号)・島崎遥香(AKB48)出演のバラエティ番組『淳・ぱるるの○○バイト!』(フジテレビ系)で、ぱるるの口から飛び出した発言が話題となっている。
淳から「ニュースとか世間の出来事とかあんまり興味ないかと思ってた」と聞かれたぱるるが、いきなりこう答えたのだ。
〈大阪都構想。あれは、すごい興味があって〉
〈前の時は、若者があんまり投票しなかったんですよね〉
〈これからの日本は若者がつくっていかなきゃいけないから。若者の意見も大事だと思う〉
さらに淳が「でも若者のほうが人数少ないから、絶対に負けるんだよ、人数で」と応じると、ぱるるは「そう、そこが問題なんです」と語った。
政治に興味などなさそうな彼女がこんな発言をしたことに、淳は驚きの声をあげ、ファンの間では「ぱるる、正論だよ」「意外とちゃんと考えてる」と賞賛の声があがっている。
しかし、はたしてそうだろうか。今回のぱるるの発言はむしろ、大阪ダブル選挙を前に、橋下市長と維新の党支持者のデマに満ちた煽りが再び広がっていることを証明したと言えるのではないか。
文脈から考えて、ぱるるは、今年5月に実施された大阪都構想の住民投票が否決されたのは、若者の投票率が低かったせいだと考えているらしい。だから、今回のダブル選挙では若者が投票に行くべきだと考えているのだろう。
しかし、これは明らかなデマだ。たしかに、都構想の住民投票の直後、メディアや橋下支持の新自主主義系有名人から、若者の投票率が低かったせいで否決されたという分析がまことしやかに流され、「シルバーデモクラシー」「老害投票」といった批判の声が上がっていた。だが、実際の結果を分析すると、は他の世代でも反対が多く、70代以上が全員反対に回ったとしても大阪都構想は否決されていた。また、事前の世論調査では、もっとも反対が多かったのは20代で、むしろ若者が投票所にいっていれば、もっと大差で否決された可能性もあった。
都構想の結果は世代間対立というより、低所得者層、貧困層が橋下市政でセーフティネットを切られてしまうことを恐れたという側面が強かったのだ。
だが、橋下市長や維新の党支持者は大阪ダブル選挙を前に、再びこのデマをしきりに拡散させている。「若者が投票に行かないから維新は負けた」ということで、「これからの世代は、維新に投票するしかない」という刷り込みを行っているのだ。
こうした根拠のないデマに対抗するために、本サイトが都構想住民投票直後に配信した記事を改めて再録してみたい。ぜひ、ぱるるにも読んでほしい。
(編集部)
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反対が賛成を上回った「大阪都構想」の住民投票の結果について「これはシルバーデモクラシーだ!」という批判の声が広がっている。またの呼び名を「老害投票」とか言うらしい。
たしかに各社の出口調査では、70歳以上の投票者だけが「反対」に大きく振れていた。本サイトで既報のとおり、テレビキャスターの辛坊治郎氏が、この数字をもとに「将来の大阪を決めるという意味においては、今後何十年も住んでいく賛成の人たちは圧勝しているんだけども」などと主張し、生活保護者や老人を貶める下劣な負け惜しみを口にしていたが、しかし、なにもこのデータに飛びついたのは“橋下シンパ”の彼だけではない。他にも都構想賛成派や評論家が一斉に「結果は少子高齢化による世代間格差のあらわれ」なる論をもっともらしくぶち上げているのだ。
たとえばツイッター上では、経済評論家の池田信夫氏が「これが日本の諸悪の根源。老人の老人による老人のための政治」といちゃもんをつけ、また、ブロガーのちきりん氏は「今日負けたのは、橋下さんじゃなくて、日本の若者だよね」「票の価値を平均余命とリンクさせるべきだよね」とあからさまに世代間の分断を煽るツイートを投稿。
ホリエモンも自分の衆院選に出馬した際のことを示唆しながら「なんだかもっと大阪都構想本気で応援してりゃよかった」とつぶやいたし、KADOKAWA・DWANGO取締役の夏野剛氏も、「結果的にはシルバーデモクラシーだと思うが」と投稿。そして「敗因は生活保護受給者や貧困層を見捨てたことにある」とフォロワーにつっこまれると、「橋下さんっていう何と正しい感覚の持ち主なんだ!」と橋下擁護のリアクションをしている。
若手論客の宇野常寛氏にいたっては「今に始まったことではないけど、選挙とは情弱高齢者をいかに騙すかで決まるゲームになってしまってるのだな、と改めて痛感した次第です。はい」と、“老人=情報に疎いバカ=反対派”とまで言い切っている。
さらに政治家の小泉進次郎氏はトークイベントで「よく、シルバー民主主義って言われることもある。高齢者の意向に左右されているような日本の構造、そのことの象徴的なものだったのかも」と発言しており、あたかも今回の住民投票が“世代間格差”を浮き彫りにしたという分析が定説みたいになっているのだ。
だが、普通に考えてみれば、これらの言説は論理的に破綻していることがわかるはずだ。彼らの論拠は出口調査の賛成票と反対票の“年代別のパーセンテージ”なのだが、ここではそもそも母数、つまり“年代別人口”に対する勘案がまったくない。
大阪市の26年度人口統計によれば、70歳以上の人口は約48万人。これに対して、20代の32万人と30代の38万人をあわせただけでも、70万人と大きく上回り、さらに40〜60代を足せば約176万人と4倍近くになる。つまり70代以上の人間が全員投票に行って、出口調査通り61%(朝日・ABC共同出口調査より)が都構想に反対したとしても、それ以外の世代の半分が投票に行き56%賛成に回るだけで逆転できるのだ。これのどこが「老人による老人のための政治」ということになるのか。
こう言うと、彼らは若年層の投票率が著しく低いから彼らの意見が反映されないと言う。じゃあ聞くが、棄権した若年層が投票に行ったとして、実際の投票者と同じ比率で都構想に賛成するという根拠はなんなのか。ちなみに5月はじめに産経新聞社が実施した世論調査では、20代の男性で賛成33.3%に対し、反対が46.4%。20代の女性となると、賛成17.1%に対し反対はなんと60%! 全世代の中で20代女性がダントツに反対意見が強かったのだ。
この数字をベースにすれば、むしろ、投票に積極的に行ったのは賛成派が多く、20代の投票率が上がっていれば、逆にこの世代でも反対派が逆転したと考えることもできる。
しかも、投票所に実際に足を運んだ若い世代にかぎっても、70%とか80%が賛成しているわけでなく、20代は賛成61%。つまり39%が反対を表明しているのだ(前出・出口調査より)。
ようするに連中は、自分たちが支持する橋下市政と「都構想」が否決された腹いせになんの根拠もない印象批評で世代対決があったとのデマをふりまき、高齢者に責任を押し付けているだけなのである。
実際、「都構想否決は老人のせい」とわめいている知識人や評論家は、ほとんどが橋下市長と同じ構造改革派、新自由主義者だ。
ホリエモンや池田信夫氏はいわずもがな、小泉進次郎氏の父親は構造改革派の中興の祖ともいえる存在だし、ちきりん氏も大手金融、外資系コンサルを渡り歩いてきたそういうショーバイの人だ(唯一、宇野常寛氏の場合はたんに“世代間断絶”を煽ってメシの種にしているだけで、明確な新自由主義者とはいえないが)。
富める者はもっと富み、貧しい者はさらに貧しくなる弱肉強食社会こそが経済を活性化すると考える彼らは、規制緩和を進め、教育や医療、福祉の予算を削り、カジノなどの富裕層向けのプロジェクトに金を投入しようという橋下に、改革という名の格差助長政策を進めてもらいたくてしようがなかった。
そう考えると、今回の住民投票の背景にあったのはシルバーデモクラシー=世代間対決ではなく、むしろ弱者デモクラシー=格差対決だったというべきだろう。経済的勝ち組が賛成に回り、貧困にあえぐ経済弱者が反対票を投じた、その結果なのではないか。
実際、大阪市はマンションなどの新住民が多い北部と、古くからの住民が多い南部で経済格差があり、北は高所得者層が、南は低所得者層が多いと言われているが、住民投票は北に賛成が多く、南に反対が多い結果となった。また、高齢者を含めた貧困層の多くが反対に回ったのも明らかな事実だ。
前述の辛坊氏はそれをとらえて、“都構想否決は生活保護受給者のせい”と言わんばかりのいやしい意見を披露したが、そもそも、都構想では大阪市が解体され、財源も権限も不十分な特別区に分割されることで、事実上の“格下げ”になる。巨大開発のために特別区は権限や財源を吸い取られる。つまり、地方自治権が弱体化し、福祉などの行政サービスが低下する。介護事業など、福祉に関する事業の一部を事務組合でやることになるので、窓口も担当職員も住民から見えにくくなり、住民と自治体の距離が遠くなる。国保や介護保険料の値下げも事実上できなくなる。
となれば、こうした福祉の低下を恐れて貧困層や低所得者層が反対するのは当然ではないか。それをあたかも、「生活保護を不正受給できなくなるから」「ただでバスに乗れなくなるから」といった理由で反対しているかのように矮小化する新自由主義者の下劣さには反吐が出る。
しかも、である。こうした「勝ち組」の新自由主義者たちはもうひとつ、大きな勘違いをしている。
彼らは都構想によって大阪市の財政が健全化され、民間の経済が活性化し、経済成長が見込める、だから改革を止めるな、と言う。まさに構造改革派の典型の物言いなのだが、仮にその理論に乗っかったとしても、橋下の提唱する都構想では彼らが言うような結果が得られないことが判明しているのだ。
たとえば、財政の健全化。橋下は都構想により二重行政が解消され、「年間4000億円が浮く」と謳っていたが、最終的な効果額は結局、年間1億円しかないことがわかった。さらに行政移行に伴う初期費用は600億円もかかると試算されており、継続費用も年間20億円。都構想は逆に赤字を増すことになる。
では、経済成長はどうか。橋下はニューヨーク、ロンドン、パリ、ソウル、上海などとの都市間競争のために大阪都をつくり、財源と権限委譲によって大規模開発するという大風呂敷を広げているが、実は、どこをどう見ても、経済成長につながるような具体策は見当たらない。
大阪の場合は中小企業を活性化するような施策をしないと、なかなか効果が得られない。すでに東京の二番煎じのような大規模開発に取り組んでいるが、ほとんど経済活性化につながっていない。他にも、カジノ構想、万博誘致とか、橋下たちが言っているのは都構想とはなんの関係もない、他人頼みで、昭和の高度成長期やバブルの幻を追うような政策ばかりなのだ。
そもそも、橋下徹の構造改革=緊縮財政政策は経済成長にとってマイナスの結果しかもたらさないという見方もある。2008年の府知事戦で橋下は「大阪府は破産会社」と宣言し、財政の立て直しを公約にしたが、緊縮財政がなにかを変革しただろうか。むしろ、それがどんどん経済を悪化させてきた。大阪市は他の政令指定都市と比較して経済成長率も低く、人口流出も止まらないままだ。
「都構想」によりこの緊縮財政が加速すると、大阪はむしろ貧困層が増大して経済的に低迷していくという見方さえあるのだ。
こうした“情報”を無視して賛成に回った新自由主義者たちが、反対票を投じた人たちを「情弱」と呼ぶのはジョークとしか思えない。
むしろ、「情弱」というのは、橋下の「改革」という言葉に釣られ、都構想の実体を見極められなかった自分たちのほうではないか。なんとなくフレッシュなイメージ、なにかが変わるという漠然とした期待、そんなものは心象にすぎず、まんまとイメージ戦略に乗せられているだけなのに、さも自分たちは、知識があって既得権益を解体する改革の志をもっているかのようなポーズで弱者を「既得権者」に仕立てて、口撃する。
しかし、騙されてはいけない。むしろ、彼らこそがこの格差社会の既得権者であり、それを守ろうと必死なのだ。だから、その守護神である橋下にはなんとしても生き残ってほしかったのだろう。
そして、投票結果が出たあと彼らが「シルバーデモクラシー」「老害投票」などと言って世代間格差の問題にすり替えたのは、その自分たちの邪な動機を隠蔽しようとしたからに他ならない。
もう一度繰り返しておく。改革者のふりをした意識高い系=新自由主義者には騙されてはいけない。
(エンジョウトオル)
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